ズルいor羨ましい? “2月退園”をして卒園式に出ないママたちの実態
2014年3月14日 | よみものズルいor羨ましい? “2月退園”をして卒園式に出ないママたちの実態

年長児のママたちにとって、この春は涙のシーズン。卒園に入学と、感動的なシーンが目白押しですよね。
長年通った園を巣立つ卒園式。そして、お世話になった先生たちへ感謝の思いを伝える謝恩会。どれも思い出深い大切なイベントですが、これらを面倒に感じて早期退園してしまうママたちがいるのをご存じですか?
彼女らは通称「2月退園ママ」。どこの園にも存在するわけではなく、現状ではまだ少数派ですが、年を追うごとに着実に増えてきているようです。
今回はそんな2月退園ママたちの現状を、ママ友、先生たち、そして当事者から語ってもらいました。

(1)「ズルい」「羨ましい」……ママ友たちの声
まずはこちら、2月退園ママと同じクラスだった保護者たちのコメントです。
年度途中で突然姿を消してしまうクラスメイトに、ママ友らはどのような印象を持つのでしょうか。
『堂々と、「卒園アルバムとDVDのお金を払うのがバカバカしい」って言い放って退園した親子がいました。確かに、ここの卒園式はほかと比べてもちょっと豪華。アルバム代、DVD代、記念品代、先生へのプレゼント代、謝恩会の参加費など全部で6万円近くのお金が飛びます。でも、みんな参加するセレモニーに、ひとりだけ参加させないのはヒドイ。子どもが不憫です』(30代女性/私立幼稚園ママ)
『謝恩会では、卒園児の親子全員で余興をするんです。上の子のときは「マルマルモリモリ」をやりましたし、今年は「恋ダンス」を披露することになっていました。3月に入ると夜、地域の集会所にあつまって、みんなで練習します。保育園ですから、夕方お迎えに行って、急いで食事を済ませ、集まるのはその後。9時過ぎに解散し、急いで帰ってバタバタ寝かせ、翌朝また登園です。正直ツラいですが、先生を喜ばせるためにみんな頑張ってる。そういうのがイヤだからといって、ひとり退園していくのはズルいし、和を乱すと思いませんか?』(40代女性/公立保育園ママ)
このように、ママ友間ではあまり快く思われていない様子です。しかし、
『許されるならウチも2月末で退園したいです……ホントはちょっと羨ましい気持ちもあります』(20代女性/私立保育園ママ)
『子どもの写真入り食器とか、別にいらないような記念品までお金を取られるのがちょっとね。これは参加したくない、やりたくないって堂々と言えないママだったら、ひっそり退園したくなるのも分かる気がするな』(30代女性/私立幼稚園ママ)
と本音をこぼす保護者たちの姿も少なからず見られました。
(2)「寂しい」「残念」……先生たちの声
では、先生たちからはどのように思われているのでしょうか。
『年長の3月は、園生活の集大成です。卒園式だけでなく、最後の遠足や年少児とのふれあい遊び、他園や小学校との交流など、子どもたちの成長を実感するイベントがたくさんあります。そういったものを全て「不要」と切り捨てられてしまうと、職員としては寂しい気持ちになりますね。各家庭の考えはあるのでしょうが、退園されるのはとても残念です』(50代女性/公立保育園勤務)
『子どもたちは、「みんなで卒園するんだ」「みんなで1年生になるんだ」という強い思いを持っています。園としても、子どもたちの思いをバックアップしています。そんな大切なときに、誰か1人が欠けてしまうと、その願いを達成することができない。不完全燃焼のような思いをクラス中にまき散らすことになるんです』(30代女性/公立幼稚園勤務)
保育園や幼稚園では、「友だちとの絆を作る」ことを指導の大きな柱にしています。2月退園は、そういった指導計画に反する行為と捉えられてしまうのかもしれません。
(3)「たかが幼稚園」……2月退園経験者の声
自分自身が2月退園を決行したというママたちからも、お話を伺うことができました。
『2月末で退園し、3月は就学準備と海外旅行にあてました。園長は大反対。「卒園扱いにならないし、卒園証書も渡せない」と脅されましたが、たかが幼稚園。義務教育じゃないので全く気にしませんでした。それよりも、就学前の最後の平日休みを親子で充実させたほうがよほどいいですよね。優先順位を考えたときに、わが家では幼稚園の卒園より家族の時間だった。それだけです』(40代女性/私立幼稚園を2月退園)
『ママ友からボロクソに陰口叩かれましたよ(笑)。卒園式に出られないなんてかわいそうとか、虐待じゃないのとか言う人もいましたね。そんな息子はいま中学生、卒園式に出なかったことは彼の人生にとって全然関係ありません。クラスの友だちに聞いても、卒園式のことを覚えている子は1人もいませんよ。そもそも、私たちだって自分の卒園式の記憶ないでしょ? そんなもののために、お金と時間と労力を割く必要はないですよね』(30代女性/私立保育園を2月退園)
いかがでしたか?
2月退園を行なったママたちは、充実した年度末を過ごせた、無駄な出費を避けることができたなどメリットをたくさん述べてくれました。
一方で、ママ友や先生たちからはあまり歓迎されておらず、お互いの意識には大きなギャップがあるようです。
現状ではまだ少数派の2月退園ママ。ライフスタイルや考え方の変化によって、これから増えていくのでしょうか。すこし長期的に観察していきたいと思います。
●文/パピマミ編集部
●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)