痛みの少ない「無痛分娩」。副作用や赤ちゃんへの影響はないの?
2019年8月31日 | よみもの痛みの少ない「無痛分娩」。副作用や赤ちゃんへの影響はないの?

はじめての出産は不安なことがいっぱい。出産時の痛みもそのひとつでしょう。そこで気になるのが、痛みを和らげられるという「無痛分娩」。
痛みをあまり感じずに出産できるのは魅力的だけれど、「いきんだり、誕生の瞬間を実感したりできるの?」「赤ちゃんに影響はない?」など、気になることがあるのも事実です。
そこで、出産方法のひとつとして検討できるように、無痛分娩について知っておきましょう。
無痛分娩の痛みについて
通常の経膣分娩では、子宮の収縮や、赤ちゃんが通るときに子宮口や膣、外陰部が引き延ばされることで、激しい痛みをともないます。
実際に出産を経験したママたちによると、「腰が砕けたと思ったほどの痛み」「この世のものとは思えない痛み」など表現はさまざまですが、とにかく痛いとのこと。
無痛分娩は、子宮や膣、外陰部などからの痛みを伝える神経を麻酔で麻痺させるため、やわらいだ痛みのなかで出産に臨むことができます。ただ、まったく痛みを感じないわけではありません。
いわゆる部分麻酔になるので、通常の分娩と同じように、いきんだり、産まれてすぐの赤ちゃんを抱っこしたりすることができます。
麻酔の投与方法と効果の違い
無痛分娩のための麻酔の投与方法は主に2種類あり、ママのコンディションなどによって使い分けられます。
硬膜外鎮痛法
背中から脊髄の近くの神経までカテーテルを通して、一定間隔で持続的に薬を投与します。そのため、分娩時間が長引いても、途中で効果が切れる心配はありません。痛みをやわらげる効果が強く、ママや赤ちゃんへの影響もほとんどないため、一般的に用いられる方法です。
点滴による鎮痛法
何らかの事情で硬膜外鎮痛を用いることができないときは、点滴で静脈に薬を投与します。硬膜外鎮痛に比べると鎮痛効果は弱く、また、ママや赤ちゃんの呼吸が弱くなったり、眠気を生じたりすることもありますが、麻酔が切れれば収まり、出産に影響するほどではないそうです。
無痛分娩の副作用
出産に影響したり、ママや赤ちゃんに後遺症が残ったりするような副作用はほとんどありませんが、たくさんの神経が集まる部分へ麻酔をするので、一時的に次のような症状を感じることがあります。
- ・足の感覚が鈍くなる
- ・尿意を感じにくくなる、尿が出づらくなる
- ・血圧が下がる
- ・かゆみをともなう
- ・体温が上がる
また、極稀に、体質や投与時の異常によって、硬膜が傷ついて頭痛や吐き気を生じたり、血液のかたまりや膿が溜まったりすることがあります。
赤ちゃんへの影響
無痛分娩で産まれた赤ちゃんは、学習障害や自閉症のリスクが高まるとのウワサもありますが、医学的な根拠はなく、さまざまな研究結果で、無痛分娩による赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。
また、麻酔の量によっては、出産後しばらく音や光に対する反応が鈍いこともあるようですが、麻酔の効果が切れるまでの一時的なものなので、心配ありません。
無痛分娩が受けられないケース
血液が固まりにくい体質の場合、血液のかたまりができて神経を圧迫する「硬膜外血種」を引き超す可能性があるため、無痛分娩を希望しても受けられないことが多いようです。また、カテーテルを注入する背中や脊髄周辺に異常や病気があったり、麻酔薬に対するアレルギーがあったりする場合も、おこなえないことがあります。
逆に、妊娠高血圧症候群などを患っているママや、心臓や肺に病気があるママなど、通常の分娩では負担が大きくなる可能性の高いケースは、医学的な理由から無痛分娩を勧められることもあるようです。
無痛分娩のメリット
無痛分娩は痛みをほとんど感じないことがいちばんのメリット。痛みが軽減することで次のようなメリットもあります。
- ・出産での疲労が少ない
- ・落ち着いて出産に臨める
- ・ママの呼吸が安定しているので、通常の経膣分娩より赤ちゃんへ届く酸素が多い
- ・痛みに対する不安が軽減されることでリラックスでき、膣が柔軟になる
- ・意識がしっかりしたなかで赤ちゃんの誕生を迎えられる
- ・産後の回復が早い
無痛分娩のデメリット
デメリットとしては、主に次のようなことが考えられます。
すべての産院で受けられるわけではない
無痛分娩ができる産院は限られているため、出産を予定していた産院では受けられないというケースもあります。また、設備の関係などから計画分娩を条件にしているところもあるため、無痛分娩を希望する場合は、はやめに医師に相談しましょう。
費用が高い
出産と同じく保険適用外となるので、費用は自費になります。通常の分娩費にプラスで必要となる費用は産院によって大きく異なるので、出産予定の病院へ事前に確認しておくと安心です。
麻酔により陣痛やいきみが弱くなることがある
麻酔の影響で子宮の収縮が弱まると陣痛が弱まってしまうため、陣痛促進剤を投与することがあります。また、ママがいきむタイミングや感覚がつかめず、出産が長引いてしまうと、吸引分娩や鉗子分娩の可能性も高まります。
痛みをともなうこともある
麻酔の効きは個人差もあるため、想像していたより痛みを感じる場合や、麻酔が効かず通常の経膣分娩に切り替えるケースもあります。無痛分娩と言っても、ある程度の痛みには耐える可能性もあることを理解しておきましょう。
最後に
少ない痛みのなかで赤ちゃんとの対面を迎えられる無痛分娩。「出産の痛みを知らないと母性が育たない」などという方もたまにいますが、出産の大変さや痛みが母性に影響することはありません。
いちばん大切なのは、ママも赤ちゃんも元気にお産を乗り越えること。痛みが苦手だったり、リラックスして出産に臨みたいママは、出産方法のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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