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子どもの教育だけで最低1500万以上!これからの日本の子育て事情は?

子どもの教育だけで最低1500万以上!これからの日本の子育て事情は?

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こんにちは。エッセイストで経済思想史家の鈴木かつよしです。

教育社会学者の舞田敏彦さんは『今の日本で子を持つことは「ぜいたく」なのか?』という著作の中で、今のわが国では結婚して子どもを持つことは一部の層にしかできなくなっていることを様々なデータに基づいて明らかにしています。

わが国で極端な少子化が進んでいることは誰もが分かっていても、「それでは、子どもを持てないのは誰なのか?」という視点が欠けていたために、問題の本質が見過ごされてきたのではないかということですね。

筆者は今回、少子化の問題に正面から向き合う『パピマミ』ライターの一人として舞田博士の研究を踏まえた上で「お金がなければ子どもが持てない国」が向かうこれからについて、考えてみたいと思います。

みなさんも一緒に考えてみませんか?

日本はプア中年男性の“子あり率”が先進国の中で極端に低い?

舞田博士は上記の研究で、まず、OECDの国際成人力調査(PIAAC2012)のデータから日本を含む世界25か国の30~40代の男性を分析対象としています。

そして、彼らを年収階層別にa層(下位25%未満)・b層(中間)・c層(上位25%以上)に分類した上でその“子あり率”に着目しました。

その結果……

■リトアニアやスロベニアといった旧・社会主義圏ではa層男性も90%以上が“子あり”
■フィンランドやスウェーデンなどの北欧諸国も60%以上のa層男性が“子あり”
■日本同様に、少子化が深刻なイタリアでさえa層男性の44.1%が“子あり”
■日本のa層男性で“子あり”は32.7%のみで、c層男性の76.4%との間に2.3倍の格差

このような事実が明らかになったのです。

つまり、日本はプア中年男性の“子あり率”が先進国の中で極端に低く、リッチ中年男性は彼らの2.3倍の“子あり率”で子どもを持つことができている、ということなのですね。

こういう国は、世界の中でも日本くらいで、リッチがプアの何倍かという格差倍率はイタリアでさえ1.43倍。

お隣の韓国はプア(a)層でも子あり率が62.0%で格差倍率も1.37倍程度。

英国はプア層の子あり率もリッチ層の子あり率も67%から68%台とほとんど差がなく格差倍率は1.02倍です。

30~40代の男性にとって日本だけが「お金がなければ子どもが持てない国」になってしまっていることは、データを分析すれば紛れもない事実なのであります。

どうして「お金がなければ子どもを持てない国」になってしまったのか?

それでは、わが国はどうして30~40代の働き盛りの男性が「お金がなければ子どもを持てない国」になってしまったのでしょうか。

思い起こしてみると、筆者が育ってきた昭和の戦後期は、お金があろうが無かろうがほとんどの大人の男性は結婚していて奥さんも子どももいたような気がします。

こうなってしまった原因としていちばん大きいのは、度重なる予算配分の間違いから日本の教育費が、世界の先進諸国の中でも異常に高い水準になったということでしょう。

ある民間保険会社が調査した結果では、1人の子どもを大学まで出すのにかかる費用は全て公立学校に通った場合でも1000万円をゆうに超え、1500万円台に迫る勢いとなっているのです。

これでは非正規雇用の男女が恋愛したとしても、結婚生活を営むことまではできても、子どもを持つことへの踏ん切りは、なかなかつかないというのが正直なところだろうと思います。

「お金がなければ子どもを持てない国」では、どういうことが起きてくるのか

こうしてすっかり「お金がなければ子どもを持てない国」となったわが国では、これからどういうことが起きてくると考えられるでしょうか。

ざっと挙げただけでも次のようなことが考えられると思います。

■少子高齢化がますます進行し、支え手がいなくなった社会保障制度が崩壊して行く
■進学実績や就職実績が目立たない学校法人が倒産し、エリート集団的な学校だけが残る
■弱者にシンパシー(共感や同情)を抱くことのできる子どもがいなくなって行く
■少数派である「お金のない家に生まれた子どもたち」の疎外感が増し、心が荒れて行く
■その結果、社会の治安が悪くなる (テロや無差別な衝動犯罪などは外国から流入してくるのではなく、国内から育ってくる)

いかがでしょうか。
どれをとっても由々しきことだと言わざるをえないでしょう。

この流れを止めて「お金がなくても子どもを持てる国」にするにはどうすればいいのか?

ここまでの考察を踏まえてわが国がこれから、結婚して子どもを持つことを望む人が経済状況にかかわらず望みをかなえることができ、等しく日本国民としての喜びを分かち合えるようになるためにはどうすればいいのでしょうか。

いま、わたしたち日本国民が予算配分のあり方としていちばん「おかしい」と思っていることは、予算がセレブリティーのお仲間の人たちのためにばかり優先的に配分されているという点ではないかと思います。

その点を、根本的に改めて、教育の無償化を全面的に敢行すること。
それだけでわが国の空気はガラリと公正なものに変わるはずです。

子どもを持ちたい人や、子どもを持ちたい世帯の収入を増やす政策も必要でしょう。

ママが気がねなく働けるように保育園を増設して待機児童の数を限りなくゼロに近づけること。そのための保育士さんの待遇改善は必須です。

正規雇用でないパパが収入を増やすためには、世の中には正規だとか非正規だとかが関係ないプロフェッショナルな仕事もあるのだという具体的な情報を、自治体や公共の機関がより積極的かつ詳細に発信してあげる必要があります。

それから非正規雇用の人の大部分を占める、絶対的に収入が少なくて働いているのに「生活可能賃金」が得られていない人たちには、「子ども手当」のような現金給付の拡充も必要です。

政治というのは「真面目にやっているのに弱い立場から抜け出せないでいる人たち」のために存在するのですから、支給型の政策を「ばら蒔き」と呼ぶことは間違っています。


強い人たちやセレブリティーの人たちのことは、むしろ放っておいていいのです。

と言うか、既に恵まれている人たちをさらに優遇する人ではなく「強きをくじき弱きを助く」的な良い意味での武士道的な美意識を持った人が上に立つようにしないと、「お金がなければ子どもを持てない国」は上述したように凋落の道を辿ることになるでしょう。

つまるところ、上に立つ人間を選ぶ、わたしたち一人一人の問題なのです。

●参考リンク
『今の日本で子を持つことは「ぜいたく」なのか?』舞田敏彦・著 ニューズウィーク日本版、2018年1月11日

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

ライター紹介

鈴木かつよし

鈴木かつよし

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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貴子

貴子

ママになっても自分の時間を大切にし、笑顔でいることで子どもたちも笑顔でいられるよう、楽しくやっています♪

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