いまどき少ない?現役の波平パパが語る”子”と”孫”への接し方

こんにちは。

エッセイストの鈴木かつよしです。

ここ数年、「子育て」と「高齢の親の介護」が同じ時期に重なってしまう“ダブルケア”が深刻な問題として取り上げられることが多くなりました。

一方で、「子育て」と「孫の世話」が同じ時期に重なる“波平状態”にある人は、子どもたちの未婚化・非婚化や結婚年齢の上昇といった時代の流れを反映してか、以前に比べるととても少なくなったように感じます。

筆者自身は、この7年の間で両親ともに80代でなくなっていきダブルケアの時代は卒業しましたが、今どき珍しく中学生の男の子の子育てと3歳の保育園に通う男の子のお迎えを同時におこなう「波平パパ」ではあります。

この「波平パパ」ですが、“子どもとの向き合い方と孫との向き合い方は違うもの”という点で幾つか気をつけなければいけない注意点があります。

少数派ではあるかもしれませんが「波平パパ」の先輩として、これから「波平パパ」になる予定がある世のお父さまがたに僭越ながら一言二言、お話しをさせていただきたいと思います。

波平はカツオに厳しくタラちゃんに甘くならざるをえない!大事なことは子への〇〇をお忘れなく

1969年に放送が開始されて以来、世界で最も長く放映されているテレビアニメ番組としてギネスブックからも認定された『サザエさん』。

その中の重要な人物の一人である磯野家の大黒柱・磯野波平氏54歳が息子のカツオにやたらと厳しく、孫のタラちゃんにはメロメロに甘いことは、みなさんご承知のことかと思います。

11歳の長男・磯野カツオくんが、悪戯を働いたようなときには『バカもん!』と怒鳴りつけるのが常で、「そこまで怒らなくてもいいんじゃないですか」とおっしゃる人は少なくないようですね。

ことに3歳になる孫のタラちゃんにはメロメロに甘いため、「カツオだってまだ子どもなんだから同じ家の中で接し方が極端に違うって、どうなの?」と素朴にお感じになるかたが多いのは、きわめて自然なことかと思います。

ただ、「波平パパ」である筆者から見ますと、波平氏がカツオに厳しくタラちゃんに甘くなるのは仕方のないことなんです。

理由は、カツオくんは波平さんの“子”であり、タラちゃんは“孫”だから。

親は子どもの教育には全面的に責任を負わなければならず、孫の教育に関して親である自分の子に口出しをしては決してならない存在だからなのです。

だからこそ、波平さんにはカツオくんに対する(怒鳴りつけたあとの)フォローだけは忘れないでほしいですね。

第二子以下の子がまだ小中学生の時期に、たまたま年の離れた第一子に子どもができれば、誰しも波平さんやフネさんになります。

孫が「ただただ可愛い」のは仕方のないことですから、カツオくんに対して親として普通に監督し叱咤激励するだけで第三者からは「厳しすぎる」ように見えてしまうのです。

問題はカツオくんが“叔父さん”であると同時に“(児童・生徒としての)こども”でもある点です。波平さんから『バカもん!』と怒鳴られれば『どうして僕ばっかり』と思うでしょう。

『大きな声を出してすまなかったな。タラちゃんは小さいから、カツオにばかり厳しいように見えるかもしれないが、本当はカツオの優しいところが大好きなんだ』のようなフォローの一言があれば、よりよろしいかと思います。

しかし、「波平は実は子どもに甘い人だった?」と指摘する人も……

夫婦や親子といった“家族の関係”をテーマに著述活動をなさっているライター兼編集者で、田幸和歌子(たこう・わかこ)さんというかたがいます。

筆者は数年前に“パピマミ・ライター”として彼女からインタビューを受けたとき以来その誠実なお人柄と一貫して家族の問題を追究する真摯な姿勢に敬意を抱いています。

その田幸さんが『エキサイトニュース』に書かれた記事で「波平は実は子どもに甘い人だった?」というのがあり、興味深いので主旨をご紹介します。

波平は実は子どもに甘い人だった?

波平の布団にもぐりこんでくるカツオと、嬉しそうに寄り添って寝る

◆算数の宿題の答え合わせに苦心しているカツオを、鉛筆片手によく手伝っている

◆アニメでは物語の起点を小学校にすると展開がしやすいため、カツオが波平から怒られるシーンが目立つが、原作の漫画ではカツオが怒られるシーンはさほどない

さすがは田幸さん。実に鋭い分析だと思います。

子とも孫とも“無視せずに向き合う”波平さんは、ただの「頑固おやじ」じゃない


いかがでしたでしょうか。

こうして考えてみますと、「波平パパ」にはいくつか気をつけるべき注意点はあるけれど、少なくとも子どものことも孫のことも“無視する”ことなく向き合っているわけで、それだけで愛すべき存在なのだろうと思うのです。

実際のところ、“小うるさいオヤジ”ではある波平さんのことを憎々しく思っている人はほとんど見当たりません。

今、昔なら当然のごとく「おじいさん」だった年齢の人でも少子化・非婚化の影響で“孫はいない”高齢者が増えています。

孫はいない高齢者のかたがたにも是非、小さい子どもたちはみんな自分の孫のようなものだと思って「子どもの声がうるさい」などと言わないおじいさま・おばあさまであっていただきたいものだと思います。

ライター紹介

鈴木かつよし

鈴木かつよし

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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