給食は味が濃い? 味覚オンチにならない食卓の条件5つ
2014年10月30日 | よみもの給食は味が濃い? 味覚オンチにならない食卓の条件5つ

【ママからのご相談】
小学4年生の息子がいます。先日30%もの子どもが味覚を認識できなかったというニュースを聞いて、驚きました。確かに子どもはジャンクフードを好むものですし、味の濃いもののほうが喜ぶのですが……。子どもの味覚を育てるために、家庭ではどんな取り組みをすればよいのでしょうか。
食べ物をきちんと味わう習慣を身につけさせましょう。
ご相談ありがとうございます。ライターの川中利恵です。
子どもと味覚の問題は、数年前から課題となっていたのですが、先日NHKニュースで報道された、『基本となる4つの味覚のいずれかを認識できなかった子どもが全体の30%余りを占めた』という内容は、ママたちにとって少なからずショッキングなものでしたね。
学校の給食の味が濃いとわが子たちがよく言っているのですが、その理由を改めて実感しています。

味覚が大切な理由
調査された基本的な4つの味覚とは、『甘味』『酸味』『塩味』『苦味』です。なぜ人にはこれらの味覚があるのでしょうか。
・『甘味』はエネルギー源であることを識別するため
・『酸味』はエネルギー物質であることを識別すると同時に腐敗物を見分けるため
・『塩味』はミネラルを感知するため
・『苦味』は毒であることを気づくため
そのほかに『うま味』を感じる味覚もあり、これはタンパク質合成材料であることを識別するためにあります。
いずれの味覚も重要であるからこそ存在するものであり、生きてゆくために必要なものであることがわかるでしょう。
味覚を鍛えることは生きる力を促す
味覚を感知する味蕾(みらい)は生後すぐに発達をはじめ、20歳ごろには約9,000個も増えていきます。しかも栄養状態が良ければ10日ごとに生まれ変わってゆくそうです。そのタイミングで栄養状態が悪ければ、味蕾は生まれ変わることができません。そのため、味の識別力が下がってしまうのです。
さらに、おいしいものを知覚することは、食べ物の消化や吸収を高め、ホルモンのバランスや免疫力を整えると言われています。
内閣府でも食育について重要視しており、子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けてゆく食育を促進するため、平成17年には『食育基本法』を定めています。
味覚の発達を促すために家庭でできること
「おいしい」という判断は、口で味を識別し、その味を口にしたときの経験や情景、においや見た目などを加味し、最終的に脳が判断します。
では、味覚を鍛えるため、家庭ではどのように取り組めばいいのでしょうか。学習院女子大学品川明教授は、以下の『味覚向上5か条』の実践を提唱しています。
【味覚向上5か条】
・1……おいしいという気持ちを共有する
・2……口にした食材がどんな味なのかをじっくり味わい、見つける
・3……目の前の料理がどのようにつくられたのかを一緒に想像する
・4……使われている材料や調味料を知る
・5……食べ物にまつわるエピソードを知り、楽しむ
いかがでしょうか。素材の味を味わうためには薄味にしたほうがわかりやすいですし、食卓に並ぶ食べ物の話題を中心にするためにも、テレビは消してできる限りみんなでそろって楽しく食事をしたほうがよさそうですね。
最初はちょっと大変に思うかもしれませんが、慣れればそれが当然になりますので、ぜひ試してみてください。わが家でも小さいころからできる限り実践しています。
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●ライター/川中利恵(在宅ワーカー)