虐待や養護施設の現実とは? 『明日ママ』が社会に提起した2つのこと
2014年3月31日 | よみもの虐待や養護施設の現実とは? 『明日ママ』が社会に提起した2つのこと

【パパからのご相談】
僕は、今年長女が生まれたばかりの父親です。少なくとも、自分の子どもはこんなに可愛いのに、なぜ虐待がおこるのか疑問です。それから、ドラマの『明日、ママがいない』を観ていて、なぜ子どもを手放したりするのかも疑問です。あのドラマもひどいと思いました。
ドラマ『明日、ママがいない』の是非。
こんにちは。ソーシャルビジネス・コンサルタントの片山知行です。
ソーシャルビジネス(社会的課題の取り組み)を主に行っています。疑問、質問にお答えしたいと思います。
3月12日に終了した『明日、ママがいない』ですが、フィクションとはいえ、生い立ちなどに関するあだ名やペット扱いなどは確かにひどいと思います。
多くの大人は、「あれは事実ではない」と思っていると思いますが、あの過剰な脚本、演出により、国会の場でも取り上げられる事態になったことで、普段の生活では関心を持たなかった事柄に、私たち国民が関心を寄せるきっかけになったことは一定の評価があると言えます。
一方、今、児童養護施設などで暮らす子どもたちへの影響、学校でのいじめへの発展はとても心配ですが、そこは、私たち大人がしっかりと受け止め、子どもたちに教えなければなりません。

なぜ虐待はなくならないのか
虐待が発生してしまう原因は、とても複雑な要因が絡み合い簡単には説明ができませんが、育児ストレスも大きな要因のひとつと考えられています。
誰も、虐待をしたいために子どもをもうけるということはなく、毎日の育児に疲れ、誰にも相談できず、やがてそれがストレスとなり子どもにあたってしまうということが多いようです。
残念ながら、虐待者のうちの6割以上が実母となっていますが、これは、多くの母親が孤立した育児をしている表れともいえそうです。
育児は、母親だけがやるものではなく、父親や親族、地域の人たち皆でやるものだと思います。そうすることで、虐待を減らす、なくすことができるのではないでしょうか。
これを機に、社会的擁護を考えてみませんか?
ご両親が亡くなられたり、経済的に困難だったり、何らかの事情で親と暮らすことができない子どもは全国に約4万7千人いて、この子どもたちの養育を支える仕組みが「社会的養護」といわれています。
代表的には、児童養護施設のような「施設養護」と里親制度の「家庭的養護」の2種類があり、施設は全国に600弱で、そこには約3万人の子どもが暮らしていて、里親家庭で育つ子どもは約4,000人強にとどまっています。
綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、子どもは未来であり、文字通り将来日本を支えます。
わが子は本当に可愛いものですが、私たちが住む日本にも、さまざまな理由により、さまざまな状況で暮らす子どもたちがいます。
これを機に「社会的擁護」を考えて頂けたらと思います。そして、寄付だけではなく、施設に赴き、勉強を教えたり、一緒に遊んだり、絵本読んであげたりという大人が増えれば良いと思います。
素晴らしいご相談、疑問をありがとうございました。
【参考リンク】
・社会的養護の課題と将来像の実現に向けて | 厚生労働省(PDF)
●ライター/片山知行(ソーシャルビジネス・コンサルタント)