中学生の不登校、8割の人は立ち直る? 不登校を克服させる方法と将来のリスク
2014年9月30日 | よみもの中学生の不登校、8割の人は立ち直る? 不登校を克服させる方法と将来のリスク

【ママからのご相談】
中学生の息子がいます。不登校になってもうすぐ1年が経ちます。このまま学校へも行かず引きこもったまま息子の人生は終わってしまうのではないかと絶望に近い気持ちになります。
いったい不登校の子どもの行く末ってどうなるのでしょうか……。
> 不登校の約8割が普通の生活に戻っている(P2)
> 不登校の生徒に特化した進路選び(P2)
> 不登校の子どもを立ち直らせる“親のサポート方法”5つ(P3)
> 不登校を克服した人の体験談3つ(P4)
> 不登校を経験した有名人や芸能人(P4)
> 不登校児の引きこもりが長引くと将来こんな苦労をする(P5)
> まとめ(P5)
こんにちは。ライターのakiです。
文部科学省が平成26年に行った『学校基本調査』によれば、『小中学校の不登校の数が6年ぶりに増加した』という結果が出ており、とくに中学生の増加が顕著に見られたようです。
近年では減少傾向にあると言われていた不登校ですが、やはりまだまだ社会問題として考えていくべき課題であることには違いないです。
ただ、私の周囲では不登校から立ち直られたお子様がたくさんいらっしゃいます。
現在は立派な社会人になったり、結婚して母となり幸せなご家庭を築いてらっしゃったりと、皆さんとても充実した日常を送られています。
決して悲観的になる必要はないという意味も込めて、今回は不登校の子どもに待ち受ける将来について考えたいと思います。
不登校と引きこもりの違い

不登校と引きこもりは同じ意味として使われる場合がありますが、この二つは厳密にいうと定義が異なります。
まず、不登校は文部科学省で定められている以下の定義によって判断されます。
「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
一方、“ひきこもり”の定義は厚生労働省で定められており、以下の5つを満たす者を『社会的ひきこもり』と定義しています。
1.自宅を中心とした生活
2.就学・就労といった社会参加活動ができない・していない者
3.以上の状態が6か月以上続いている
4.精神病を患う者、または中等度以上の知的障害をもつ者はのぞく
5.家族以外の他者(友人など)と親密な人間関係が維持されている者はのぞく
つまり、大雑把に言うと、不登校を“学校に年間30日以上欠席している児童生徒”を対象にしており、引きこもりは“就学・就労を6か月以上せず自宅で一日中過ごしている者”を対象にしているという違いがあります。
以上のことから、不登校だから引きこもり、という図式は必ずしも成り立たないため、区別して覚えておくといいかもしれません。
なぜ不登校になってしまう?一番多いのはいじめではなく、無気力?
平成24年の文部科学省の調査結果では、
不登校の原因は様々ですが、多いのは思春期に差し掛かったことによる無気力や情緒的混乱や不安が多いようです。
いじめで不登校になるというのは昨今のテレビや小説等でもよく見受けられる原因だと思いますが、
一番多いのは、無気力。
小中学生では25.9%、高校生では30.1%もの児童が不登校の理由に無気力をあげています。
受験で燃え尽きてしまった、学校での生活が理想と違った、期待に応えようと頑張りすぎて疲れてしまったなど、
子どもによって理由はさまざまです。
もちろん、思春期というだけでなく、これらも家庭環境や学校での友人関係に依存するものである可能性があります。
社会問題にもなっている”いじめ”ですが、実際にはいじめが原因で不登校になる児童は0.5~2%程度とされており、
友人間のトラブル(8~15%)といった出来事のほうが、不登校の原因となりやすいというデータが出ています。
しかし、学校側でいじめと認定されていないだけで、実際当事者である子どもは「いじめられた」と思っている場合もあるので、
実際は2%よりも多い数の生徒が、いじめにより不登校になっている可能性があります。
アドラー心理学の中でもあるように、全ての原因は対人関係に帰着すると言っても過言ではありません。
子供を取り巻く環境には十分注意が必要そうですね。
しかし冒頭でもお伝えしているように、不登校の約8割は普通の生活に戻るといいます。
不登校の約8割が普通の生活に戻っている

文部科学省が行った『不登校に関する実態調査(平成18年度)』によれば、
『中学時代に不登校を経験した子どものうち約8割がきちんと就学または就労をしている』というデータが出ています。
思春期の多感な時期に人一倍悩み抜いた子どもたちも、ある一定の時期を過ぎれば自分なりの納得要素を見いだすことができるのでしょう。
治療期間は人それぞれですが、ある日突然、「学校に行こう」と急激に改善することもよくあるそうです。
そういう意味でも、今不登校のお子さんに対して焦ったり絶望的な気持ちになることはなく、大らかな気持ちで対応していくことが大事です。
子供にストレスを感じさせ過ぎず、少しでも早く、不登校が解決するように見守っていきましょう。
不登校の生徒に特化した進路選び

不登校の生徒に特化したシステムを利用すれば、普通に大学に進学することもできます。
単位制高校から大検という進路のほか、セカンドスクールやフリースクールなどの高校・大学以外の教育機関を利用するのも一つの手です。
中にはそれらに通うことで学校の単位と交換してくれるところもありますので、在住の行政機関に問い合わせてみてください。
アメリカなどでは、学校へ行かずインターネットなどを使って自宅学習をするホームスクーリングの形態もあります。
学校へ通わなかったから妙な目で見られる、就職もできない……などという時代ではなくなりつつあるのです。
気後れせずに、お子さんのコンディションに合わせた進路をぜひ模索なさってください。
不登校の子どもを立ち直らせる“親のサポート方法”5つ

不登校になる子どもは、それぞれ違った原因を持っています。
そのため、最適なアプローチの仕方は一人ひとり異なりますが、過去の傾向から大体どのようなサポート方法が有効なのかを導き出すことはできます。
一辺倒に「学校に行け」と声を変えたり、秒品へ行くというやり方がうまく行くわけではありません。
不登校の原因となった理由について、一度子供に向き合ってから、どのように対処をしていくか考えてみましょう。
以下では、不登校の子どもを立ち直らせるために親がすべきサポートについてご紹介します。
(1)両親がコミュニケーションを取る
不登校の子どもの中には、家庭環境が悪いことが影響して学校に通えなくなったという人もいます。
とくに幼い子どもにとって家族はとても大切な存在です。そんな子どもの前でパパとママが喧嘩ばかりしていたり、無視し合っていたりすると子どもは親を信用できずに心を閉ざしてしまう傾向にあります。
子どもを立ち直らせたいなら、まずは自分たちから動きましょう。子どもの前でコミュニケーションをよく取り、楽しげな雰囲気を伝えてあげるのです。
家の雰囲気が明るくなれば、子どもの頭の中で“家庭=安心できる場所”という印象が作られます。
そうなれば、たとえ学校でイヤなことがあっても「家に帰ったらパパやママがいる」と心強く思うことができ、外で元気に頑張れるようになるのです。
子供が学校から帰ってきたら話を聞いてあげる。また学校に行くお時には、元気に送り出して勇気をつけてあげる。
些細なコミュニケーションが、子供の勇気づけになるので、ぜひやってみてください。
(2)勉強しやすい環境を作る
当たり前ですが、学校に行かなければ他の同級生よりも成績が落ちていきます。
不登校の期間が長ければ長いほど、久々に登校したときに授業の内容についていけなくなる可能性がります。
そのため、家庭内で勉強できる環境をしっかりと整えてあげることが大切です。
教科書の他に分かりやすい参考書を買い与えたり、家庭教師を雇ったりと方法はいろいろあります。
通信制の学習や学校の友達が行っていない塾に通わせるのも、良いと思います。
「夏休み明けから学校に行ってみようかと思う」とふと言い出すことも多いと思います、
でも、勉強がわからなくなってしまうと、また学校が嫌いになってしまうでしょう。
いつか登校を再開する日のために、学力は保っておくようにしましょう。
(3)“役割”を与える
不登校になる子どもは、先ほどあったように、無気力が原因で学校に行かなくなることがあります。
「自分には価値がない」「居場所がない」と思い込んでいる場合が少なくありません。
自分に自信がなければポジティブな思考にはなりにくいものです。そして自信は、「自分が社会(周囲)に貢献できている」という実感から得られるものだったりします。
まずは、家の中に“居場所”を作ってあげましょう。洗濯や食器洗いなどの家事を任すもよし、買い物に付き合ってもらうでもよし。
とにかく自分が家族のために貢献できているという実感を持ってもらうのです。
家庭は一番小さな社会と言い換えることもできます。家庭の中で自信を持てるようになれば、おのずとより大きな社会の中で自分の価値を確かめたくなるはずです。
小さな家庭のお手伝いでも構いません、毎日できることをしてもらって、「ありがとう」と感謝を伝えるだけでも全く違うと思います。
(4)子どもの気持ちを受け入れる
親にしてみれば、わが子が不登校になるという状況は不安以外の何物でもありませんね。
そのため、「みんな嫌でも登校してるんだから甘えないで」「いつまで休んでるつもりなの?」などと干渉したくなるものです。
しかし、親自身の不安や焦りを払拭するために子どもに登校するように言っても、子どもの心には届きません。
なぜなら、その言葉は子どものためを思って放たれたものではないからです。
まずは子どもが登校拒否をする理由に耳を傾けましょう。聞いている最中に「甘えるな」とか「それは違う!」とか横槍を入れたくなるでしょう。
それでも最後まで聞いてあげましょう。子ども自身もなぜ学校に行きたくないのか理解できていないこともあります。
親が自分のことをわかってくれてると思うだけでも、子供は落ち着いたり、味方がいると勇気が湧くものです。
家庭すらもいにくい場所にならないよう、誰よりも味方でいてあげましょう。
自分の思いを全部吐き出させることで整理させてあげるのです。その後で、子どもの話から課題を見つけ、親子でクリアしていけばいいのです。
(5)フリースクールに入れる
フリースクールとは、何らかの理由で学校に行くことができない子どもが小学・中学・高校の代わりに通うことができる学校のことです。
普通の学校に比べてフリースクールは生徒の“主体性”を尊重する傾向にあり、伸び伸びと勉強や学校生活を送ることができます。
また、フリースクールには同じような境遇の子どもたちが多いため、子どもの居場所を作ることが得意でもあります。
学校復帰や進路先を決めるためのフォローもしてくれるため、いきなり学校復帰が難しいという子どもにはまずフリースクールに通わせてみるのも一つの手です。
不登校を克服した人の体験談3つ

(1)母親の「大丈夫よ」が心の支えに
『お恥ずかしい話ですが、私は小学3年生のときに授業中におもらしをしてしまいました。するとそれに気づいた男子生徒が大声でクラス中に伝え、一気に広まりました。あまりの恥ずかしさに私は翌日から登校拒否をするようになりました。
そんな自分を母親は一切叱らずに、ただただ「大丈夫よ」と背中をさすってくれました。それが心の支えになり、1週間ほどで学校に行けるようになりました』(32歳女性)
子どもが危機に陥っているとき、親がそれに気づいてフォローしてあげることが大切ですよね。
もしこのとき、子どもの異変に気づかず親が頭ごなしに「いいから学校に行きなさい!」と怒鳴っていたら、ますます登校拒否をするようになったかもしれません。
(2)環境を変えて立ち直った
『無視される、殴られる、シャーペンの芯で頭を刺される、給食の残飯をかけられる、そんなことが続いて不登校になりました。泣きながら親に訴えると、返ってきた言葉は「転校しよう」でした。
結果的に転校した私は立ち直ることができました。あのとき親が無理に学校に連れていこうとしていたら、私の人生はもっと暗いものになっていたと思います』(28歳女性)
子どもが不登校になった原因がその子自身ではなく周囲の環境にあるのなら、いっそ環境を変えてしまうのも一つの手ですね。
(3)親がかけ合ってくれた
『担任の先生に嫌われ、毎日のように理不尽なことで叱られていたので、次第に登校拒否するようになりました。当時の私は“先生=正義”だと思い込んでいたので、自分が悪いのだと思っていました。
しかし、親に打ち明けてみると「それは先生が悪いな」と言って直接かけあってくれました。それ以降先生から嫌がらせを受けることはなく、普通に学校生活を送ることができました』(31歳男性)
子どもがイジメの相談を受けても、世間体を気にして対応しない親がいます。「あんたが悪い」と決めつけて無理に学校に行かせるのです。
しかし、親は子どもにとって最後の砦。全力で子どもの味方をしてあげるのが親の務めですよね。
不登校を経験した有名人や芸能人

エジソンが学校へ行かなかったのは有名な話です。アインシュタインも学校嫌いでした。
引きこもりを経験した芸能人には中川翔子さん、千原ジュニアさん、HKT48指原莉乃さん、マツコデラックスさんなどがいらっしゃいます。
不登校をする子は本人に欠陥があるわけではなく、感受性が人並み以上に強いとも言われています。
過去の偉人や芸能界で脚光を浴びている人々を見れば、なるほどと納得できるものがあるのではないでしょうか。
「学校に行かなかった一時期がそれほど大きなことではなかった」そう思えるくらい充実した未来が、お子様たちにもきっと訪れるはずです。
不登校児の引きこもりが長引くと将来こんな苦労をする

登校拒否をしている子どもを無理に学校に通わせることは逆効果です。親が焦れば焦るほど、子どもは引け腰になってしまうからです。
しかし、不登校や引きこもりがあまりにも長引くと、将来的に悪影響が出る恐れがあります。
以下では不登校・引きこもりが長引いたことで将来起こり得る悪影響についてお話ししていきます。
(1)働き口がなくなる
不登校の期間があっても、途中で復学できれば大丈夫ですが、引きこもったまま学歴もなく成人を迎えた場合は働き口がかなり限られてきます。
低学歴でも力仕事の多い職場などでは採用されやすいですが、普段引きこもっているような人は体力がないため、長く続きません。
そうなると、自分が働ける仕事がほぼなくなるのです。
学校に通わずとも学歴は取得することができるので、若いうちに絶対とっておくことをオススメします。
(2)社会性が身につかない
幸い働き口を見つけても、今度は“人間関係”という大きな問題にぶつかります。
学校に通っていないと社会性が身につきませんから、突然社会に出たら、世間では当たり前とさせているマナーを知らなかったり、職場での円滑なコミュニケーションが取れなかったりして働きづらい環境を作ってしまいます。
(3)モテない
「モテないのは別にいいじゃん」という声が聞こえてきそうですが、異性から侮蔑の目で見られることほど自分のプライドが傷つくことはありません。
不登校や引きこもりが長期化してしまうと、同世代の嗜好が分からず、ファッションや立ち振る舞いが「ダサい」と思われがちです。
とくに思春期は異性との関係で傷つきやすいので、「モテない」ということも無視できない大きな問題といえます。
まとめ
「不登校を克服した体験談」や「不登校児の引きこもりが長期化するリスク」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
子どもが不登校になっても、必ずしも将来が閉ざされるわけではありません。適切な対応とサポートで子どもを立ち直らせてあげるようにしたいですね。
●ライター/aki(中高英語教員)
●追記/パピマミ編集部