妊娠中の「飲酒」と「喫煙」が胎児に与える影響
2014年11月13日 | よみもの妊娠中の「飲酒」と「喫煙」が胎児に与える影響

【ママからのご相談】
お叱り覚悟で相談させてください。妊娠3か月のプレママです。つわりがあまりひどくないこともあって、お酒とタバコがやめられません。主人も、「タバコはやめた方がいいと思うけど、アルコールは少しくらいならいいんじゃない?」と言うし、産婦人科の先生も、「少しなら」というのですが、「少し」がどれくらいなのか分かりません。
妊娠中は禁酒・禁煙が基本です。
こんにちは。健康管理士のSAYURIです。ご相談ありがとうございます。
よく耳にする、「少しなら」という曖昧なアドバイスですね。困惑してしまうお気持ち、お察しします。なぜ、「少しなら」という曖昧なアドバイスがあるかというと、「絶対禁酒!」と言えば妊婦さんに大きなストレスがかかることがあります。もちろん、妊娠中の大きなストレスは決していいことではありません。
そして、妊娠中の飲酒については、どの時期にどれくらいの量であれば絶対に安全であるか、ということがはっきり分かっていないのです。だから、妊婦さんに大きなストレスをかけることを避けつつ、“飲むのは少量、自己責任で”という意味合いを持って、「少しなら」と曖昧な表現にとどめるしかないようです。
今回は、妊娠中の飲酒・喫煙が胎児に与えるさまざまな影響をご紹介します。

妊娠中のアルコールが胎児に及ぼす影響(日本産婦人科医会)
・子宮内胎児発育遅延ならびに成長障害
・精神遅滞や多動症などの中枢神経障害
・特異顔貌、小頭症など頭蓋顔面奇形
・心奇形、関節異常などの種々の奇形
これらの症状は、“胎児性アルコール症候群”と呼ばれ、同医会によると、『お酒に含まれるアルコール(エタノール)とアルコールが分解される際に発生するアセトアルデヒドが、胎児の成長段階によってさまざまな影響を及ぼすだけでなく、流産や死産の可能性も大きくなる』とのこと。
「周りに、妊娠中に飲酒・喫煙をしても元気な赤ちゃんを産んだ人がいるし大丈夫!」と思う方もいるかもしれませんが、それは、その人のアルコール代謝能力などにもよって異なってくるので、確率の問題とも言えるでしょう。
少量のアルコールってどれくらい?
以前、日本では、アルコールは1単位2単位といった基準が使用されていましたが、アルコール1単位といえば、純アルコール20g相当です。
それぞれのアルコール1単位分
・日本酒(アルコール15%)1合(180ml)
・ビール(アルコール5%)500ml
・焼酎(アルコール25%)110ml
飲酒による関連問題の予防という観点から見ると、これは多すぎるということで、現在では1ドリンク(純アルコール10g)が基準とされています。
これを、日本産婦人科医会の報告と合わせて見てみると、1.5ドリンク未満の飲酒では胎児への影響が少ないと報告されているので、日本酒なら90ml、ビールなら250ml、焼酎であれば55ml未満であれば少量とみなされるようです。
しかし、これも飲酒の頻度によって違いがあるようなので、やはり赤ちゃんの健康や胎内での苦しさを考えるとやめた方がいいでしょうね。
妊娠中のタバコは論外
以前、海外での撮影動画でしたが、妊婦さんがタバコを吸いながらエコーを撮った動画を見たことがあります。すると、妊婦さんがタバコの煙を吸い込んだ途端、赤ちゃんが苦しそうにもがき始めたのです。
タバコに含まれる有害物質は200種類以上と言われていますが、それ云々よりも、ママがタバコの煙を吸い込むたびに、赤ちゃんの首を絞めているのと同じことだと考えてみた方がいいのではないでしょうか?
妊婦さんの飲酒・喫煙は、胎児にとっては“被ばく”という表現がされています。この表現を見るだけでも、どれだけの影響があるか想像できると思います。ママがお腹の赤ちゃんを“被ばく”させたくはないですよね。
喫煙、お酒はお祝いの席だけとか、月に1度少しだけとか決めてみてはいかがでしょうか。
【関連コラム】
・妊娠中の飲酒が赤ちゃんに及ぼす影響
・妊娠中のカフェインやアルコールの摂取が及ぼす悪影響とは?
・妊娠中に食べてはいけないチーズの種類とは?
●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)