出産時、補助金はいくらもらえる? 妊娠出産時にもらえる助成金&補助金まとめ
2014年4月16日 | よみもの出産時、補助金はいくらもらえる? 妊娠出産時にもらえる助成金&補助金まとめ

【ママからのご相談】
先週、妊娠がわかったばかりで妊娠悪阻(つわり)もありながら、お金のことで悩んでいます。ろくに貯金もない上に共働きで生活がやっとの状態です。
妊娠がわかったのに、今後の生活が不安で手放しに喜べません。
こんにちは。助成金を活用して出産したメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
妊娠とお金は切っても切り離せない問題ですよね。私も第一子を出産したときは貯金もなく、出産費用をどう捻出しようかと悩み、ストレスから切迫流産になりました。
でも大丈夫です。FPに相談したり、もしくは制度をうまく活用して、国や市町村からの助成金を活用することと、生活の仕方を工夫することで乗り切ることができます。
損しないために要確認です。
出産にかかる費用
妊娠中、出産にいたるまで必要になるのが妊婦健診(妊婦健康診査)です。合計で10回を超える健診が必要になり、これだけで10万円を超えるでしょう。
また、最も大きな出費となるのが分娩費用。病院によって差があるものの、およそ30〜70万円が必要になります。
この他、マタニティ用品や出産準備用品なども含めると、50〜100万円ほどの出費を見込まなければなりません。
出産にかかる費用についての詳細は以下の記事をご覧ください。
出産する場所による費用の違い
出産する場所や環境によって費用は変わります(里帰り出産などの場合も)。ここでは費用が高い順に見ていきましょう。
個人産院
エステやディナーが用意されているなど、贅沢な設備が整っている産院での出産は費用が高くなります。
ここでの出産にかかる費用は40〜60万円ほどで、個室などを希望すれば100万円近くかかることもあるようです。
総合病院
おそらくここでの出産を選択する人が多くを占めるでしょう。
大部屋は安く個室だと費用が上がるのは個人産院と同じで、相場は35〜45万円ほどになります。
家族とゆっくり落ち着いて過ごしたいという場合には個室を選んでも良いのではないでしょうか。
自宅出産
リラックスした状態で出産できると、近年人気のある出産方法です。
ただし、自然分娩以外の緊急を要する出産ではリスクがともない、赤ちゃんに危険を及ぼす可能性もあります。
費用は25〜40万円ほどです。
出産でもらえる助成金情報の集め方
まずは、母子手帳をもらいに役所へ行くと思います。そのときに助成金の話をしてくれますし、パンフレットや申込み用紙ももらえます。
しかし、“今から”住んでいる市町村の助成金情報をある程度知っておくと安心です。インターネット上でも公開していますので、しっかりと確認してみましょう。
聞き慣れない言葉もあるかもしれませんが、そんなときはプリントアウトしておくと便利です。
公的資金の助成を受ける際の詳細については以下の記事をご覧ください。
出産でもらえる助成金10種
基本的に出産や、妊娠は病気でないため、公的医療保険制度の支給対象になりません。なので、自己負担は3割ではなく、全額自己負担になります。
ただし、医学的な必要性の観点から帝王切開や、切迫早産などの医療行為が伴った場合に限り健康保険が適用されるようになっています。
その一方で妊婦さんの検診にかかる費用が助成制度として負担を軽減してくれたり、出産費用についても、公的医療制度として出産育児一時金などが支給されたりします。
妊婦健康診断受診票
出産までの妊娠期間中には「妊婦健診」が義務付けられています。
健診回数は、妊娠初期が月1回程度、臨月に入ると週1回の合計14回ほど受診することになります。
現在、全ての自治体で妊娠健診を14回無料で受けることができます。
自治体に「妊娠届」を提出すると、「母子健康手帳」と「妊婦健康診査受診票(14枚)」がもらえます。
「妊娠届」を提出する場合、産婦人科で妊娠判定をしてもらう必要があり、これは保険適用外なので自費になってしまいますが、とても助かる制度ですよね。
里帰り出産をする方の場合
里帰り出産では原則、妊婦健診の無料制度は使えません。
ただし、使用しなかったからといって「妊婦健康診査受診票」は捨てないでください!!
使用せずに残った受診票は「妊婦健康診査助成金制度」を使えば現金化してもらえるのです。
受診票を現金化できる期限は自治体によって決まっているので注意してください。
里帰りが長い場合には、旦那さんにお願いしましょう。
出産育児一時金(自分が加入している健康保険へ)
子ども1人につき42万円が支給される制度です。子どもの数に関わらず、双子の場合は84万円、三つ子なら126万円となります。
国民健康保険(国保)、健康保険(健康保険組合)に加入しており(被保険者・被扶養者)、妊娠4か月(85日)以上の出産であることが条件です。付加給ふも同様です。
ちなみに上記の条件を満たした上での死産の場合でも支給されるようになっております。
ただし産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合、もしくは在胎週数22週未満で分娩(出産)の場合は40.4万円となります。
出産育児一時金は、病院での費用を自分で立て替え産後に受け取る方法と、病院へ直接支払われる方法がありますが、後者の“直接支払制度”を利用するのが一般的。
この場合は42万円を超えた分のみ病院での支払いが必要になります。
直接支払制度で42万円を下回った場合は差額請求が必要になります。
必要なもの・書類は以下になります。
- 出産費用の明細書
- 保険証
- 世帯主の印鑑
- 世帯主名義の振込口座
その後の流れとしては必要な書類を提出後、1カ月〜2ヶ月後に差額が支払われる形になっています。
直接支払い制度以外では、受取代理制度という制度があります。受取代理制度は小さな医療機関等で利用するための制度となっています。
ただし、医療機関等から交付される証明書や請求書(領収書)の送付など少し手間が必要になってきます。
出産育児一時金についての詳細は以下の記事をご覧ください。
高額医療費控除(各税務署へ)
1世帯が1年間で支払った医療費の合計額が10万円(年間所得が200万円未満の場合は所得金額の5%)を超えた場合、超えた金額をその年の所得から控除することができます。
入院や通院でかかった費用の他、交通費などもこれに含まれます。確定申告の際に忘れずに記入するようにしましょう。
児童手当(各役所へ)
子どもが0歳から中学卒業(15歳になった最初の3月31日)まで支給されるもので、3歳未満は月に1万5000円、それ以降は月に1万円を、4か月ごとに受け取ることができます。
受け取りには毎年“現況届”の提出が必要になるため、忘れず行うようにしましょう。
なお、支給の対象となるのは申請した翌月分からとなり、忘れるとさかのぼって受給することができないため注意が必要です。
児童手当の詳細については以下の記事をご覧ください。
乳幼児の医療費助成(各役所へ)
住んでいる地域によって各自治体が、乳幼児の診察や治療でかかった医療費の一部を助成してくれるというもの。
ただし、健康保険などに加入していない乳幼児は対象外となります。また、予防接種や健康診断などの費用については助成の対象外となっています。
出産祝金(会社から)
退職・休職する場合は会社からもらえることもあります。
育児休業給付金(会社で手続き)
育休期間中は会社から給与が支払われないため、その期間の生活を援助するものとして育児休業給付金があります。
これは雇用保険からの支給となり、休業してから180日は給与の67%、その後は50%が支払われます。
基本的に1歳未満の子を育てるために休業した雇用保険から支給される給付金となっております。
ただし、賃金の上限は42万6,900円となっており、この67%または50%までしか受け取ることができません。
会社からもらえるものは就業規則に書かれているため、事前に目を通して煙に巻かれないようにしましょう。
育児休業給付金についての詳細は以下の記事をご覧ください。
出産手当金
産前42日と出産後の56日の産休期間中、生活のサポートを目的に健康保険から支給される手当金です。
金額は標準報酬日額の3分の2で、育児休業給付金と違い、出産手当のため母親のみの支給となります。
健康保険へ1年以上加入していれば派遣やパート社員も同様に受け取ることができます。
なお、出産手当金をもらうと年収130万円以上となる人がほとんどで、そのあいだは夫の扶養に入ることはできなくなります。
そのため、この期間の保険は以前の勤務先の健康保険を任意継続をするか、新たに国民健康保険へ加入する必要が出てくるでしょう。
手続きとしては、会社または社会保険事務所への申請書と勤務実態ないしは給料の確認できる書類を提出する必要があります。
出産手当金の詳細については以下の記事をご覧ください。
高額療養費制度
高額療養費制度は1年間の世帯医療費でしたが、“高額療養費制度”は1か月間に本人の自己負担額を超えた部分が払い戻されるというもの。
帝王切開などの場合は高額療養費の給付対象になります。
収入によって限度額が5段階に分けられており、病院で『限度額適用認定証』を提示することで、負担額を超える部分は窓口で支払う必要がなくなります。
なお、年収500万円の人で100万円の医療費がかかった場合、自己負担額は87,430円となります。
高額療養費制度についての詳細は以下の記事をご覧ください。
傷病手当金
妊娠悪阻(つわり)や切迫流産などにより傷病を受けた場合、標準報酬日額の3分の2の額の傷病手当金を受け取ることができます。
ただし、これは出産手当金と同時に受給することはできず、両方の資格を満たす場合には、出産手当金が優先して適用されることになります。
全国の市町村で子育て支援が充実している街
国としての補助金は上記で述べたようなものが存在しますが、各自治体でも別の支援を用意しています。
今回は以下の自治体の制度についてご紹介していきます。
- 横浜市・川崎市(神奈川県)
- さいたま市(埼玉県)
- 流山市・千葉市(千葉県)
- 浜松市(静岡県)
- 名古屋市(愛知県)
- 大阪市・寝屋川市(大阪府)
- 西宮市(兵庫県)
- 奈良市(奈良県)
- 福岡市(福岡県)
- 飯田市(長野県)
- 長岡市・新潟市(新潟県)
- 高松市(香川県)
それぞれ上記一覧の各市町村の詳細を見ていきましょう。
横浜市・川崎市(神奈川県)
横浜市の補助金制度としては、私立幼稚園就園奨励補助金という制度があります。
こちらは、入園時と通園時の負担軽減を目的として、園児1名につき年度で1回支給されるようになっています。
川崎市では補助金の支援ではないですが、ワクワクプラザ事業というものを行なっております。
市内の市立小学校を対象に放課後などに遊びを通じた仲間づくりの支援などの活動を午後6時まで行なっているようです。
さいたま市(埼玉県)
さいたま市では、子育てパパ応援プロジェクトというものを行なっております。
これは父親の1日保育士・幼稚園の先生体験の実施などを行なっております。また父子手帖も配布し、パパの子育て参加を積極的に促しています。
流山市・千葉市(千葉県)
千葉市では、イクメンハンドブック(育男手帳)というものを配布しています。
これも上記のさいたま市の取り組みと同様に男性の育児参加を支援する目的があり、母子健康手帳と一緒に配布しています。
流山市では、児童育成手当というものを行なっております。
これは児童扶養手当受給者の中から、看護する子どもが2人以上いる場合に限り、二人目以降に月額4000円の支給(一人あたり)を行なうというものです。
浜松市・裾野市(静岡県)
浜松市では、一人親家庭等自立支援手当というものを支給しています。
これは、子どもが2人以上いる児童扶養手当受給者に対して、3年間市独自の手当を支給するというものです。
裾野市では、チャイルドシートの補助金の交付を行なっています。
現在6歳未満の乳幼児を車に同乗させるときには、チャイルドシートの着用が義務付けられていたりするので、助かりますよね。
名古屋市(愛知県)
名古屋市では、上記の市町村とは違った子育て支援の取り組みがあります。
それはNAGOMii(なごみー)というアプリの配信です。
これは、子育て支援情報の提供を目的としており、名古屋市独自で行なっている支援となっております。
大阪市・寝屋川市(大阪府)
大阪市では子ども・子育て支援プラザというものを行なっています。子育て層を支援するための講座や、イベントの開催、情報提供などを行なっています。
寝屋川市では、ファミリー・サポート・センターという独自の取り組みを行なっております。
これは子育てを応援するために、育児の援助を受けたい人と援助したい人を結ぶということをしています。地域で子育て支援をできるような取り組みですね。
西宮市(兵庫県)
西宮市では、千葉市や、さいたま市同様に父子手帳の配布を行なっております。
これも、父親の育児参加を目的としており、妊娠中のパートナーへの配慮や、赤ちゃんの育児の仕方などが書かれているものになっています。
奈良市(奈良県)
奈良市では子育て支援の取り組みを様々やっています。
例えば、イクメンハンドブックの配布、子育て情報サイトの運営、少人数学級などなどです。少人数学級は小学校4年生までは少人数学級での学級運営を行うものです。
子育てに関する取り組みはかなり行なっているので、詳細は奈良市のサイトなどを見てみることをお勧めします。
福岡市(福岡県)
福岡市では、第3子優遇事業という取り組みを行なっております。
これは18歳未満のお子さんを3人以上育てている家庭に対して、支援を行なっている取り組みになります。
具体的には、3番目以降のお子さんに対して小学校入学前3年間の保育料・入園料の助成を行っているようです。
飯田市(長野県)
飯田市では様々な取り組みを行なっていますが、大きな取り組みとしては、多子世帯に対する軽減を拡充しています。
従来の保育料の軽減策よりも、負担を減らす取り組みをしており、多子世帯に対して支援を行なっています。
長岡市・新潟市(新潟県)
新潟市では、子育て応援アプリによる情報発信、男性の育児休業取得促進事業などを行なっているようです。
他にも様々な取り組みをしているようなのでぜひ新潟市のホームページを見てみてください。
長岡市では、産前産後家庭生活応援事業というものを行なっております。
これは、妊産婦が、出産前後に家事または育児の支援を受けた時に、その費用のうちの1000円を市が助成してくれるというものです。こちらも利用してみたいと思った場合は市に問い合わせをしてみてください。
高松市(香川県)
高松市では様々な子育て支援のサービスを行なっています。
例えば、子育て支援資金活動を行なっていたり、ひとり親家族のサポート、障がい児のいらっしゃる家庭サポートなど他にも5つほど行なっています。
こちらもいつ支給されるのかなどの詳細の方はぜひ高松市のホームページの方を確認してください。
東京23区・市町村で子育て支援が充実している10の地域
国による補助金はもちろん、各自治体・市区町村も子どもを産み育てる家庭への支援を用意しています。ここからは、特に東京23区・市町村での子育て支援について見ていきましょう。
今回は東京都の中でも千代田区、杉並区、港区、練馬区、新宿区、大田区、世田谷区、中野区、中央区、八王子市の取り組みについて紹介します。
千代田区
千代田区では、子どもの医療費助成を高校3年生まで支援。
また、次世代育成手当として、16〜18歳の児童を持つ保護者に、児童1人あたり5,000円を支給しています。
他の自治体では支援が薄くなりがちな年代への保障が手厚いと言えるでしょう。
杉並区
育児に関するサービスを積極的に展開する杉並区。
有料の子育て支援サービスに使うことができる『子育て応募券』は、就学前の子どもがいる家庭に無料で発行され、この券による料金は事業者が区に請求する仕組みとなっています。
そのため、事業者側もサービスの充実を図ろうとし、相互にとって良質なサービスが生まれるきっかけとなっています。
港区
港区では、子どもを持ちたいとする家庭への支援が充実。
不妊治療の助成金を、1年間で30万円、通算5年で150万円までの助成を所得制限なしで実施しているのです。
不妊治療は精神的にも金銭的にも負担の大きなものであり、子どもを持つことを諦めなければならないと思っていた世帯にとって希望となる制度でしょう。
練馬区
練馬区では、子ども多く持つ家庭を援助するため、『第3子誕生祝金』として、3人目以降に生まれた子ども1人につき20万円を支給しています。
所得制限などもなく、3人目以降は人数の制限もありません。なにかと出費のかさむ子育ての強い味方となるのではないでしょうか。
新宿区
まず、新宿区では出産祝いとして誕生祝い品がいただけます。また、その他にも妊娠・出産・子育てを応援する1万円相当の品をもらえます。
子育ての領域でも、しんじゅく子育て応援ナビを運営し情報提供を行なっていたり、子育てファミリー世帯居住支援というものを行なっています。
子育てファミリー世帯居住支援とは義務教育終了前の子どもを持つ世帯が新宿区内で民間の賃貸住宅に引っ越す際に費用の一部を助成してくれるというものです。
子育て世代はうまく活用したいですね。
大田区
大田区では基本的に子育ての中でも保育士に対する様々な制度を設けています。これは、大田区内での保育士の人材の確保・定着、また保育の質の向上を目的としています。
具体的には、保育士の人材情報サイトの運営や、保育士応援手当を2017年から開始したりしています。保育士応援手当は月額1万円支給される制度となっています。
ただ、要件もあるので大田区のホームページをチェックしてみてください。
世田谷区
世田谷区では、出産費用の援助を行なっています。
具体的には、第3子以降の出産費の一部を助成していて、上限6万まで助成してくれるようです。出産を控えた家庭にとっては心強い制度ですね。
中野区
中野区では、妊娠・出産・子育てトータルケア事業を実施しています。
これは産前、産後、子育てを切れ目なくサポートすることを目指しています。
例えば、産前だと、出産に向けた心身の準備を整えることを目的として講座を開催したり、産後には初めの育児中のお母さん同士の情報交換会などを開催したりしています。
中央区
中央区では、出産祝いとして、妊婦にタクシー利用券(1万円分)を贈呈していたり、新生児誕生祝品として区内共通買い物券3万円分を贈呈しています。
タクシー利用券は産婦人科に行く時などにタクシーを利用する頻度が増えたりもするので、そこはありがたいですよね。
八王子市
八王子市では、産後の子育てサポートを拡充させています。
例えば、子育てモバイルサイトの運営や、レンタルベビーカーをサービスを行なっていたりします。
子育てモバイルサイトはメルマガの配信や、予防接種スケジュールの管理サービスをの提供をしています。レンタルベビーカーは公共のベビーカーを無料で貸出してくれるので便利です。
ぜひ利用してみてください。
まとめ
「出産にかかる費用」や「妊娠出産でもらえる助成金や補助金」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
ほとんどの制度は申請が必要なものであり、「知らなかった」となるともらえる金額に大きな差が出てしまうことも。
慌ただしくなりがちな妊娠期間中でも、事前にしっかりと調べておくことで安心した子育てを行うことができるはずです。
生まれてくる子どものためにも、後悔することのないよう確実に受け取りたいものですね。
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
●追記/パピマミ編集部