早生まれの子供は損をすることが多いってホント?
2014年11月12日 | よみもの早生まれの子供は損をすることが多いってホント?

【ママからのご相談】
先日、今年保育所に入所した年少の息子の運動会がありました。はじめて他の子どもとかけっこをしているところを見て思ったのですが、2月生まれの息子は、周りの同級生と比べて足が遅いようです。やはり、早生まれは損することが多いのでしょうか? これから先、小学校の勉強などでも差が生まれてしまうのではと感じています。
できないことがあっても、早生まれを理由に納得してはいけません。
ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。
例えば4月生まれの子どもと3月生まれの子どもとでは、11か月もの月齢の差があります。そのぶん、確かに発育の程度に差が生じるでしょう。“早生まれは運動音痴になる”という話も良く聞きます。自分自身が早生まれで運動が苦手といった方も少なくはないのではないでしょうか?
周りの子に比べて幼い早生まれのお子様は、はさみの使い方や箸の持ち方、ひらがなの読み書き……と、運動以外に差をつけられてしまうことも想像してしまい不安になってしまうこともあるかも知れません。
とはいえ、早生まれも遅生まれも、大人になってしまえば全く差はないはずですよね。果たして早生まれって本当に損なのでしょうか?

早生まれが最終学歴に及ぼす影響とは?
一橋大学大学院経済学研究所の川口大司教授による『小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響』では、『最終的な教育年数においては早生まれの人々が不利となっていることが統計的に確認された』という結果になりました。
このレポートは総務省の就業構造基本調査による約100万人のデータのうち、25~60歳の男女を対象に最終学歴と生まれつきなどの相関関係をまとめたもので、最終学歴は3月生まれが4月生まれより、男性では0.2年、女性では0.1年、短いという結果を得ることができました。
もちろん、遺伝や個性、本人の努力など、生まれつき以外にも様々な要因が折り重なった結果の最終学歴です。
早生まれの中にも勉強の得意なお子さんはいらっしゃいますし、その逆も珍しくはありません。0.1年や0.2年程度の差であれば、別の原因も十分に考えられるのではないでしょうか?
運動音痴になるのはなぜ?
早生まれのスポーツ選手が少ないことは、しばしば耳にすることがありますね。
例えばサッカー選手。J1に所属する選手達の誕生日を調べると4月生まれが73名、5月生まれは64名、と次第に少なくなって行き、最も少ないと2月生まれで24名しかいません。
Jリーグ技術アカデミー部のマネージャーである山下則之さんの分析では、
『同学年が一緒になって運動すると、早生まれの子どもは4月生まれと比べ、体格面でどうしても劣る。すると、“自分は運動ができない”という意識が根付いてしまい、運動から離れるのではないか』
とのこと。つまり、運動が得意であるか否かの前に“自分は運動音痴である”と自己イメージが出来上がってしまうことが根本的な原因なのかもしれないのです。
焦らず、子どもが好きなこと・得意なことを大切にする
お子様がまだ幼いうちは、確かに他のお子様との差があるでしょう。実感する度に不安になってしまうこともあるかと思います。
しかし、それよりも恐ろしいことは、運動会で一番になれなかった、またはひらがなの読み書きが遅い、その度に、「あ〜。○○ちゃんは早生まれだもんね」「みんなよりも小さいもんね、仕方ないよね」とママやパパが納得してしまうことで、お子様自身も、「ぼくって早生まれだから、仕方ないんだ」と思い込んでしまうことなのではないでしょうか?
誰だって、褒められないことや勝てないことに興味は持てませんよね。
まだまだ小さく幼いお子様です。焦る必要は全くありません。誰かと比べて一喜一憂するのではなく、お子様が本当に好きなこと・得意なことを見つけ、共に喜ぶことが大切なのではないでしょうか。
【参考リンク】
・小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響 | 内閣府 経済社会総合研究所
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●ライター/木村華子(ママライター)