こんにちは、猫ライターの乙美亜十です。
皆様は医者に冷たくされた経験ありますか?
私は医者に冷たい態度を取られたり、面倒そうに対応されたことで傷ついたり不信感を抱いた経験が、何度かあります。
今回はそんな医者に冷たくされた経験の中でも、最も傷ついて、最も救われたような気持ちになった経験をお話したいと思います。
あれは娘が1歳になってすぐの出来事でした。

断乳への悩みと風邪の発症
1歳を無事に迎えられ、スクスクと成長している娘の姿に喜びを感じている反面、私はあることに悩んでいました。
それは「断乳をいつするか?」ということです。
ありがたいことに、娘はご飯をしっかりと食べてくれる子供でしたので、母乳から栄養を取る必要はありませんでしたが、娘は保育園に通っているため「家に帰ってきたときくらいは、母乳を飲ませて安心させてあげよう」「断乳をした方がいいとは言われているけど、娘がもっと保育園に慣れてきてからゆっくりと断乳を促してあげよう」と考えていました。
断乳に対しての意見は様々ですし、断乳をすぐにした方がいいという意見もあるのはもちろん知っていました。
しかし、私は娘がせめて1歳半になるまでは娘の精神的なことを考えて行おうと思っていました。
そんな時に、育児と仕事復帰をした疲れからか風邪を引いてしまいました。
しかし、授乳中だった為に薬を飲むことができず、かといって仕事を休むわけにも子育てを休むわけにもいかず、体調不良のまましばらく過ごしていました。そして1週間後、とうとう高熱が出てしまい仕事に行けないどころか歩くのもやっとの状態になってしまいました。
さすがに危機を感じて、病院を受診することにしましたが私は風邪を引くことがほとんどなかったのと、出産と同時に引っ越してきたばかりだったので、実際に病院をその土地で受診したことがなく、どの病院に行けばいいのかわかりませんでした。
ただ、数少ないママ友やインターネットの口コミで自宅から10分程の距離にある総合病院の評判がいいことを知ってはいましたので、評判がよく、口コミも高いなら大丈夫だろうと、何の疑いもなくその病院を受診することにしました。
私の育児を否定する医者の一言
人気の病院というだけあって、待ち時間も長かったのですが総合病院なので症状を伝えると念のためにと、血液検査やレントゲン撮影による肺の検査など細かく丁寧に行ってくれました。
その点は「さすが、評判のいい病院」と、意識が朦朧としながらも感じていました。
そして検査の結果、感染症にかかっているのと、その影響で肺炎になりかけていることがわかりました。このままでは入院になるし、もう少し遅かったら大変な事になっていたと医者に言われてしまいました。もちろん、そのまま抗生物質の投与と薬による治療を促されましたが、そこで問題になるのは娘への授乳の問題です。
抗生物質の投与やきつい薬を服用するならば、当然娘への授乳はできません。幸いにも、娘は母乳を飲まなくても問題はないのですが、前述した通り私の希望は娘が保育園になれるまではせめて断乳をしないというものでした。
その考えを医師に伝え、どうにか抗生物質などを飲まない方法はないかダメ元で相談してみました。
その時に返ってきた言葉に私は衝撃を受けました。
「お子さん1歳でしょ?なんでまだ授乳してるの?もう栄養ないんだし意味のないことなんだからサッサとやめればいいじゃん。そもそも、そんなこと考えてたからここまで放っておいて酷くなったんだよ?その意味がわかる?」
その医者としては「お子さんの授乳はしなくても医学的には問題ないけど、治療をしなかったら肺炎になってしまうよ」ということを言いたかったのだと思います。
ただ、その医者の言い方は、私なりに一生懸命娘のことを考えて、風邪でつらくても、仕事がしんどくても、娘が安心するならと思ってギリギリまで頑張っていた私を否定されたような気持ちになりました。
確かに、栄養を食べ物から摂れるようになっているのであれば母乳を与える必要はないと医学的な意見があることは知っていました。
しかし、医学的に意味がないから今やっていることは無駄と言われた事に、その時の私は深く傷つき泣いてしまいました。
こんなしんどい思いをしているのに、私がやっていることは無駄なんだと思っていた時でした。
そんな時に、突然今まで先生の後ろで話を聞いていた看護師が口を開きました。
看護師の救いの言葉
「先生、1歳を超えてからの授乳は医学的に見たら意味がないかもしれませんが、お子さんにとってはとても重要なことです。体の成長だけではなく、子供の精神的な安定や成長、母親からの愛情を感じれる大切なスキンシップを、医学的見解だけで意味がないという言葉で片付けるのはよくありません」
そう先生に冷たく言った看護師さんは、私に向かって優しくこう話しかけてくれました。
「お子様の事を考えて授乳を続けたい気持ちはとてもわかりますし、今まで頑張っていたこともわかります。でも、このまま抗生物質を投与しないと入院になってしまいます。そうなったら娘さんと離れて過ごすことになってしまいます。これからもお子様のために頑張りたい気持ちはわかりますが、娘様のためにも抗生物質を投与してもいいですか?その変わり、治ったら娘様を授乳していた時間はいっぱい抱きしめたりお話したりしてあげて下さい」
そう聞いてくれた看護師さんの言葉に、私は素直に頷くことができました。
抗生物質の投与と薬を10日間飲み続けないといけなくなったので、娘は断乳をすることになりました。苦労はしましたが、状況が状況なだけに私自身も開き直ることができて、断乳は3日間で完了することができました。その後も、特に問題はなく夜泣きをしても横で添い寝をすれば落ち着いてくれるので断乳は思ったよりもあっさりと完了しました。
結果だけを見れば、医者に言われたまま断乳をすることになったのですが、医者の言葉を聞いただけで治療を受けて断乳を行っていたら、もっとモヤモヤした気持ちになっていたでしょうし、傷ついたまま現在も過ごしていたかもしれません。
あの時、看護師さんが授乳をしていることを認めてくれ、私の気持ちを分かってくれた。
その事実があるだけで、随分心持が違うものだと衝撃を受けた話でした。
いかがでしたか?
この時に受診した病院は「詳しく診察してくれる」「診断が的確」「大きな病院だから安心」と、ネットでも近所の口コミでも評判のいい病院でした。
その口コミ通り、確かに病院としてのスキルは高く、肺炎になりかけているような酷い状態だったのに治療を受けてから半日もすれば嘘のように元気になりました。
これも的確で迅速な診察があったからこそでしょう。
しかし、いくら優秀な医者に診察をしてもらい治療をしてもらったとしても、心を傷つけられたら意味がないのではないでしょうか?
もちろん、病院は怪我や病気を治すところで精神的なケアを行うのは、また別の診療内容となるのは分かります。
しかし、同じ診断をするにしても患者の気持ちを考えない冷たい態度の医師に診断をしてもらうのはやはり抵抗があります。
これ以来私は口コミなどの評判がいい病院を安易に選ぶのではなく、自分が信頼できる医師や病院を探すように心がけています。
もう2度と、医者に傷つけられたくないですから。
同じ診断を受けるなら思いやりのある医師から聞きたい。そう思った経験でした。
●ライター/乙美亜十
●モデル/杉村智子