人工ミルクでも問題ナシ!? 母乳育児のメリット&デメリット
2014年4月30日 | よみもの人工ミルクでも問題ナシ!? 母乳育児のメリット&デメリット

【女性からのご相談】
現在妊娠中で、安定期に入ったところです。出産予定の産院では完全母乳育児を推奨していて、粉ミルクは一切使わないと言われました。私自身は、母があまり母乳が出なかったためにほとんど粉ミルクで育てられたそうです。でも、何の不自由もないし、障害もありません。どうして母乳にこだわらなければならないのでしょうか?
まずは母乳育児のメリットとデメリットを知ろう。
出産に関しては、戦前の医療介入のない自然な形から、戦後の医療介入推奨へと急速に移行し、近年はまた、できるだけ自然な形が望ましいという方針に変わって来ました。
人工ミルクに関しても同様で、一時期は、必要なビタミンやミネラルを含み、与える量もはっきりしている人工ミルクが、母乳より良いとされた時期もありましたが、現在では、WHO及びユニセフが主体となり、世界的な母乳育児奨励運動が行われています。
この背景には、近年の研究によって、母乳育児のメリットがより科学的に明らかになったことが挙げられるでしょう。今日は、これらのメリット、及び、あまり注目されることのないデメリットについてもお話ししようと思います。

(1)母乳育児のメリット
・完全オーガニックであり、個々の赤ちゃんに必要なカロリーと栄養が含まれている
・母乳から免疫が移行するため、赤ちゃんが病気にかかりにくくなる
・無料である
・いつでもどこでも必要な時に供給することができる
・適正温度である
・母子相互作用(アタッチメント)を促進する
・成功した場合の達成感がある
(2)赤ちゃんの健康面でのメリット
・下痢や嘔吐などが重症化する確率が低下する
・肺炎や内耳炎、中耳炎などが重症化する確率が低下する
・便秘になりにくい
・将来肥満になる確率が低下するため、2型糖尿病やその他の生活習慣病のリスクが下がる
・湿疹にかかりにくい
(3)母親の健康面でのメリット
・乳がん及び卵巣がんにかかるリスクが低下する
・一日500キロカロリー消費することができる
(4)母乳育児のデメリット
・人工ミルクに比べてビタミンKが不足しがちである(ビタミンKの不足によって、血液凝固因子の生成がうまくいかず、出血を起こす場合がある)
・慣れるまでは乳首が痛んだり、傷ができたりすることがある
・うまくできないことが精神的ストレスになる
・人工ミルクと比べて頻回な授乳が必要な場合が多く(特に夜間)、母親が極度な睡眠不足になりやすい
・母親以外が授乳を代わることができないため、母親の負担が大きい
・母乳が足りていない場合、赤ちゃんの成長に影響が出る場合がある
・母親が飲酒できない
母子に与える健康面でのメリットに関しては、すべて研究により証明されていますが、母乳をあげなければ病気にかかる、というような単純なものでもありません。あくまでも、「確率が下がる」という程度のものです。
デメリットについて言えば、近年の世界的母乳推奨の流れから、あまりおおっぴらに研究されたり語られたりすることはまずありません。しかし、助産師として多くのお母さんたちを見てきた経験から、母乳育児は必ずしもパーフェクトではなく、デメリットもあると言わざるを得ません。
母乳育児をするにしろ、人工ミルクを選ぶにしろ、選択権は母であるあなたにあります。
周りの意見に左右されることなく、メリットとデメリットを理解した上で、自信を持って選択しましょう。
また、最初は母乳育児に挑戦しても、うまくいかないこともあるかもしれません。そんな時でも自分を責めずに、過度なストレスになる前に、人工ミルクに切り替えても良いのです。
あなたが元気で健康でいることが、赤ちゃんにとってはもっとも大切なことなのですから。