都会は人間性をすり減らす?ママに聞いた子育ては都会派?郊外派?

こんにちは。エッセイストの鈴木かつよしです。

今から50年も前のアメリカのファミリードラマで『農園天国』というのがありました。

都会の暮らしに嫌気がさしたニューヨークのエリート弁護士さんが奥さんと一緒に農作業のできる郊外に引っ越すという話で、今観ても共感できるところが多い物語でした。

さて、現代の日本。通勤が楽で映画・演劇・コンサート・スポーツなど様々なイベントに行くのにも便利な都心に住むか。

それとも自然環境が豊かで大型のショッピングセンターがある郊外で暮らすか。

筆者が日ごろから交流のあるママ2人に聞いてみました。あなたは“都心派”?それとも“郊外派”?

都会は人間性を喪失させる??

『夫が国内外の各地に頻繁に出張するため、どこへ行くのにも便利な都心で長年暮らしてきました。

第一子である長女は新宿区生まれの渋谷区育ち。周囲の雰囲気の影響もあり中学から私立の学校に通っていわゆる有名大学を卒業後、総合商社に就職しました。

その長女が社会人2年目に入り、長時間労働から鬱を発症して退職することになってしまいました。

そのことがあったため年の離れた下の男の子は郊外のおおらかな環境でのびのび育てたいと思うようになり、夫も思い切って仕事を替え一家で郊外のC市に移って来ました。

結果、これが大正解。市立中学校に通う息子はとても鷹揚に育ち来年は都立高校を受験する予定で、長女は地元のFMラジオ局の契約社員として始めたキャスターの仕事がとても楽しいらしく、仕事にやり甲斐を見つけて完全に立ち直ってくれました。

自分の経験から申し上げるなら、子育ては郊外に限ります。

ありふれた言い方になってしまいますが、都心での暮らしが人間性を喪失させるのは事実です。

子どもの数が減り人口が減っていくわが国には“競争”を最重視する価値観はそぐわず“共存”“共生”を志向する生き方に切り替えていくべきです。

郊外の暮らしにはその価値観がそなわっていると思います。』(40代女性/団体職員)

こちらのママのお話しは都心暮らしも郊外暮らしも体験されたうえでのものなので、とても説得力がありますね。

たしかに筆者も都心で暮らしていた頃、子どもたちへの受験産業からの営業攻勢には少々食傷気味になりました。

競争に競争を重ねて上を上を目指せといった都心的な生き方は、これからのわが国で子どもたちに提案するスタイルとしてはちょっと違うのかなという気はいたします。

都心に住んでいることで得られることが多い

『郊外に自然が豊富で環境もいいことくらい百も承知していますが、そうはいってもこの日本では東京の都心に住んでいなければ文化に触れる機会が何一つないではありませんか。

子どもが歌舞伎に興味を持っても郊外で歌舞伎の公演なんかやってないし、ゴッホの絵が来るというので観に行きたくても上野に出なければ観れません。

大学生の野球やラグビーが観たくても神宮外苑に行かなければ観られない。

一事が万事、そうなのです。

わたしだって自分自身がそれほど出来が良かったわけでもないのになんで子どもには塾やお受験や一流大学・有名大企業といった定形コースを推奨するかというと、日本ではそういう定形コースを歩いておけばだいたい間違いがないからです。

そうして、その定形コースを行くためには子どもが小さい頃から教育の選択肢が豊富でグローバルな雰囲気と文化がある都心で暮らす必要がどうしてもあるのです』(30代女性/主婦)

こちらのママのおっしゃることも、これはこれで真実をついていますよね。

「わが子に“間違いのない”人生を歩ませたい」という立場に立って言うのであれば、都心にある教育の選択肢と教育環境をフルに活用することは基本中の基本なのかもしれません。

少なくとも筆者には、そのこと自体を否定することはできません。

“都心暮らし”と“郊外暮らし”の長所・短所を検討し何に重きを置くかで決めましょう


いかがでしょうか。

いずれにしても私たちは“都心暮らし”と“郊外暮らし”のそれぞれの長所・短所について自分の頭でよく考えて、つまるところは「何に重きを置くか」で決めるべきでありましょう。

筆者が考えるそれぞれの長所・短所はざっと以下のごとくです。

1. 本物の自然と親しむなら郊外。都心にある自然は「自然もどき」にすぎません。
2. ショッピングの楽しみと物価の安さなら郊外。ただし高級品・希少品は別。
3. 音楽・美術・映画・演劇・スポーツなど“文化全般”に親しむなら都心。
4. 満員電車での長時間通勤が苦手なら都心。
5. 子どもをおおらかに育てたいなら郊外。
6. 子どもを競争心の強い人に育て“サラリーマン”的な出世を子どもに望むなら都心。
7. コストに対して広めの住空間を望むなら郊外。

これから子育てがスタートするご夫婦や2人目・3人目のお子さんの子育てが始まる前。

また、子育てが終わって夫婦2人での暮らしがどのようなものでありたいかを考えるとき、このように都心暮らしと郊外暮らしの長所・短所について考え直し、ご自分が希求するライフスタイルに都心と郊外のどちらがホーム・フィールドとしてふさわしいか。

考えてみるのも楽しいことではないかと思います。

●モデル/SAYA・ゆみ

ライター紹介

鈴木かつよし

鈴木かつよし

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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