身体と心に現れる“介護ストレス”との向き合い方
2014年9月12日 | よみもの身体と心に現れる“介護ストレス”との向き合い方

【女性からのご相談】
数か月前から実母の介護をしています。介護を始めた当初はお互いの関係もよく、ストレスを感じることはなかったのですが、母にさまざまな症状が出始めてからストレスを感じるようになりました。どのようにしてストレスと向き合ったら介護が楽になるでしょうか。
ストレス源を見つけ、対処方法を行うことが大切です。
初めまして。メンタルケア心理士の桜井涼です。
ご相談ありがとうございます。私も認知症の祖母の介護をしていましたので、介護の辛さやストレスの大きさはわかります。しかも実母となれば、そのストレスもかなりのものでしょう。
ストレス源を見つけて、対処法を実践しながら介護に向き合うことが、これからの介護生活に大事なポイントになります。

介護のストレス源はどこにあるか
介護をする立場にある者は、大きなストレスにさらされます。
自分にとって身近な人であればあるほど(自分の両親など)、元気だった頃のことが頻繁に思い出され、どうしてもその時分と今を比べてしまいます。情けなく感じたり、年老いた親のことで胸がいっぱいになってしまうことだって日々の中であるでしょう。まさにストレス源はここにあります。
それに加えて、介護は肉体的に大変ですし、1人になって考えたりする自由な時間がほとんど取れなくなってしまうため、余計に大変な思いを抱え込んでしまいます。先の見えない介護や症状の悪化などによるイライラや不安が大きいです。
これらが身体や心にさまざまな症状を引き起こします。
身体に現れたストレスの対処の仕方
介護は身体を使いますので、どうしても腰痛や肩こりが出てきてしまいます。
ここに頭痛や胃痛などの症状が出てきたら、病気が隠れているかもしれませんので、きちんと医療機関を受診します。病気が見つからなかった場合は、対症療法を行ってみましょう。
考え込んでしまったりすると、どうしても余計なところに力が入ってしまいますので、ストレッチをして身体を伸ばしたり、身体を温めてリラックス効果を高めましょう。ゆっくりと入浴することが出来ないことも多いかと思いますので、温めたタオルを痛みの感じる患部に当てて、数分でも休息を取るようにしてみてください。
この時間は介護のことを考えず、深呼吸をしてゆったりした気持ちでいることがポイントです。
心に現れたストレスの対処の仕方
「元気だったお母さんがなぜ……」「自分がしっかりしないと……」などさまざまな思いが頭の中を巡り、落ち込んでしまいます。そのせいで疲れやすくなってしまったり、イライラが募ったり不安になったりと、心は大きく揺れていることでしょう。「そんなときは、考え方を切り替えればいい」と言われたり、本に書かれていたりします。でも、実際は難しいです。
一番いいのは、自分1人の時間を作ることです。限られた時間でも好きなことを思いっきり楽しむ事ができれば、心は元気を取り戻すことができます。私はそのことに気づくことが出来ず、1日を仕事と介護で終わらせていました。はっきり言ってこれはよくありません。
介護ヘルパーさんにお願いしたり、他の家族にお願いして自分1人だけの時間を取りましょう。これが一番いい対処の仕方です。
介護は本当に大変です。ストレスは身体にも心にも響いてきて、しんどいと感じるでしょう。眠れなくなってしまったり、身体に不調を起こしやすくなってきます。これを防ぐためには、対処方法を少しずつでも実践して、乗り切ることが大切です。
自分の親を介護するとなると、自分1人の時間を取ったりすることが不安になるかもしれませんね。でも、介護をする人が元気でないと介護される側も不安になったり、「迷惑をかけている」と余計な心配をされるでしょう。
誰かにお願いする時は、ゆっくり休んでください。元気に介護に励むことが大事なのですから。そうして介護ストレスとうまく付き合っていきましょう。
【参考文献】
・『完全図解 新しい介護』大田仁史、三好春樹・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)