男はツラいよ? 主夫に向けられる厳しいフレーズ3つ
2013年3月19日 | よみもの男はツラいよ? 主夫に向けられる厳しいフレーズ3つ

【男性からのご相談】
いま結婚を考えている彼女にはまだ話していないのですが、結婚したら家庭に入っていわゆる「主夫」というやつになってもいいかなと思っています。昔から子どもが好きで、一人暮らしも長いので家事もできます。何より、今の仕事のストレスから解放されるのであればいいかなと思うのですが、こういう考えは男としてあまり良くないのでしょうか?
ストレスから解放される、とは言えない現状。
はじめまして、兼業主夫放送作家の杉山錠士です。
まず、「主夫になりたい」という考えが良くないか? ということですが、これについては全然問題ないと思います。とあるアンケートでは、20代の男性で「主夫になりたい」と答えた人が半数を超えた、という結果も出ています。どうやら最近では、意外とマイノリティではない考え方のようですね。僕が主夫となった4年前では考えられないことです。
たった4年ですけど、世間は本当に大きく変わったと感じます。とはいえ気になる点があります。それは、「ストレスから解放される」と考えている点です。おそらく女性の専業主婦の方も同じことを言うと思いますが、家事や育児をやることにもストレスはあります。
「仕事は嫌、じゃ、主夫になるか!」的な考えだと痛い目に合いそうな気がしてなりません。あくまで僕の体験の範囲ですが、実は「男性が家事や育児をする」ということには、女性とはちょっと違う変なストレスがかかることがあるんです。意外と思うかもしれませんが、僕が主夫生活の中で言われたグサッとささるセリフ、というかちょっと腹が立ったストレスフルな言葉を紹介します。

(1)「仕事してないんじゃないの?」
主に保育園の送り迎えなどの時に、ママさんの間から聞かれる言葉です。さすがに大人なので直接は言ってこないですけど、事情のわからないママさんたちから好奇の目で見られることは本当に多いです。
「子どもを送り迎えする~平日の昼間に家にいる~仕事をしていないのでは?」、端的に言うと「ヒモ疑惑」とでも言いましょうか、いくら「イクメン」という言葉が一般的になっているからと言っても、まだまだ「男性が仕事、女性が家事」という固定観念は強いと感じます。感覚的には、特に女性に強い印象を受けます。すると、保育園などに行くたびにコソコソ話している姿を見たり、ちょっと聞こえたりします。これはこれでかなりのストレスです。
(2)「パパに聞いてもわからないですよね?」
これは、娘を予防接種に連れて行った時に女医さんに言われた言葉です。予防接種などに行くと、当然子どもの普段の様子を聞かれます。その時に、とある女医さんは僕が今まさに答えようと言う瞬間にかぶせるようにこう言ったのです。「パパに聞いてもわからないですよね?」
例え言った方にそういう気持ちがなくても、「男なんかにわかるわけない」と聞こえるものです。そもそも彼女にしてみれば、予防接種に来るパパは、奥さんに押しつけられて仕方なく有給をとってきた、くらいにしか思っていないのでしょう。でも、こちらにしてみれば、日々頑張ってやっているのに……と、強烈な無力感にさいなまれます。当然これもストレスでした。
(3)「仕事と家庭、どっちが大事なの?」
これは主に仕事場で言われるもので、男女でいえば、どちらかと言うと男性から言われました。言っている方は専業主婦、もしくは兼業でも家庭のことをやってくれる奥さんを持っている方が多いのですが、打ち合わせの時間を決めるときに、「夕方はご飯を作らなければいけないので日中でお願いします」など子育てを堂々と宣言すると、「それは奥さんの仕事だろ?」と言われこちらの事情を説明しても、「奥さんにそれをやらせられないお前が悪い」的な人格否定的な発言をうけます。
価値観の違いと言ってしまえばそれまでですが、説明してもわかってもらえないのはかなりのストレスです。
というように、男性がいわゆる“主夫”になると、「子どもが言うことを聞かない」とか、「自分の時間がない」など、女性の主婦が抱えがちなストレスとは別に「、逆男女差別」とも言うべくストレスがついてまわります。もちろんそういう中でも僕は、我が家の選択に自信と誇りを持っていますので軽く流しましたが、それができる自信はありますか?
確かに「イクメンブーム」という追い風はありますが、一方でいまだに「昭和の夫婦像」的な価値観という向かい風が残っていることもお忘れなく。
それも踏まえて再度考えることをオススメします。会社は辞めることができますが、主夫はやめられません。その道に入るには、よほどの決意が必要なんです。
●ライター/杉山錠士(兼業主夫放送作家)