父親の産後うつ「パタニティブルー」の原因と対処法
2014年9月17日 | よみもの父親の産後うつ「パタニティブルー」の原因と対処法

【ママからのご相談】
先月に第1子を出産したばかりの者です。子どもが生まれて喜んでいてくれていた主人の様子がちょっと変わってきたのが気になります。イライラが目に見えてわかりますし、子どものことをわざと避けているような感じがするのです。これって、『パタニティブルー』でしょうか?
たくさんコミュニケーションを取って、夫婦の絆を深めることが大切です。
こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
ご出産、おめでとうございます。第1子とのことですので、日々慣れない育児に奮闘していることと思います。
近年になって、『パタニティブルー』というものがあると話題になっていますね。いわゆるマタニティブルーの父親版みたいなものです。
最初にお子さんをかわいがっていたのに、最近では避けるような感じがあるとのことですので、その可能性は高いかもしれません。
男性の産後うつは、お互いを思いやってコミュニケーションを取ることで早く良くなることが多いと言われています。

パタニティブルーはどうして起こるの?
出産を境にして起こるマタニティブルーと同じように考えてしまいがちですが、実際は違います。
女性はホルモンバランスの乱れが大きな原因とされていますが、男性の場合は、原因がはっきりしていないのが現状です。
慣れない育児に疲れを感じたり、睡眠不足が原因になりうるとも言われています。しかし、断定はされていません。男性は、仕事に行くことで大きなストレスにさらされています。
きっかけはストレスや環境の変化かもしれませんが、はっきりした原因がわかっていません。
男性の場合は、“仕事をしている自分”と“育児をしている自分”のギャップを感じてしまい、うつのような症状を起こすようです。
どんな症状が出るのか
男性の産後うつの場合、次のような症状が出てくるようです。
・睡眠不足
・わけもなく落ち込む
・食欲不振
・興味喪失
・疲労感
・追い詰められていると感じる
このような症状はほんの一例です。相談者様のご主人のようにイライラだったり、子どもを避けるという例も挙がっています。さまざまなストレスや環境などが重なって起こります。
初めての子どもの場合は、特に男性に対しての育児の情報が少ないために、「子どもはかわいくて仕方ないのに、何をどうして良いかわからない」ということから起こってしまうようです。
こんなときこそ、コミュニケーションを深めましょう
うつは、心が空気の抜けたゴムまりに例えられることが多いです。
さまざまなストレスにさらされ、心の中にある思いを吐き出すことができない状態です。
こんなときは妻が力になってあげることが大切です。いっぱい話し合って夫の心を満たしてあげることがカギとなるでしょう。
出産したばかりということを考えますと、どうしても子どもにばかり目がいきがちですが、子どもが寝たら夫に目を向けるなど工夫が必要です。2人でおいしいものを食べたり、話をしたりスキンシップを取ることを大事にしましょう。
人は誰しもストレスを受けると、「自分はダメな人間だ」と思ってしまいがちです。それを分かち合って、「必要とされる心地よさ」を与えてあげませんか。こういうサポートがとても大切です。
出産を終えたばかりで、子育てと家事と体調の変化とで大変なのはむしろ相談者様の方です。
しかし、心の問題だけは後回しにはできません。命を絶ってしまう危険性が隠れているからです。
ご主人が『パタニティブルー』かもしれないと思っているのなら、今、必要なのは、ご主人を必要としているという相談者様の心を感じさせてあげることではないでしょうか。その心地良さをご主人に感じさせてあげてください。
【参考文献】
・『新しいパパの教科書』ファザーリングジャパン・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)