夫婦で同じお墓に入りたい? 終末期の考え方
2014年3月17日 | よみもの夫婦で同じお墓に入りたい? 終末期の考え方

【男性からのご相談】
結婚して16年目です。先日、父が病気を患ったことをきっかけに、妻と将来の事を話しました。僕には衝撃的だったのですが、妻に、「同じお墓には入りたくない」と言われました。結婚して、死んだら同じ墓に入るものだと思っていました。
お墓に関する男女の価値観を探る。
「結婚作家」の池です。ご相談ありがとうございます。
お墓の問題は、将来の夫婦設計や、家族の在り方にも影響を与えるものですよね。夫と妻の考え方の違いを踏まえて、将来の家族の形を互いに幸せだと思えるように、考えていきましょう。

(1)お墓は一緒でなくてもいい、女性の本音
第一生命が実施した『墓に対する意識調査』によると、「自分の終末期のことを考えていますか?」という問いには、「考えたことはあるが、準備はしていない」という意見が過半数以上。
しかし、自分の墓や埋葬方法に関しては、年齢層を問わず、過半数以上の方が「考えたことがある」と答えています。日本人にとって、「墓」に対する意識は高いもので在ることが解ります。
そして、「夫婦は同じ墓に入るべきか?」との問いに対しては、全体としては過半数以上が「一緒に入るべき」と答えていますが、否定派の意見で面白いのは、男性は6.4%なのに対し、女性は17.5%となり、女性の方が、「同じお墓に入らなくてもいい」と考えていることが解りました。
年代別にみると、70代は、過半数以上が同じ墓に入るべきと答えているのに対し、40代は24.9%と非常低いのです。この40代という年齢は「結婚生活の満足度」も低い層であることも解っています。男性と比べ、女性は夫婦が共にお墓に入ることに積極的ではないということです。
(2)「今」の夫婦関係が重要
40代の夫婦が、共に墓に入ることに対して積極性が低いという点から見ても、「今」の状態が、大きく「将来の在り方」に響いているのではないでしょうか。70代の夫婦は、紆余曲折を乗り越え、年齢を重ね、感謝の念を抱いているからこそ、「同じ墓で」という発想がすんなりと理解できるのではないか、と思うのです。
ご夫婦関係に不満や、迷いが多い場合には、将来に関して……ましてや、終末期まで視点は拡げられないのではないでしょうか。今一度、パートナーとの「今の在り方」を見直すことも必要だと考えます。
(3)各家庭で作られる「文化」
「墓」に対して、女性や若い世代は、伝統的な考え方をすることがあまりない、ということも理解し、終末期のお話をフランクに、夫婦や家族で話し合ってみる時間も必要なのではないでしょうか。
私自身の経験をお話すると、お盆には、小さい頃から祖父に連れられて墓掃除に行きました。そこで、先祖や祖父の父の話なども聴くことができました。
今のご家庭の中に「家族の文化」が無い場合は、「墓に一緒に入る」という感覚はなお、薄くなってしまうということです。夫婦、家族が、先祖のことや見守る場所、訪れる場所のことを元気なうちからお話することで、家族の中の「価値観」を共有することが出来るのではないかと思います。
終末期やお墓のこと。これらは夫婦や家族の「文化」なのではないか、と思います。
その文化を作るのは、やはり「現在」の夫婦関係や家族関係が大切ということですね。まだ先のことではなく、今出来ることは改善していきたいですね。
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●ライター/池倫子(結婚作家)