日本で里帰り出産をする女性が多いワケ4つ
2014年2月18日 | よみもの日本で里帰り出産をする女性が多いワケ4つ

【女性からのご相談】
先日妊娠が判明しました。ほとんどの友人たちがそうしているので、私も里帰り出産をしようと思っています。ところが、イギリス人の夫が大反対して、「こんな習慣があるのは日本だけだ」と言いますが、本当でしょうか? 里帰りしなくても乗り切れるのか心配です。
少なくともご主人の国イギリスには、そのような習慣はありません。
里帰り出産の習慣がある国が「日本だけ」かどうかはわかりませんが、少なくともご主人の国イギリスには、そのような習慣はありません。
では、どうして日本ではこのような習慣ができたのでしょうか?

(1)昔、嫁は労働力だった
昔……と言っても、まだ1世紀も経っていませんが、その頃まで、嫁は一家の重要な労働力でした。親世代と同居するのが当たり前、食事の支度、洗濯、掃除、子どもの世話、すべてが嫁の仕事でした。
そんな嫁が、出産ともなると、労働力として当てにできないことはおろか、逆に手のかかる存在となります。それならば実家に戻って産んでもらおう、というのが、もともとの始まりのようです。
また、ほんの70年ほど前までは、全国民の90%以上が自宅分娩をしており、里帰り分娩と言うのは、文字通り、お里の実家で出産することを意味していました。
(2)里帰り出産が未だに生き残っている理由
現代日本では、以前のように労働力として扱われている嫁は、大幅に減少しています。それは、統計上、核家族化が進んでいることから、疑う余地はありません。それなのに、どうして未だに里帰り出産が習慣として生きているのでしょうか。
それは、現代日本が抱える新たな問題、労働時間の長さと社会の厳しさにあるようです。
核家族において、里帰り出産をしない場合、妻の産前産後を助けるのは、同じ家の中に夫しかいません。しかし日本の多くの企業では、まだパタニティリーブ(Paternity leave/父親の育児休暇)を堂々と取得できるところは少なく、中小企業ともなると更に厳しいと言えます。
忙しい夫には頼ることができず、近所付き合いもほとんどない現在、結局は里帰りをするのが一番安心である、という結論に達する夫婦は多いことでしょう。
(3)里帰りによって、父性の確立はやや遅れる
里帰りにおいて最も心配されるのが、残された夫(父親)の子どもへの愛情の芽生えです。遠くにいて、会うことができない産まれたばかりの我が子に、果たしてきちんと愛情を持てるものでしょうか。
1980年代に、日本で行われた調査によりますと、里帰り分娩の場合、父性の芽生えにやや遅れがみられるとされています。その後の研究によっても、多くがこの「父性確立」において、里帰り分娩には否定的な意見を述べています。
(4)イギリスでの出産事情
では、イギリスではどうやって産前産後の時期を乗り切っているのでしょうか。
それはずばり、夫の協力です。
日本と比べ、労働時間は短く、残業もそれほど多くありません。また、ほとんどの企業で『パタニティリーブ制度』を採用しています。その他、実家に帰るのではなく、実家の母が手伝いに来る、というパターンも多く見られます。
実家の母が来られない場合は、夫の母が来る場合も割と頻繁にあるようです。
いずれにしろ、里帰り出産という概念がないのですから、どんなに厳しくても、夫婦二人で乗り切るしかない、という考えが根底にあります。あなたのご主人もおそらく、そう考えているでしょう。
産まれたばかりの我が子と一緒に暮らせないというのは、とても寂しく疎外感さえ感じるかもしれません。相談者様も、今一度、夫婦二人で乗り切れるかどうかを検討してみてはいかがでしょうか?