これぞ子どもの食育! 家族で食卓を囲む「共食」が大切なワケ
2013年12月16日 | よみものこれぞ子どもの食育! 家族で食卓を囲む「共食」が大切なワケ

【ママからのご相談】
小学校5年生の娘が夕食のときに、「今日ね、家庭科で“共食”って習ったよ。すごく大切なんだって。お母さん知ってた?」と聞かれました。本当は良くわからないのに、「そうだよね、大切だよね、お父さん帰ってきたら話してあげなさい」と適当に答えてしまいました。
みんなで食事をすることが大切ということは何となくわかりますが、なぜ大切なのか細かいところまではわかりません。いい加減な返事をしたことを反省しています。
他の動物よりも運動能力の低い人間は、知能の発達とともに食料を得るために集団をつくり、さらに大きな共同体、そして社会を築きました。人間社会がつくられた根底には、共食文化が重要な働きをしてきたのです。
こんにちは、食育マイスターのHiroyukiです。
以前、食はどちらかと言うと科学的栄養学的に研究されていましたが、近年は、食に関わる社会問題の深刻度が増す中で、心に及ぼす影響についての研究がすすんできました。

人はなぜ食事を摂るのでしょうか?
それは、身体を動かすためのカロリーを得るため、そして、細胞を維持するための栄養素を摂取しなければならないからです。
人はなぜ料理をするのでしょうか?
生きていくのが精いっぱいの頃は、単に栄養を身体に取り込むだけでしたが、歴史の流れとともに、人が人らしく生きるため、食を楽しみ喜びを感じるために、いろいろな技術と知識を築いてきました。それが、料理文化であり食文化です。
人はどのように食べてきたのでしょうか?
料理することが文化だとすれば、他の人と食事をするようになった「共食」も文化です。小さな集団としての家族が集まり共食を行うことで、さまざまな社会集団が出来ました。
ここで最近の一般家庭の食卓を考えてみると、明らかに家族で食卓を囲む「共食」の機会が少なくなっています。それは、人が人と共に生きていこうとする心が育たない状況に他なりません。人は、「共食」という体験を通して、人・集団・社会・人生を考え人間性を育ててきたのです。
平成23年3月、内閣府に設置されている食育推進会議から、平成23~27年度までの5年間を対象とする『第2次食育基本計画』が発表されました。その中に掲げられた重点課題の1つが、「家庭における共食を通じた子供への食育の推進」です。
そこには、「家族が食卓を囲んで共に食事をとりながらコミュニケーションを図る共食は、食育の原点であり、子どもへの食育を推進していく大切な時間と場であると考えられることから、家族との共食を可能な限り推進する」と書かれています。
お子さんの心身の健やかな成長のため、そして家族みんなの健康のために、1日3回、1年間で1095回の食事のうち、1回でも多く家族みんなが楽しく食卓を囲める機会を是非つくってください。
●ライター/久松洋行(幼稚園園長)