“二日目のカレー”に潜む食中毒の危険性
2014年7月15日 | よみもの“二日目のカレー”に潜む食中毒の危険性

こんにちは、スチューデントドクターのひでくらてすです。
もはや、日本の国民食とも言える、カレー。日をおいたカレーはコクやうまみが増し、よりおいしく感じますよね。しかし、そんな2日目のカレーにも実は落とし穴があるんです。
カレーやシチューなど、主に肉料理を再加熱することで食中毒を引き起こす細菌、それが『ウェルシュ菌』です。

“2日目のカレー食中毒”の原因となる『ウェルシュ菌』
『ウェルシュ菌』という名前、あまり聞き慣れないと思います。ウェルシュ菌は『嫌気性細菌』と呼ばれ、酸素の少ない環境に棲息します。土中や河川、下水などに広く分布し、家畜などの肉類もしばしばウェルシュ菌に汚染されることがあります。
また、ウェルシュ菌は100度という高温で熱せられても死滅せず、5〜10度で毒を産生し、40〜50度で最も活発に増殖するという特性を持っています。
つまり、ウェルシュ菌は加熱調理(100度)しても死滅させることができず、冷蔵(5〜10度)されることで毒素を産生し、再加熱(40〜50度)することでさらに増殖するということです。
しかも、この論理でいけば、2日目、3日目と加温・冷却を繰り返せば繰り返す程、毒素が蓄積され、食中毒の危険性が増すわけです。
厚生労働省の統計によれば、ウェルシュ菌は2013年の食中毒患者における原因微生物として第4位で、『ノロウイルス』『カンピロバクター・ジェジュニ』『サルモネラ菌』に次ぐ多さです。その割合は、全体の約14%にも及び、しばしば宿泊施設や老人ホームでの食中毒として話題になります。
『ウェルシュ菌食中毒』の症状
ウェルシュ菌による食中毒は、腹痛と下痢が主な症状で、ほとんどの場合1〜2日で自然に軽快するようです。その点では、牡蠣などに含まれるノロウイルスによる食中毒よりは程度が軽いと言えるでしょう。
しかし、お年寄りや子どもでは、下痢から脱水などの症状をきたすこともあるそうなので、決して甘く見てはいけません。
ウェルシュ菌食中毒の予防法
ウェルシュ菌による食中毒を予防する主なポイントは2点、調理法と保存法です。
調理する時、野菜などはしっかりと水洗いしましょう。また、調理したその日に食べきる方が安全ですが、保存する場合はタッパーなどに移して、速やかに冷凍(0度以下)し、再加熱は75度以上の高温で行いましょう。
以上のような点に注意すれば、ウェルシュ菌による食中毒の可能性を減らせるだけでなく、カビの増殖や他の細菌の抑制にも効果があるので、ぜひ気をつけてみてくださいね。
【参考リンク】
・主な食中毒病因物質リンク | 厚生労働省