介護者がしっかり睡眠を確保する方法
2014年10月10日 | よみもの介護者がしっかり睡眠を確保する方法

【女性からのご相談】
認知症を発症させた70代の夫を在宅で介護しています。夜になると徘徊などの問題行動を起こすため、気になって夜もろくに眠れません。介護を始めて1年ですが、もう限界です。どうすれば、ゆっくり眠ることができるのでしょうか。
生活パターンを変えてみることをおすすめします。
初めまして。認知症の祖母の介護をしてきたメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
介護をしている人は、どうしても睡眠不足になりがちですね。徘徊などさまざまなことが夜になると起こるため当然です。私も同じ経験をしましたので、よくわかります。眠れないのは本当に辛いですから、一度生活の中身を見直し、生活パターンの変更が必要ではないかと思います。

お互いが夜寝られるように朝型へ
私が祖母の介護をしていたときは、仕事も家事もしていましたので祖母が朝寝昼寝をしていても、「今のうちにやれることをやっておこう」とさせたいようにさせていました。それが良くないことだと知り、改善をしたのは何年も介護をした後でした。
ケアマネジャーさんなどから話を聞き、規則正しい生活(早寝早起き)に切り替えることで、夜の徘徊を減らすことができ、私自身も眠ることが出来るようになったのです。
最初は大変かもしれませんが、少しずつ日中に起こしておく時間を長くしていきましょう。洗濯物を干す間は、一緒に移動して手伝ってもらったり、散歩の時間を日に2度設けたりと、横にさせない工夫が必要です。
日中に寝てしまわないようにするために
横になるとどうしても眠くなってしまいますし、1人ですることがない状態でも眠くなってしまいます。ですから、相談者様と行動を共にするようにしてみてはいかがでしょうか。
認知症の場合、さまざまな動きや発言をしますのでとても大変です。だからといって放っておくことは絶対にできませんので、行動を共にして家事などをこなしていくようにするといいです。
私と祖母の場合は、私が食器を洗い、祖母はふきんを畳むことをさせていました。上手に出来なくてもいいのです。自分も手伝ったという感覚を相手に持たせることができるのなら。目を離すことはできませんので大変でしたが、「やれることがある」と気持ちを持たせることが大切だと思います。
相談者様は、ご主人ということですので家事の手伝いは難しいかもしれませんので、紙を整えて箱に入れるといった作業でもいいかもしれません。座ってできるようなことがいいですね。また、元気だったときの趣味や好きなことなどをさせるのもいいです。
早急に休みたいと感じたときはショートステイの利用を
身体が疲れ切ってしまっていれば、介護と向き合うことができません。経験上、これだけは言えます。そんなときは、ショートステイの利用をお願いしましょう。
ほんの数日でも眠ることが出来れば、新たな気持ちで介護に向き合うことができます。この気持ちが大切です。お願いしている間は、気になってしまったり、余計に眠れなくなってしまうなんてこともあるかもしれませんが、ショートステイを利用することは悪いことではありません。
介護者の心身を守るために必要なことですから、躊躇せずお願いしましょう。
睡眠不足が続けば、頭痛や肩こりといった痛みを伴うものや落ち込んでしまうなどの気持ちの低下を引き起こしたりします。介護者にとって、この状態が一番良くありません。
気持ちの切り替えが大切なんて言われたりしますが、実際にはうまくできないことだってあるのです。私も出来ませんでした。
眠ることが出来るだけでも、これらの心身的な悩みは起こりにくくなります。ケアマネジャーさんに相談をして、支給限度額でどのくらいの日数をお願いできるのかを確認してもらい、ケアプランを立ててもらうことから始めましょう。それと同時に生活パターンの切り替えを行っていきましょう。
【参考文献】
・『上手に老いるには』P.セルビー・著/矢野目雅子・訳
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)