子供がいじめにあったときどうする? エスカレートする前に親がとるべき対応

【ママからのご相談】
小学生の娘と息子の子供を2人持つ母親です。幼稚園の頃はなかったですが、小学生に上がってから長男がクラスで仲間外れされて、いじめに遭っているようです。

私は母親として子供達にどう接し、どう立ち向かうのがいいでしょうか。引っ越しも手段の一つでしょうか。

何かある前に手を差し伸べたいのです。

こんにちは。転校先でさまざまないじめ問題を経験した桜井涼です。ご投稿ありがとうございます。

お母さんとしては、わが子がいじめられているというのは、心が痛くなるショックな思いをしていることでしょう。心中お察しいたします。

私も小学生のころ、8回ほど転校を繰り返していたので友達はできませんでしたし、ひどいいじめにも遭いました。いじめはその後の心の傷にも残ります。

私のケースは、小学校へ行くよりも家族と過ごす時間や学校外の時間(習い事の時間)が楽しかったことや、親が無視せずに話をきちんと聞いてくれたこと、そして自分の存在価値と居場所(逃げ場)を確保してくれたことがあったので乗り越えることができたのだと思っています。

最近ではトイレでいじめが起きたり、落書きなどのいじめ、スマホを使ったいじめなどもニュースで報道されていたりします。いじめは犯罪として認められるケースさえもあります。

また近年ではいじめの冤罪や、子どものいじめに対して探偵に相談する件数も急増しているようです。

今日は、いじめられている側の立場からお話をさせていただきたいと思います。

子どものいじめの件数

そもそも子どものいじめの件数は全国でどのくらいあるのでしょうか?

文科省の調査結果によると、小学校から高校(特別支援学校も含む)において、いじめは18万件あると言われています。

ただし、これは認知している件数なので、実態はもう少し多い可能性が高いでしょう。

またいじめの時期の内訳としては、小学校でのいじめの件数が増加しているのが近年の傾向となっているようです。

子どものいじめの内容

では子どものいじめでは、どのようないじめが多いのでしょうか?

文科省の調査結果によると、一番多いのは「悪口を言われること」で6割超えとダントツで多いいじめとなっています。

次に叩かれるなどの暴力的ないじめが3割ほど、仲間外れや無視が2割ほど、金品を盗まれるなどが1割ほどとなっています。

また、いじめの中では少ないですが、パソコンやケータイを使用したいじめも4%ほど報告されており、近年ならではとも言えるでしょう。

ネットを使ったいじめの対処法は以下の記事をご覧ください。

関連記事

こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。ネットを使う子どもが多いため、親にとって「依存」や「ネットいじめ」がないかと不安になってしまうことがあるでしょう。今回は、“ネットいじめ”にスポ[…]

子供がいじめをする理由5つ

子供のいじめ
では、まず次に子どもが「いじめはダメだ」と認識しながらイジメをしてしまう理由はどこにあるのでしょうか?

大きく5つあると言われています。

  • 自分と違う人を排除するため
  • 心の安定を保つため
  • 自分がいじめられないため
  • 暴言や暴力が当たり前の家庭で育ってきたため
  • ストレス解消のため

それぞれ詳細を見ていきましょう。

(1)自分と違う人を排除するため

集団生活の中で、他人と違う行動をする人はどうしても目立ってしまいます。

人と一緒であることが良しとされる学校教育の中では、人と違う外見や内面を持つ子供は受け入れづらく、排除しようとする傾向にあるのです。

また、「こいつは集団を乱している。自分が正さなければ」という正義感からいじめをする人もいて、これはいじめているという自覚がないため、どんどんとエスカレートしてしまう危険性があります。

(2)心の安定を保つため

不安定な心理状態になったとき、人は自分のことを守ろうとする意識が働きます。

これを『防衛機制』といい、抑圧された感情を誰かにぶつけようとする気持ちがいじめとなって表れ、優越感で心の安定を保とうとします。

(3)自分がいじめられないため

1人の子がいじめられると、周囲の子どもたちも意地悪な子に同調して、その子に対してのいじめが連鎖的に起こることがあります。

これは、自分がいじめのターゲットになってしまわないように“いじめる側”にまわろうとするため。

本人がいじめられないためにいじめるというのは、珍しいことではありません。

(4)暴言や暴力が当たり前の家庭で育った

家庭内で両親から暴言を受けるのが普通で、時には顔に本気で殴られるなどの暴力を受けることもあるという家庭で育った子供は、それが悪いことだと認識せずに育ってしまいます。

その結果、同じようなことを学校で友達にしてしまい、しかもそれをいけないことだとは気づかずにいじめをしてしまうのです。

(5)ストレス解消

いくら子供とはいえ、学校生活を続けているとストレスを抱えてしまうもの。

勉強がうまくいかなかったり、友達関係に悩んだりして、それを解消させるために他の子をいじめてしまう子供も出てきます。

退屈な学校生活を楽しむために、いじめを行うということもあるでしょう。

またいじめられやすい子の特徴については以下の記事をご覧ください。

今と昔の子供に対するいじめの違い

子供のいじめ
いじめは昔からあるものですが、その性質・特徴は大きく様変わりし、巧妙で陰湿化してきています。

昔は、力を持ったガキ大将的な子供が暴力をふるうというもので、突発的に行われることが主でした。みんなが恐がり、いじめる側が孤立することも。

しかし、現在のいじめは、“大人数で一人を追いつめていじめる”という構図になっています。いじめる側にいることが安全とみなされ、いじめられる側を孤立させるのです。

そのため、被害者側が声を上げなければ発覚しづらく、周りに味方がいない状況へとどんどん追い込まれていきます。

「みんながやってるから」となってるうちに歯止めがかからず、エスカレートしやすいと言えるでしょう。

子供がいじめられているときのサイン

子供のいじめ
子供がいじめを受けていれば、家庭で様子がおかしかったり、何かしらのSOSのサインが見られるはずです。早い段階で異変に気付くことができ注意していれば、最悪の状況を防ぐことができます。

  • 学校のことを話さなくなる
  • ぼーっとする
  • 成績が下がる

上記のことがあれば、いじめの不安や恐怖でストレスをかかえている可能性もあるかもしれません。

また朝起きなくなったりするのもいじめられているときのサインとして言われています。

また、以下のことはいじめられている証拠として考えられるかもしれません。

  • 持ち物をよくなくす
  • 服が汚れている
  • 怪我をしている

この他、感情の起伏が激しくなったり親に対して攻撃的な言動をするようになるのも、いじめを受ける子供が見せるサインのひとつです。

子どもがいじめられているときのSOSのサインについての詳細は以下の記事をご覧ください。

関連記事

こんにちは、ライターのNANARUKAです。みなさんは、帰ってきたわが子を見て「なんか変だな」「いつもと違う様子だな」と感じたことはありますか?次の瞬間には、「学校で何かあったのかな?」「お友達に何かされたり言われたりしたの[…]

子供がいじめられていることを親に言えないワケ3つ

子供のいじめ
サインはこれまで話してきたことですが、子どもは我慢して、嘘などをついてまで親に対して隠したり、いじめを報告しなかったりします。

特に男の子にそのケースが多いとも言われています。

子どもが親に言えない理由はなんなのでしょうか?

ポイントは3つあると言われています。

  • いじめを受け入れたくないから
  • 心配をかけたくないから
  • よりひどい目にあうことへの恐れから

細かく見ていきましょう。

(1)いじめを受け入れたくない

子供にとって学校というのは、自分の世界の全てといっても過言ではありません。嫌がらせをされたとしても、そこで自分がいじめられているということは受け入れづらいものです。

「自分になにか悪い部分があるのでは」などと考え始めてしまうと、余計に言い出せなくなってしまいます。

(2)心配をかけたくない

いじめられていることを、みじめで恥ずかしいことだと思う子供も少なくありません。大切な家族にそれを知られてしまうことは、できれば避けたいことです。

決して親を信頼していないということじゃなくて、自分が大変でも、心配させたくないという気持ちが強くなることで打ち明けることができなくなります。

(3)よりひどい目にあうことへの恐れ

親にいじめられることを言えば、何らかの対処をしようとするでしょう。それが学校に伝わり、いじめる側の耳に入ればもっとひどい目にあうことも考えられます。

今の状況を悪化させるような行動は、なかなか実行することができません。

子供がいじめられているときの親の対応6つ

子供のいじめ
子どもがいじめられている時、親としてできることは何があるでしょうか?

親の対応としては6つあります。

  • 家庭を安住の居場所にしておく
  • 話を聞いてあげる
  • 子供を全面的に肯定する
  • 自信をつけさせる
  • 子供自身がどうしたいのか聞く
  • いじめっ子への対処法を伝授する

詳しく見ていきましょう。

(1)家庭を安住の居場所にしておく

いじめは何をきっかけにして起こるかわかりません。ある日突然始まります。

でも、いじめられている側にはほとんど非がないことが多いです。子供は親に言おうか迷います。

しかし、心配をかけたくないと思ってしまう心があり、なかなか言い出せません。

自分の居場所があって心安らぐ家族がいれば話を聞いてもらいたくなってきます。大人もそうではありませんか?

家に帰ってくれば、ほっとして心を開くことができるのではないでしょうか。

いじめを受けた子供のストレスはかなりのものです。そのために安心できる場所が必要であることは間違いありません。心を開ける家族と過ごせる時間が重要です。

家での楽しさ・安心感の比重が大きければ、学校でつらいことがあっても頑張れるものです。

(2)話を聞いてあげる

どんなに仕事などで忙しくても話を聞いてあげましょう。その姿勢が大事になってきます。

いじめられたことを話してきたら、おまじないなど安心できる言葉をかけてあげましょう。

決して、「何にもしてないのに、そんなことをするはずがない」なんてことは言わないでください。

子供はそれ以上何も言えなくなります。いじめがエスカレートして、本当に助けてほしいときに声を上げられなくしてしまうのが、親の心許ない一言なのです。

私の父親は厳しい人でしたが、子供の話をしっかり受け止めてくれる人でした。子供のとき、それがどんなに心の支えになったことでしょう。

自殺をしないで大人になれたのは、親子の会話が絶えず、話を聞いてもらえたことが大きかったと今になって思っています。

「どんなことをされたのか」や、「どんなことを言われたのか」を親身になって聞いてあげることが大事です。子供はそれを望んでいます。

そして、嫌だと感じた気持ちを汲み取ってあげましょう。その後のことは、学校側との相談が必要です。

(3)子供を全面的に肯定する

医師で心理カウンセラーでもある明橋大二先生は、著書の中で「存在への自信」を育むことが大切で、子供を丸ごと褒める態度が大切だと言っています。

本当にこれは大切です。私もそうだったのですが、いじめを受けた子供は自信をなくしますし、「何で生きているのか」なんてことを考えてしまいます。

だからこそ、親が条件付きの褒め方(何かをしたからすごいなど)ではなく、無条件に褒めて、子供の全てを肯定してあげることが必要なのです。

(4)自信をつけさせる

子供のいじめ
“太っている”“メガネをかけている”など、外見的に人と違うことが原因となっていじめに発展することもあります。

これに対して子供が劣等感を持ってしまうと、卑屈になり、ますますいじめがエスカレートすることになります。

「人と違うことは欠点ではない」「その部分も含めて私たちは大好き」という意見を訴えるようにしましょう。

小さな自信を持つことで堂々と振る舞うことができれば、それだけでいじめがなくなることもあります。

(5)子供自身がどうしたいのか聞く

子供がいじめられているとなると、親はパニックになってしまい大騒ぎしてしまうことも少なくありません。

しかし、親が出ていかずに、子供同士の方がスムーズに解決できることもあります。

ますは子供にどうしたいのかを聞き、親が先走って対処することのないようにしましょう。その場限りのトラブルだったのか、悪質ないじめなのかによっていじめ対策も変わってきます。

ただし、子供はいじめがおおやけになることを恐れている場合もあるので、本心は何なのかしっかりと見極め、何があっても自分たちが最後まで味方になって守るということを伝えたうえで聞く必要があります。

(6)いじめっ子への対処法を伝授する

気が弱く、感情をあまり表に出さない子はいじめられやすい傾向にあります。

嫌なことははっきり嫌と言う、なにか言われたら言い返す、聞き入れてくれるまで何度も言うなど、自分の気持ちを相手にきちんと伝えることから始めさせてみましょう。

これでもおさまらない事態には、助けの呼び方を伝授。

学校には担任の先生だけでなく、保健の先生や体育の先生、校長先生などいろいろな先生がいます。子供が「この人なら話してもいい」と思える教師に、現状を伝えるようにさせましょう。

周りが助けてくれるのを待つより、自分から行動する方がいいということをすすめてください。

あまりにいじめがひどい場合は、弁護士への相談(内容証明等)や、警察に被害届を提出するのも手段の一つかもしれません。

家庭でできるいじめられている子どもへの対応方法は以下の記事をご覧ください。

関連記事

【ママからのご相談】子どもがいじめられているとき、親にできることってなんでしょうか? “ふたつのこと”しかやってあげられないのではないかと思います。じぶんの子どもの頃を思い出してみても、子どもの頃の人間関係って、本当に理[…]

子供がいじめられたときの学校への上手な相談方法

子供のいじめ
いじめが起きた場合、絶対的に学校側が子供の味方になってくれるとは限りません。きちんと対応してもらうためにも、正しい手順を踏む必要があります。

手順としては以下の流れです。

  • 子供に事実確認をする
  • 担任に連絡する
  • 学校側との面談
  • 要求をはっきりとする
  • うまくいかなければ管理職や教育委員会に相談

詳しく見ていきましょう。

(1)子供に事実確認をする

子供がいじめられているということを正しく伝えるために、まずは事実関係をはっきりとさせましょう。

いつ、誰に、何をされたのか。

可能であれば文書の形で記録し、いじめがあったらそのつど記録を残すようにしてください。

(2)担任に連絡する

間違っても、いじめた子の親に直接抗議するようなことはしてはいけません。「自分の子供がいじめなんてするはずがない!」と余計に話がこじれてしまうことにもなります。

まずは、学校の担任に対して事実関係を伝えることからです。事前に記録した内容を元に、冷静に伝えるようにしましょう。

直接会って面談等を希望する場合には、具体的な日時も伝えるようにしてください。

(3)学校側との面談

先生との面談をする場合には、記録した資料をしっかりと渡す形で準備することが大切です。

渡した後に「紛失しました」などと言われてしまわないよう、提出用と自分用の2部を準備するようにしましょう。

子供が怪我をしている、物が壊されたなどの場合には、写真や現物などの物証も持参してください。

(4)要求をはっきりとする

現状を伝えたら、「相手の子に謝ってほしい」「いじめをやめさせるよう対処してほしい」など、学校側にどんな取り組みをしてほしいのかはっきりと要求しましょう。

感情的になってグチに終止することなく、解決策を出すような働きかけが必要です。事実と要求を淡々と伝えなければ問題点が分かりづらくなってしまいます。

何をしてくれるのかを聞き出したら、それを文書として残しましょう。

(5)うまくいかなければ管理職や教育委員会に相談

担任との交渉がうまくいかない場合は、上司の教頭や校長にあらためて相談しましょう。

それでも解決しなければ、さらに教育委員会へ相談することも視野に入れる必要があります。最近では電話でできる子供のSOS相談窓口などもありますよね。

そのほかのいじめに対する対処法は以下の記事をご覧ください。

自分の子供がいじめる側だったときの対処法

子供のいじめ
いじめられる子供がいるということは、当然いじめる子供がいるということ。自分の子供がいじめる側、つまり加害者側だったということもあります。

信じたくない気持ちもわかりますが、きちんと向き合わなければいけません。

子供はいじめることを悪いと思っていないこともあるため、「いじめは卑劣な行為だ」ということを根気強く納得するまで伝えましょう。

また、子供がいじめをするときには、何かしら不満を抱いていることが多いものです。家庭で異変がないか気にかけるようにし、会話する時間をとるように意識しましょう。

もし自分の子供が悪いというときには、相手の子供や家庭に対して親が誠意をもって謝罪することで、子供は自分のしたことの過ちを理解できるかもしれません。

まとめ

「子供がいじめられているときのサイン」や「学校への相談方法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

子供同士のトラブルと安易に考え対応を間違ってしまうと、取り返しのつかないことになってしまうこともあります。

子供にとって一番の味方となってあげられるのは、パパ・ママに違いありません。そこで信頼してもらうことができなければ、子供はより一層、一人で抱え込んでしまうことになるはず。

しっかりと子供を見つめ、話に耳を傾けることをおろそかにしないことが効果的です。

【参考文献】
『子育てハッピーアドバイス 大好き! が伝わるほめ方・叱り方』(1万年堂出版)/明橋大二・著

●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
●追記/パピマミ編集部