犯罪を助長する? ゲームが子供の脳に与える影響と適切な付き合い方
2014年4月22日 | よみもの犯罪を助長する? ゲームが子供の脳に与える影響と適切な付き合い方

【ママからのご相談】
この春小学校に入学した男の子の母です。最近息子が「DSかWiiを買って!」としつこく言ってきます。
息子の友達もほとんどの子がどちらかを持っているようで、息子をゲーム機から遠ざけておくことは難しいような気がします。
ゲームをすることによる影響(良い面、悪い面)を知りたいです。
> “ゲーム=子供に悪影響”の図式が定着したキッカケ(P2)
> ゲーム脳が社会に及ぼす影響(P3)
> ゲーム脳への反論(P3)
> 犯罪とゲームの関係性(P3)
> 研究で判明したゲームのメリット6つ(P4)
> 研究で判明したゲームのデメリット5つ(P5)
> ゲームは何歳からOK!?(P6)
> 若者に大人気の“スマホゲーム”に潜む危険性(P6)
> PCのオンラインゲームの危険性(P7)
> ゲームと上手に付き合うコツ5つ(P7〜8)
> まとめ(P8)
こんにちは! 転勤族フリーライターのパピルスです。
ゲームが子供に与える影響はたしかに気になりますよね。今回は専門家の意見を交えてご紹介したいと思います。
専門家の考えるゲームの子供への影響

小児発達医で、2児の母でもある本田真美氏は、著書の中でこう述べています。
『私自身は、テレビもゲームも内容や時間が常識的な範囲内ならば、子どもの脳にはよい影響があると思っています』
その理由として、次のような4点が挙げられています。
(1)思考や記憶
ゲームをして楽しいと感じるとドーパミンが分泌され、思考や記憶、運動を司る脳の場所がよく働くようになる。
(2)抑止力や注意力
画面状況に応じて判断力が求められ、抑止力や注意力が要求される。
(3)脳を活性化
ゲーム機のボタン操作は手指の緻密な動きを通じて脳を活性化する。
(4)遂行機能力(計画して実行する力)
ゲーム中で次の課題に進んでいくには記憶力が必要になり、ゲームを上手に進めるためには遂行機能力(計画して実行する力)が鍛えられる。
ただし、(3)については「ゲーム機の操作にある程度慣れると前頭前野への血流量は低下し、最小限の労力で活動するようになる」という研究論文もあります。
ゲーム機のボタン操作をたくさんしたからといって、必ずしも脳が活性化されるかどうかは断定できないところです。
本田氏は、大人が手放しでゲーム機を子供に与えていいというわけではなく、
・子供には、現実とゲームの世界の区別がつきにくいこと
・ゲーム機から発せられる光刺激が脳を疲れさせること
などには十分に注意する必要があることにも言及されています。
子供には刺激の強すぎる“暴力的な内容のソフト”は与えず、一日にしてよいゲーム時間を決めるなど、保護者がしっかりと監督していく必要があるということですね。
文部科学省の「テレビゲームが子供に与える影響」という考察では、“悪影響”についてはまだ実証研究が不十分で断定できない部分が多いとされています。
その一方で、“良い影響”としては、
・友だちなどと一緒に遊んだ場合のチームワークを促す
・ゲームをクリアしたときに自分に自信を持つことができる
・読書、算数、問題解決のスキルを養うことができる
などが挙げられています。
ただし、これらも選ぶソフトによって影響が異なってくると述べられています。
確かに、裏ワザを教え合って大勢で頭を突き合わせてワイワイと協力している姿を見ると、こうしたコミュニケーションのやり取りは良い影響と言えるのかもしれないなと感じます。
また、経済産業研究所の中室牧子氏らが、小学校1年生~3年生を対象に「家庭内外の問題行動」「学校への適応度合い」「肥満の程度」を調べました。
子供の発育には「早寝早起き」「朝ごはんをきちんと食べる」といった基本的な生活習慣の方が、テレビやゲームよりも影響力が大きいという結果が出ています。
どんなにゲームを制限し、きっちり時間を守らせたりしていても、「早寝早起きができていない」「朝食をしっかり食べない」という状況ではそちらの方が問題のようです。
→次ページでは、“ゲーム=子供に悪影響”の図式が定着したキッカケを見ていきましょう。