別居中の夫婦でも不倫をしたら慰謝料は請求されるのか
2014年5月23日 | よみもの別居中の夫婦でも不倫をしたら慰謝料は請求されるのか

【ママからのご相談】
私は結婚していますが、旦那とはここ数年別居中です。子供はいません。実は、現在お付き合いしている男性がいます。別居しているとはいえ、やはり法律上は籍が入っているので、私は不倫していることになり、旦那にばれたら慰謝料請求されるのでしょうか。
他の異性とお付き合いは、旦那さんとの関係にケリをつけてから。
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の島田さくらです。
旦那さんと別居中に、他の男性とお付き合いをすると慰謝料請求されてしまうのか。お付き合い中の男性とあなたが、深い関係を有していることを前提に考えてみましょう。

夫婦間には『貞操義務』があります
結婚している夫婦間には「貞操義務」があります。そのため、夫婦の一方が配偶者以外の異性と肉体関係を持てば、慰謝料を支払わねばなりません。これが原則です。
しかし、何十年も音信不通の夫が籍を抜いてくれず、法律上は「夫婦」のままである場合に、新たな交際が一切できないとなれば、それは人生寂しすぎますよね。また、「貞操義務」というのは、夫婦が円満な家庭生活を維持するために認められているものなので、保護すべき夫婦関係がすでに破綻している場合には、認められないということになります。
最高裁判所も、『甲の配偶者乙と第三者丙が深い関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である』としています。
婚姻関係の破綻が認められれば
夫婦関係が破綻しているか否かは、婚姻期間・別居期間・夫婦間の深い関係の有無や、連絡の状況、夫婦関係が悪化するに至った事情等を、総合考慮して判断されます。
今回のケースでは、旦那さんと数年間別居しているとのことですが、もちろん、旦那さんが仕事の都合で単身赴任しているだけで、「普段から連絡をとっている」「深い関係もある」ということであれば、婚姻関係が破綻しているとはいえず、慰謝料を払わなければならないでしょう。
反対に、旦那さんとの関係が悪化しており、「別居してから連絡もほとんどとらない」「生活費等もまったく別々の状態」で、本当に「ただ籍が入っているだけ」ということであれば、婚姻関係の破綻が認められる可能性も出てきます。
そうなった場合には、慰謝料は支払わなくてよいということになります。
別居しながら婚姻関係を続ける事情は様々ですし、簡単でことではないと思います。
しかし、他の異性とお付き合いを始めるのは、旦那さんとの関係にケリをつけてからの方がよいというのは間違いないでしょう。