ひとり親家庭が利用できる学習支援サービスとは
2014年9月11日 | よみものひとり親家庭が利用できる学習支援サービスとは

【ママからのご相談】
シングルマザーです。息子が4月から中学2年生になりました。現在は公立中学へ通っていますが、同級生はみんな学習塾へ通っており、正直なところ不安でいっぱいです。本人も塾へ行きたいというのですが、生活するだけで精いっぱいで、塾に通わせる余裕がありません。自力で頑張れと言うしかないのでしょうか。
お住まいの地域によっては学習支援事業を行っていることも。
ご相談ありがとうございます。シングルマザー歴15年ぐらいになったライターの川中利恵です。
中学生になり、進学が視野に入ってくると、ほとんどの子どもは塾へ通い始めます。
もちろん塾に行かずとも優秀な高校へ進学する子どももいますが、親として不安になる気持ちはとてもよく分かります。私自身もそうだったためです。

塾なしの高校受験は難しい?
アラフォーの私が中学生のころですら、通塾していない子どもはまれでした。しかし私自身は、学習塾なるものに通ったことは一度もなく、受験に挑みました。問題集すら買うお金がなかったので、推薦は学校の問題集だけで受験し(あっさり落ちましたが)、その後は進路が決まった友達に過去問題集を借りて勉強した記憶があります。
とはいえ、時代も受験制度も一般的な生活レベルもすっかり変わりました。
2013年度の平成25年度全国学力・学習状況調査によると、中学生の塾や家庭教師を利用して勉強する生徒の率の全国平均はおよそ60%。地域によっては70%以上にものぼります。特に都心では、塾に通ったことがない子どもを探すほうが難しいのではないでしょうか。
事実、受験では、公立中学の学習だけでは解くことは難しいレベルの問題が出されます。通塾率の高さはそのためでしょう。
無料で勉強を教えてくれる学習支援ボランティア事業
そんな教育格差が起きている現状を顧みて、各自治体では、“ひとり親家庭”の小学生・中学生に向けた学習支援制度を実施しています。塾までの交通費はかかりますが、原則的に教材費も授業料も無料としていることが多いようです。
ただしこの制度を活用できる世帯は、地域によります。対象も、『ひとり親世帯』『生活保護世帯』などと自治体により異なり、申し込み方法や機関もさまざまです。
まずはブラウザを開いて、お住まいの地域の“自治体名と学習支援塾”などのキーワードで調べてみてください。
まだある! 公的な学習支援制度
公的な学習支援塾のほかにも、放課後、先生や大学生ボランティアによる学習支援を行う公立中学もあります。この場合は、在学中の生徒全員が受講することができるケースが多く、収入による差はありません。
また、そのほかにも教育費を援助する制度があります。
たとえば東京都では、一定所得以下世帯の受験生が利用する塾の受講料や受験費用を無利子で貸与する『受験生チャレンジ支援貸付事業等の貸付事業』が実施されています。
また、シングルで頑張るママやパパ本人の懐が厳しくとも、おばあちゃんおじいちゃんが何とかできる、という家庭もあるでしょう。本来は贈与税がかかりますが、教育資金の場合は贈与税が非課税となる税法上の優遇措置もあるのです。
実のところ、わが家ではこれらの制度を利用せず、近所のリーズナブルな塾を探して受験を乗り切りました。
本来であれば、「公立中学の授業でしっかり勉強をすれば、わざわざ塾へ行かずとも一定水準以上の知識が身につく」という教育制度であるべきだと個人的には思います。
しかし、現状は理想と異なり、通塾できる子どもとできない子どもの学習力格差がそのまま成人後の収入格差となり、貧困の連鎖が起きています。
もし条件が合うのであれば、お子さんと相談をしてみて、学習支援の利用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
【参考リンク】
・ひとり親家庭の支援について | 厚生労働省(PDF)
●ライター/川中利恵(在宅ワーカー)