改めて、子どもたちに伝えたい日本の季語~初夏から梅雨の季語編~

こんにちは。エッセイストの鈴木かつよしです。

筆者は趣味で「俳句」や「短歌」を少しだけ嗜みます。どちらも思いつくがままの我流で創るだけなのですが、ビギナーズラックで2016年には短歌の賞をいただくことができました。

短歌と違って俳句には「季語」というものがあるわけですが、筆者はこの季語というものは子どもへも孫へもずっと伝えて行きたい素晴らしいわが国の文化だと思っています。

ママやパパのみなさんも一緒に「季語」を楽しんでみませんか。手始めに今回は「初夏から梅雨にかけての季語」をご紹介したいと思います。

1 夏服

中学生のお子さんがいるママにとってはとても身近な初夏の季語です。

当の子どもたちは6月1日の衣更(ころもがえ)などとても待ちきれずにゴールデンウイーク明けの移行期間初日には半袖・上着なしで登校するのが常識。中学生の夏服姿はいいものです。爽やかです。

2 白鷺(しらさぎ)

大きさによってコサギ、チュウサギ、ダイサギに分類される白鷺の仲間たち。日本の原風景である田植え後の田んぼにその真っ白な美しい姿を見せるため、留鳥であるにもかかわらず夏の季語です。

白鷺に 早苗ひとすじずつ青し(長谷川素逝)

3 初鰹(はつがつお)

若葉の季節に江戸近くに東上してくることからこう呼ばれます。鰹の他にも鯖(さば)、鯵(あじ)、鱧(はも)、穴子、鮑(あわび)などなど全て夏の季語。筆者はたたきにした鰹をスライスにんにくとたっぷりの青ねぎでいただくのが大好きです。

目には青葉 山ほととぎす 初鰹(山口素堂)

4 鯉のぼり

男の子のママならどなたであっても特別な思い入れがある鯉のぼり。立派なものじゃなくていいんです。

集合住宅用のかわいらしいサイズのでも、竿にお菓子が入ってるやつでも全然オーケー。子どもとの楽しいひと時を共有するうえでの象徴的アイテムなのですから。

5 五月雨(さみだれ)

俳句は旧暦の時代に形成された文化ですから、五月雨は本来「梅雨」のことです。

ですが「梅雨」という季語も独立してありますので現代では五月の雨のことを指して「五月雨」といいます。行く夏を惜しむ九月の雨の切なさは無く、来るべき盛夏に備えた恵みの雨といったイメージでしょうか。

五月雨を あつめて早し最上川(松尾芭蕉)

6 入梅

梅雨入りのことです。現代ではこの入梅の前に運動会や体育祭を済ませてしまうのが大勢。入梅は暦の上では立春から135日目の6月10日頃ということになっていますが、さて今年はいつ頃梅雨入りするのでしょうかね。

7 梅酒

梅酒が夏の季語であることは、覚えておかれて損はないかと存じます。

ちなみに、ビールも焼酎もラムネもサイダーも俳句の世界ではみんな夏の季語。冷え冷えに冷やして飲むのがいちばん美味しい飲み物であれば、全て夏の季語になるのです。

8 蝸牛(かたつむり)

梅雨時にしとしとと降りつづく雨の中で子どもと一緒に楽しむなら、蝸牛探し

紫陽花の葉っぱの裏側で発見できることも多いですよね。ガラスの空きビンに蝸牛を何匹か、紫陽花の葉っぱやレタスと一緒に入れて霧吹きの水を絶やさなければ、すぐにたくさんの小さな赤ちゃんが生まれます。

ゴマ粒のように小さな間はおうちで育て、少し大きくなったら紫陽花の葉っぱの上に帰してあげましょう。梅雨時ならではの素敵な思い出になりますよ。


お楽しみいただけたでしょうか。

こうして俳句を作らないまでも「季語」を味わうだけで、わたしたちは四季のある素敵な大地の民であったことに気づきます。そこでは人も動物も植物もみな「生きもの」として共生し、お互いがお互いを支え合っているのです。

夏服ではしゃぐ中学生たちを見て微笑ましく思ったり、梅雨の雨をわずらわしいと思わずに子どもと蝸牛を探して楽しむ。わたしたちは残念ながらこの数年で、先祖から受け継いだこのような寛容と共存の感性をすっかり失ってしまったように思えてなりません。

子どもたちに伝えるべきものは「強い日本」などではなく「やさしい日本」だろうと筆者は思います。季語に親しむことは、そんな当たり前のことを思い出すのに役立ちますのでママのみなさんもどうかお子さんと一緒に季語にふれてみてください。

●参考文献
『吟行(ぎんこう)・俳句歳時記』1998年、艸吟(そうぎん)の会・編
中村修・写真  祥伝社ノン・ポシェット・ビジュアル

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●モデル/貴子