きょうだいはリスク?資産?”自立しないきょうだい”がいる場合の解決方法とは?

こんにちは。エッセイストで経済思想史家の鈴木かつよしです。

ニュース週刊誌の『AERA』が特集記事で「きょうだいはリスクか資産か」という問題を提起して以来、自立できないきょうだいの存在が、子どもの世代にまで負担をかけることを危惧するママやパパの不安は高まる一方のように見えます。

ほとんど全ての成人男女が結婚をすることができた以前の日本と違い、今は働く人の半数近くが非正規雇用ですから、経済的に自立できていない未婚のきょうだいをもつママやパパは相当の数にのぼります。

親がなくなったあとに自分を頼ってきて、いずれは自分の子どもたちにまで老後の世話を頼るのではないかといった不安です。

筆者は今回、“自立できないきょうだいがいるママやパパ”と、“自立できないおじさん・おばさんがいる子どもたち”の両方に意見を聞くことによって、この問題と向き合うヒントを探ってみました。ご一緒に考えてみましょう。

「自立するための支援はするので、子どもたちにだけは頼らないで」がママ・パパの本音

◆ずっと独身の姉が両親の死後も長男である自分の家に居候。持ち家じゃないんだからもう勘弁。協力はするので、バイト代で借りられる部屋を探して。妻と子どもが可哀そう。(50代男性、自由業、子どもは14歳)

◆フリーカメラマンで独り者の弟が、もし病気にでもなって働けなくなったらと考えるとゾッとする。とりあえずは助けると思うが、子どもにまで負担が及ぶことはノーです。(40代女性、旅行代理店勤務、子どもは12歳、9歳)

◆こっちは“病める時も健やかなる時も夫と助け合う”結婚生活を、多少の自由は捨てて選んだ。好きなことをして独りで生きてきた兄の介護は、今さら嫌だ。話し相手になる程度。(40代女性、主婦、子どもは13歳、11歳)

◆高校で登校拒否になって以来、ずっと引き籠りの弟ももう50歳。本人に年金が支給されるまでの蓄えを、大方作った両親に感謝。不足分程度の支援はするので、私の代までにして。(50代女性、団体職員、子どもは27歳既婚と15歳)

聴き取りをしていて感じたことは、自立できないきょうだいをもつママやパパたちがいちばん“カチン”と来るのが「他者のために生きる」ということをしてこなかった兄弟の面倒を、どうして自分がみてあげなければいけないのか、という点だということです。

それでも、幼い頃はいろいろ励ましあい、協力しあって過ごしたきょうだいのことですから、「自立するための支援は自分にできることまではするが、自分の子どもにまではかかわらないでほしい」というのが本音のようでした。

それでは次に、“自立できないおじさん・おばさんたち”を子どもたちはどのように見ているのでしょうか。

ママやパパの兄・姉かもしれないが“上から目線”はやめて。自分は自立して行く

◆父のお姉さんなのかもしれないが、わが家に同居するなら、上から目線で父を見るのはやめてほしい。父が気の毒。自分はいずれ自立して行くので所詮おばさんとは関係ない。(15歳男子、中学生)

◆子どもの頃、親子水入らずの時間がもっとほしかったのに、おばさんがいてそうもいかなかった。おじいさんの家だったから仕方ないが、自分はああはなるまいと思った。(20代女性、ゲーム製作会社勤務)

自立しないおじさん・おばさんたちを見る子どもたちの目は意外と冷静で、「自分はいずれ巣立って行くので所詮おじさんやおばさんの存在など関係ない」という強い気持ちが見て取れたことが、とても印象的でした。

雇用が劣化した“気の毒な時代”ではあるが、きょうだいに依存するのは筋違い

聴き取りを進めてきて、ママやパパたちは概ね「できる支援はするが、依存しすぎないでほしいし、子どもたちにまで頼ることだけはやめてほしい」と考えていること。

子どもたちの方は、自立できないおじさんやおばさんを見ているだけに「ああはならない」といった自立心が養われていることが分かりました。

ですから、未婚のおじさん・おばさんたちに「おいっこ・めいっこに迷惑はかけない」という心構えさえあれば、ママやパパの“きょうだいリスク”は随分と軽減されるのだろうと思った次第です。

現代は、わが国が“いい時代”であった昭和後期と違い、自立できないおじさん・おばさんたちにとっては雇用が劣化した“気の毒な時代”であることは間違いありません。

ですが、そうだとしてもきょうだいに依存するのは筋違いです。妻や夫とは「喜びも苦労も共にしよう」という自らの意思でもって結ばれた間柄ですが、きょうだいはそうではないからです。

おわりに、障がいや不測の事態などで「自立したくてもできない」かたがたに、人としてできるだけの協力をすべきであることは言うまでもありません。

●参考文献  『きょうだいリスク~無職の弟、非婚の姉の将来は誰がみる?』
平山亮・古川雅子著、朝日新書、2016年

ライター紹介

鈴木かつよし(エッセイスト)

鈴木かつよし(エッセイスト)

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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