子供に将来の夢がない時に勉強のモチベーションを上げる方法
2014年5月27日 | よみもの子供に将来の夢がない時に勉強のモチベーションを上げる方法

【ママからのご相談】
うちの息子は今年中3になるのですが、将来の夢が何もありません。そろそろ進路選択の時期なので、もう少し将来のことも考えながら勉強してほしいと思っています。もう中3にもなるのに、夢や目標が何もないのは寂しいことだと思います。しっかり勉強をさせるためにはどうすればいいでしょうか。
夢や目標以外の理由で勉強してもいい。
ご相談ありがとうございます。プロ家庭教師の佐々木です。これまで述べ200名以上の生徒さんの学習指導に携わってまいりました。
将来の夢がないのは心配ですよね。
安倍政権のもとで経済のテコ入れが行われていますが、それでもまだまだ不況や就職難などの不安が残る中、我が子には夢を持って前向きに勉強してもらいたいと思うのも、親としてきわめて自然なことと思います。

夢を持つのは、実は難しい!?
しかし、夢を持てば勉強するかというと、それは別の問題としてとらえなければなりません。アブラハム・マズローの欲求階層説によれば、人間の欲求には5段階の階層があるとされています。
「生理的欲求」=生命維持のための食事・睡眠・排泄等の本能的な欲求
(1)安全欲求
安全性・経済的安定性・良い健康状態の維持・良い暮らしの水準、事故防止。
(2)社会的欲求
自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚、人間関係・他者に受け入れられているという感覚。
(3)承認(尊重)欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。
(4)自己実現欲求
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して、自分がなりえるものにならなければならない、という欲求。
より高次の欲求に移行するためには、現時点の欲求がある程度満たされる必要があります。
この観点からみると、「自己実現欲求」は、もっとも次元の高い欲求であることがわかります。
お子さんに対して「自分はこのようにして社会貢献して自己実現する」という点から自己を考えてもらい、勉強に勤しんでもらうのは、学生のうちは難しい要求かもしれません。
「認められたい」「ほめられたい」「達成感を味わいたい」でも構わない
そこでうまく活用してもらいたいのが、「承認欲求」です。
生理的欲求と安全欲求がある程度満たされると、どこかのグループに所属したい、そこで認められたいという欲求が出てきます。勉強ができるようになったら、「あなたはスゴイね!」と認める言葉を掛けてあげましょう。
実は、夢や目標を持てない子の多くが、ある問題を抱えています。
“自信”が足りないのです。
自信がないから、「面白そう」と思えることを見つけたとしても、「私(僕)には無理だ」と思ってしまい、積極的に取り組むことができません。
なかなか将来の夢を持てない子どもには、まずは「得意なこと」や「できそうなこと」を見つけてもらうことからスタートしてはどうでしょうか。それが周囲から認められることで、自尊心や積極性を育むことができます。
また、相談者さんは「夢があるから勉強する」、つまり「うちの子は夢がないから勉強しない」とお考えではないかと思います。もちろん、夢のために勉強を頑張る子もいますが、そういう子ばかりではなく「人から認められたい、ほめられたい」「みんなにすごいねって言われたい」「いい点を取ることに達成感を感じる」という理由で勉強する子どもも、少なくありません。
まずしっかり勉強をしてもらうために、夢も大切ですが、それ以外でお子さんがやる気になるポイントを探してみると、意外なところにヒントがあるかもしれません。
「夢がなくても、勉強が好き」「褒められたいから頑張れる」という子もたくさんいます。勉強のモチベーションは人それぞれ。
ぜひ、お子さんが頑張れるポイントを探してみてくださいね。
●ライター/佐々木恵(プロ家庭教師)