加入するべき? 押さえておきたい「賃貸住宅向け火災保険」の知識3つ
2014年6月5日 | よみもの加入するべき? 押さえておきたい「賃貸住宅向け火災保険」の知識3つ

【女性からのご相談】
夫が急な転勤で賃貸マンションへ単身赴任をします。引っ越し先の不動産屋さんで火災保険に入るように言われましたが、家財も少ないので、入るかどうか迷っています。賃貸住宅向けの火災保険がどういう保険かを教えてください。
本当に入った方がいいの?
ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子です。
急なご転勤はご家族の方にとっても、短い期間での転居先の決定や、手続きなど大変ですよね。忙しさのあまり、一体何の手続きをしているのか? 何が重要なのか? わからなくなってしまうことはありませんか?
今回は、ご相談いただいた、賃貸住宅向け火災保険の押さえるべきポイントについて、ご説明させていただきます。

(1)「賃貸住宅向け火災保険」……普通の火災保険と何が違う?
賃貸住宅向け火災保険は、多くの場合1万円~2万円位の金額で、不動産屋さんで加入します。入居者は建物に対する保険には加入しません。火災が起きた場合、建物の修復は建物所有者(大家さん)で加入している保険でおこなうからです。
ですが、自分自身の家財は誰も補償してくれませんので、ご自身で備える必要があります。よって、賃貸住宅向けの火災保険は、主に家財に対する保険になります。
それ以外に、火事や落雷に対する被害、給排水設備によって生じた事故による水ぬれ損害、風災などの補償、その他水災や盗難に対する備え等が、基本的に付帯されているのが特徴です。
でも実は保険に加入する意味として、大切なポイントが他にもあります。
(2)「借家人賠償責任補償」は必ず!
日本の民法には“失火責任法”というものが、古くから存在します。
自分が火災を起こし、隣家を焼失させても、損害賠償責任が発生しないというものです(重過失は除きます)。
ただ、部屋を借りている人は賃貸借契約により、“自分の住んでいた部屋は原状回復をして返す”という義務があるため、結果として入居者は、部屋を自分で修繕しなければなりません。その際に「借家人賠償責任補償」を使うことで、原状回復に要する費用をカバーしてくれます。
大家さんとしても、入居者が火災を出して夜逃げした! いうことがあったらたまったものではありません。火災保険に加入してもらうことを条件にしていることがほとんどです。
その他、日常におけるトラブル、例えば、「自分の家の水モレで階下の家の家電製品を壊してしまった!」などの損害をカバーする「個人賠償責任補償」も安心な補償です。
これらは基本の家財の契約とセットになっている場合がほとんどですが、加入の際にはしっかり確認しましょう!
(3)解約手続きは忘れずに!
引越しなどでお部屋を退去し、もう火災保険が必要でなくなった場合は、必ず解約の手続きを申請しましょう。支払った保険料の一部(解約返戻金)が戻ってくるケースもあります。
どこに問い合わせをしたら良いかわからなくなった時は、入居時にお世話になった不動産屋さんや、加入している保険会社に問い合わせをすると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
賃貸住宅向け火災保険は、家財の補償以外にも、重要な意味が含まれています。「引越で物入りだから……」と省略せずに、必ず入る保険として理解をしておきましょう。
●ライター/小澤美奈子(ファイナンシャルプランナー)