分娩第一期から第三期の流れと基礎知識
2014年3月28日 | よみもの分娩第一期から第三期の流れと基礎知識

【女性からのご相談】
先日、妊娠が判明しました。お産の本を読むと、分娩には第一期から第三期まであるようなのですが、具体的にイメージできません。良くわかっていなくても大丈夫なものでしょうか?
分娩第一期とか第二期とか、知らなくてもお産には何の支障もありませんが、知っておくことで多少は不安が軽減できるかもしれません。何事においても、全くの未知の世界よりは、少しは知っている世界の方が安心できるものです。
今日は、分娩第一期から第三期について、簡単にご説明します。

(1)分娩第一期
10分おきの規則的な陣痛が始まってから、子宮口が全開大(10cm)になるまでのステージを指します。初めてのお産の場合で平均12〜16時間と言われています。
実はこれは、なかなか曖昧な定義です。というのも、陣痛というのは、必ずしも10分おきに規則的になってから、段々強くなるわけではないからです。
中には、15分おきと5分おきを繰り返しながら徐々に強くなる人もいますし、逆に、きちんと10分おきでも、一向に強くならないこともあります。
欧米では、この分娩第一期の定義はもっと分かりやすいもので、「子宮口が3センチまで開いてから全開大になるまで」とされています。というのも、3cmまで開いてしまえば、あとは順調に陣痛が強くなっていくことが予想されるからです。言い換えれば、3cmまでは、数時間で開く人もいれば、数日かかる人もいるということです。
ここで、ゴム風船を思い浮かべてみて下さい。
真新しい風船を膨らます時は、最初の一息が一番大変ではありませんか? 逆に少しでも膨らんでしまえば、それを大きくしていくのは意外と簡単です。
子宮口も同じことで、最初の3cmが一番開きにくいのです。でも、最初の3cmが開けば、あとは異常がない限り、平均で1〜1.5時間に1cmずつ開きます。
(2)分娩第二期
子宮口が全開大(10cm)になってから赤ちゃんが産まれるまでのステージを指します。初めてのお産で、2時間以内とされています。
この頃には、通常であれば、産婦さんはいきみたいのを我慢しているはずです。排便と同じで、骨盤の出口付近に何か(この場合は赤ちゃんの頭)があると、神経が刺激されて自然にいきんでしまうからです。
おそらく、ほとんどの産婦さんは、分娩第一期の終わり頃(子宮口が8cm程度)から、いきみ感を感じ始めると思います。ですが、子宮口が開ききらないうちにいきんでしまうと、子宮口が裂けて大出血が起こったり、赤ちゃんが圧迫されすぎて苦しくなったりするので、助産師の話を良く聞いて、いきんで良いと言われるまでは我慢することが大切です。
さて、分娩第二期に入ったら、いよいよいきみ始めるわけですが、一度や二度のいきみですぽっと産まれるケースはごく稀です。通常は、30分〜1時間、何度も何度もいきみ続けて、初めて赤ちゃんの頭が出て来ます。いきむのにはかなりの体力が必要で、果てしない作業のように感じられますが、確実に赤ちゃんは降りて来ています。諦めずに頑張っていきみましょう。
(3)分娩第三期
赤ちゃんが産まれてから、胎盤が出るまでのステージを指します。医師が臍帯(へその緒)を引いて、胎盤を出す場合は数分(最長で30分)、自然な娩出を待つ場合は10分程度(最長で1時間)かかります。
赤ちゃんが産まれた後なので、あまり重要でないと思うかもしれませんが、この時は大量出血の危険性が最も高いため、注意が必要です。
以上が、ごく簡単な分娩の流れです。
もちろん、知らなくてもお産はできますから安心して下さい。
当日分からないことがあれば医師や助産師に聞いて、できるだけ「未知の世界に対する不安」を取り除けると良いですね。