ママの力が必要?子どもがぶつかる13歳の壁の克服法
2018年3月1日 | よみものママの力が必要?子どもがぶつかる13歳の壁の克服法

こんにちは。
エッセイストの鈴木かつよしです。
教育産業の世界でよく使われる言葉の一つに、「13歳の壁」というものがあります。
中1から中2にかけての「13歳」の頃。
数学がいよいよ難しくなってきて、英語の授業も内容が本格的になってきます。
そのため、この時期に勉強が嫌になったり、また体育系の子であれば入った運動部で自分が思っていたほどの結果が出せなかったりして、サボりがちや不登校になる子が増えるという現象のことです。
こういうと、悪いことばかりのように聞こえる「13歳の壁」ですが、発想を変えれば、“その子の持ち味を生かした人生を送るために今後は何に重きを置いて生活して行けばいいのか”を考える絶好の機会でもあります。
筆者は、子どもが「13歳の壁」を乗り越えて生き生きとした10代中盤・後半の生活を送るためには、サポートとしての“パパ力”“ママ力”が必要不可欠であると考えており、今回はそんなお話しをしたいと思います。

13歳の壁にぶつかってからがスタート!あなたの子どもの適性は?
学習塾のブログなどを読んでいますと、数ある塾の中には「13歳の壁にぶつかってコース・アウトした子は見込みなし」的に冷たく言い放っているようなところもありますが、筆者はそうは思いません。
今の時代は、学校で使っている教科書に完全に準拠した形式の質の高い参考書や問題集が本屋さんでいくらでも売っていますので、本人とパパ・ママのやる気さえあれば、学習面では「中の上」レベルまで盛り返すことは可能であると筆者は考えています。
このへんのことに関しては『パピマミ』に筆者が執筆した過去記事『みんな行くけど行ったほうが良い?考えてみて欲しい我が子の通塾の必要性』も参考になさってください。
むしろ筆者は子どもが「13歳の壁」にぶつかったときに、心がけひとつで学習面を盛り返せるか。
それとも、それまでとは違う運動や芸術系の部活動に、勉強よりも高い価値を感じさせてくれる何かを見いだせるか。
はたまた“帰宅部員”に徹して、サブカルチャーに没頭するのが向いているのか、地域のボランティア活動などに最も充実感を持つことができるのか。
その子の特長を再確認できる良い機会を与えてくれるのが、「13歳の壁」なのではないかと思っているのです。
家庭学習で結果を出せた子は勉強面では心配なし!パパ・ママは子どもの自主性を大切に
まず、教科書準拠式の参考書や問題集を使用して、難しくなってきた数学や英語も克服し、良い成績を残すことができたお子さんについて言えば、もう必要以上に心配する必要はないと思います。
お子さんは差し当たり、「13歳の壁」を克服したと言ってもいいのではないでしょうか。
将来どのような道に進むにしても、主要5教科の勉強はあらゆることの基礎となりますので、自分自身の心がけと自己管理でもって良い成績を取ったお子さんをパパ・ママは「よくやった!」と声を出してほめてやってください。
そして、今後については是非お子さんの自主性を尊重し、特に深く学びたいことがあるのなら、その分野の専門講座を受講させてあげるようなことも検討されたらいいと思います。
『頭のいい子が育つ10歳からの習慣』など教育に関する著書も多いラジオプロデューサーで元・江戸川大学講師の清水克彦さんも、「13歳の壁」以降はその子の適性に合った勉強を、その子の自主性を重んじながらさせてあげる“大人の子育て作戦”を推奨しています。
勉強が全てではない!それが壁にぶつかり心が折れそうになった子どもに教えてあげること
おしまいに、もしもお子さんが「13歳の壁」にぶつかって上手く乗り越えられずに、心が折れそうになってしまった場合。
その時こそパパとママの出番です。
「勉強はどうも苦手で公立高校に進むのは無理かな」と思うのでしたら、パパとママの人生経験から「勉強ができなくても立派な人生を生きた人は沢山いる」ことを教えてあげるべきです。
筆者の中学時代の同級生に、勉強が大の苦手で美術以外の全教科で学年最下位だった男がいたのですが、アルバム工場を営んでいたご両親から、好きなデザインの道を追求することを許してもらった彼は、私立高校を卒業したあと、描きためたデッサンだけを抱いて単身でイタリアに渡り、世界的なカーデザイナーになりました。
ミラノの街を走っている市電の中にも、彼がデザインした車両があります。
また、勉強や受験で何が何でも「他人に勝つ」のだといった気持ちにはなれないけれど、「他人を助ける」ことには生き甲斐を感じることができる子がいます。
それも、その子の天性の持ち味であり、そういう子に学習面での「13歳の壁」をどうしても乗り越えろと言うのは、ちょっとどうかなという気がします。
そのような心優しい子どもには、パパやママは、例えば保育士さんとか看護師さんといった職業もあるし、世の中にはいろいろなNPO法人があって、他者を助けるために活動しているのだということを教えてあげるべきではないでしょうか。
子どものパーソナリティーを尊重しながら、子どもと同じ目線に立って、人生経験とそれに伴う知識というアドヴァンテージだけを子どものために惜しみなく提供してあげること。
それこそが「13歳の壁」にぶつかった子どもたちをサポートする“パパ力”“ママ力”ではないかと思います。
●参考文献 『頭のいい子が育つ10歳からの習慣』清水克彦・著、PHP文庫、2015年