知っておきたい自宅出産や助産所出産の危険性4つ
2014年3月27日 | よみもの知っておきたい自宅出産や助産所出産の危険性4つ

【女性からのご相談】
最近ネットで、助産所でお産をして赤ちゃんを亡くした方の話を読みました。テレビなどでは、自然なお産の良い点ばかりが報道されていますが、安全面ではどうなのでしょうか? 私の友人たちも「妊娠したら助産所に行く」と言っている人が多くて不安です。
いつの時代においても、お産には危険が伴います。
確かに、最近は、「産み方は生き方」などといって、やたらとスピリチュアル面を強調し、お産をまるでイベントのように捉える風潮があります。
しかしいつの時代においても、お産には危険が伴います。
今日は、欧米で行われた調査を元に、日本における自宅出産および、助産所出産の危険性に着目してみたいと思います。

(1)自宅出産の新生児死亡率は病院出産の3倍
これは、欧米数か国の合同調査で明らかになった数字です。高いと思いますか?
日本ではきちんとした調査が行われていませんが、現状を見る限りでは、日本における自宅出産の危険性は更に高いと言えそうです。
この欧米での「死亡率3倍」という数字は、
(1)お産は必ず2名の助産師が介助(単独では行わない)
(2)もともとリスクの低い妊婦のみ
(3)緊急帝王切開可能な病院との強い連携あり(すぐに搬送可能)
(4)自宅であっても新生児に対する蘇生の用意あり(酸素ボンベ持参および徹底した助産師教育)
という、準備万端な状況下での数字です。
この(1)〜(4)の条件全てが、日本では満たされていません。
日本では、産科病院との連携もないまま、新生児蘇生の準備もないまま、単独でお産に望む助産師がいるということです。そして、そういった助産師に共通して言えることは、医療行為を悪行と捉え、お産の精神性にこだわることです。
(2)日本においては、助産所出産も同じ危険性を伴う
欧米には、日本でいうところの助産所は存在しません。なぜなら、緊急帝王切開を行うことの出来ない出産施設など、法律上認められないからです。助産所はすべて病院内(あるいは敷地内)にあり、緊急時には医師が対応します。
例えば、医師や医療機器、薬などが不足している国々では、もちろん、屋根とベッドさえあればお産が行われるでしょう。でも、日本はそうではありません。助産所というのは、あえて医療機器から離れることを目的とした施設です。
せめて新生児蘇生の準備があれば良いのですが、それも法律で強制されているわけではありません。実際、私が学生時代に実習をした助産所には、新生児を蘇生するための台(インファントウォーマー)すらありませんでした。
更に驚いたことに、助産所の嘱託医制度にはいくつもの抜け道があり、実際には、産科医との強い連携があるわけでも、受け入れが確保されているわけでもない場合が多々あります。極端に言えば、一般人が救急車を呼んで、どこかの病院に搬送されるのと変わりない程度の安全性しかないのです。
これでは、助産所の安全性は自宅出産のそれとほとんど変わりない、と考えても差し支えないでしょう。
(3)医師や病院を敵対視する助産師には注意して
自宅分娩や、助産所を経営している助産師には、医療行為に否定的で、妊娠出産に関するケアを医療行為以外の何かで代替しようとする場合が見受けられます。
例えば、マクロバイオティック、気功、ヨガ、整体、鍼灸、ホメオパシーなどです。
もちろん、これらの代替医療も全く効果がないわけではありませんが、助産師の仕事はあくまでも「お産を助ける」ことであり、これらの専門外に手を出す助産師というのは、明らかに「病院では出来ない何か」を売りに顧客獲得を狙っていると言えます。
ではなぜ助産師が代替医療に傾倒しやすいかと言うと、単純に、助産師は医師と違い、薬の処方やその他多くの医療行為が出来ないからです。
お産の安全性を第一に考えるなら、当然のことながら医師との協力が必要です。医療行為を否定する助産師は、逆に言えば、安全性は二の次だと考えていると言うことが出来ます。
(4)「最終的には自己責任」こんな言い逃れを許さないで
この言葉ほど、医療者として残酷でずるい言い分はありません。例えば、赤ちゃんが亡くなっても、「最終的に自宅分娩を選んだのはあなた。あなたの責任ですよ」と言っているのと同じです。こんな誠意のない言葉があるでしょうか。
少子化の現在、出産は一大イベントです。だからこそ、思い描いた通りの出産をしたい、自然なお産がしたいと思う人が増えています。でも、今一度立ち止まって良く考えてみて下さい。
一番優先されるべき事柄は何でしょうか? 赤ちゃんの無事ではありませんか?
自宅出産には大きな危険が伴います。
また、助産所出産を希望する場合も、慎重に情報を収集して、産科医との連携が強く、医療に対して否定的ではないところを選んで下さい。
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