損か得か!? “一時金タイプ”の医療保険のポイント3つ
2014年11月17日 | よみもの損か得か!? “一時金タイプ”の医療保険のポイント3つ

【女性からのご相談】
1回の入院につき一律10万円支給される医療保険があると聞きました。普通の医療保険とどちらがよいのでしょうか?
それぞれにメリット・デメリットがあります。
1泊2日の入院でも一律10万円が支給されるとあって、短期入院で医療保険から少しの給付金しかもらえなかった経験をした方には魅力的ではないでしょうか。今回は、そういう“一時金タイプ”の保険のメリット、デメリットについて検討してみました。

どんな保険なの?
普通の医療保険の場合、入院の日数にしたがって支給される金額が異なることが多いのですが、“入院したら一律10万円が支給される”というようなタイプの保険では、入院期間の長短が支給額に影響しないため、短期間の入院をする人にうれしい保険となっています。
背景には4日以内の短期入院の増加
厚生労働省の『患者調査』によると、『入院患者数に占める4日以内の短期入院の割合は平成8年の全体の2割から、平成23年には全体の3割に増加』しました。このことから、“一時金タイプ”の保険への需要が高まったのではないでしょうか。
“一時金タイプ”の保険のポイント3つ
(1)短期入院でも10万円給付は魅力
高額療養費制度を使えば、ひと月の自己負担上限が8万円程度(月収約53万以上の上位所得者は15万程度)に抑えられますが、貯蓄がない場合にはこの金額を10万円の給付金で賄えることは魅力的ですね。
(2)保険料が安い
“一時金タイプ”の保険とそうでない保険の実際の料金を比較してみましょう。
例えば、とある“一時金タイプ”の保険会社の場合、35歳女性だと、月額保険料は1,500円程度です。一方、大手生命保険会社の医療保険のもっとも基本的な保障(入院日額5,000円、手術給付5万~10万など)の保険料は月額1,800円程度です。わずかではありますが、前者のほうが手ごろな保険料となっています。
(3)長期入院、大病には頼りない
短期入院には強い“一時金タイプ”の保険ですが、長期入院が余儀なくされる脳血管疾患や、治療費が高額になるがんなどの大病にかかった場合でも、一律10万円しか支給されないため、その治療費を賄うことは難しくなります。また、手術給付金が出ないこともデメリットとして挙げられます。
いかがでしたか? 貯蓄がなく、短期入院でも10万円でも確保できるのは安心という方、少しでも保険料を安く抑えたい方にはおすすめです。しかし、保険料が安い分、三大疾病やがんの保障はさらに別の保険で手厚く備えることをおすすめします。
貯蓄が十分ある方は、あまり費用のかからない短期入院への備えは貯蓄で、支出の見通しがきかない長期入院への備えは保険で、という考え方で整理してもいいのではないでしょうか。
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