ペットが子供に与える影響

さわって実感! 子供に“命の大切さ”を教える動物介在教育学のポイント

さわって実感! 子供に“命の大切さ”を教える動物介在教育学のポイント

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こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。

幼児期から小学校低学年にかけての子どもたちの“命の重さに関する価値判断能力”の未熟さについては、これまでにも複数のパピマミライターの方々が取り上げてこられたかと思います。

今回筆者は農学博士で帝京科学大学教授の花園誠先生がテーマとしている動物介在教育学から、子どもたちに“命の大切さ”と“命の多様性”を伝える方法について考えてみたいと思います。ご一緒に考えてみましょう。

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現代では、野生の生き物とのつき合い方を親も子も知らない

比較的最近のことですが、筆者はこのような光景に遭遇しました。

自宅マンションの中庭にある小さな池にオタマジャクシがいっぱいいたのですが、就学前から低学年くらいの子どもたちが根こそぎ捕獲して、ビニール袋に入れて遊んでいたのです。

通りかかった筆者は見かねて『オタマジャクシがカエルに成長して行くのを観察したいなら何匹か家に持って帰ってもいいけど、ちゃんと育てきるつもりがないのなら池に返すんだよ』と注意したのですが、その子たちはみなきょとんとして、わたしが何を言っているのかさえ理解できないでいる様子でした。

しかも、数十m離れたところで話しに花を咲かせているママたちも、子どもたちがやっていることを咎める気配すらありません。

あの感じだともしかしたら、ビニール袋に詰め込まれたオタマジャクシたちは育ててもらうどころかママたちに「気持ち悪い」と一蹴されて、捨てられてしまったかもしれません。

筆者が暮らすC市は一歩足を延ばせば東京では珍しくなった野生動物が数多く生息する自然の宝庫ですが、中心部のライフスタイルは都心と同じで人工的です。

おそらくあの子たちに悪気などは一切ないのでしょうが、自然と共存しているという実感のない都市部の環境しか知らずに育った親たちが、野生の生き物とのつき合い方を子どもに教えてやれないがゆえに目にした光景だったと言うことができなくもないのでしょう。

まずは“生き物たちと共存している”という意識を親が持つこと

わたしたち人間は野生の動物たちを支配しているのではけっしてありません。人間は野生の生き物たちと“共存”“共生”の関係にあります。

オタマジャクシがいなくなってしまった土地にはカエルがいなくなりますから、カエルを探しに近くの川からアオダイショウがやってくることもなくなってしまいます。

ヘビはママたちにとってはちょっと気持ちが悪いかもしれませんが、実はアオダイショウは性格がとてもおとなしいヘビで、人間に何の危害も加えません。

それどころか、都市部で増えすぎているネズミを捕食しますので、人間の暮らしの衛生面にも大きな貢献をしてくれているのです。

こうして考えると人間はオタマジャクシともカエルともアオダイショウとも共存・共生しているわけで、まずそういったことが子どもたちに伝わらなければ「子どもに命の重さを伝える」といってもなかなか難しいものがあると思われます。

まず「あたたかい」「やわらかい」といった感性から入る“動物介在教育学”

そこで今回ご紹介する“動物介在教育”ですが、これは帝京科学大学教授で農学博士の花園誠先生がわが国では第一人者として知られる学問分野です。

まずは理屈よりも子どもたちに動物と触れ合ってもらい、そこで感じる感性から“いたわり”“慈しみ”“自分とは違う種への敬意”“寛容”といった現代の人間に求められている大切なものを育んで行こうといった主旨の研究領域です。

花園先生によれば、就学前の小さな子どもたちにはまずハムスターやモルモット、ウサギといった小さくてかわいらしい哺乳類の小動物と触れ合ってもらうのがいいようです。

彼らをなでたり抱っこしたりして感じる「あたたかい」「やわらかい」といった感覚は子どもたちがママとの触れ合いで感じてきた“ぬくもり”を思い起こさせ、このぬくもりをある日突然に感じることができなくなる悲しさについて考えるきっかけになる場合もあるとのこと。

また先生は、小学校の中学年・高学年の子どもたちにはヘビやカメなどの爬虫類に触れさせることを奨めています。

「ヌルヌルしてて気持ち悪い」と感じる子どももいますが、彼らがわたしたち人間のすぐそばでそれこそ太古の昔から共に生きてきた事実は“命の多様性”を感じてもらうのにうってつけだといいます。

自分たちとは種が違っても赤ちゃんヘビや赤ちゃんカメが必死にエサを食べようとする姿はけなげで愛らしく感じる子が多いようです。

そして花園先生は、ウシやウマ、ヒツジといった農業や繊維工業などの産業にかかわる動物に触れることによって、人間と動物たちとの共生関係について学ぶことができるといいます。

言葉だけで「命は大切だよ」「ママに二度とあえなくなったら悲しいでしょう」と教えるよりも、実際に生き物たちと触れ合いながらそういった会話の機会を設けることで、子どもたちに“命の大切さ”“命の多様性”を教えることができます。

また、触れることで少なからずストレスを与えている動物たちのことを思いやり、動物の飼育環境や野生動物の生息環境について考えることができる人を育てることにつながると、花園先生は指摘します。

親子で一緒に爬虫類・両生類・魚類・鳥類・昆虫にも触れ合ってほしい

さて、冒頭でお話ししたオタマジャクシを根こそぎ捕獲してしまった子どもたちのことに戻りますが、実は筆者はこれはこれであの子たちにとっては通るべき貴重な経験でもあったことを否定しません。

オタマジャクシたちはかわいそうでしたが、あの子たち自身ももう少し大きくなったときに必ず「あのときはオタマジャクシたちにかわいそうなことをした」と気づき、後悔するからです。

こうしてほとんどの子は大人になってもっと大きな動物を猟奇的に殺傷したりしない真っ当な大人に成長して行くからです。ただ、そうはいっても、無意味な殺傷はできることならしない方がいいに決まっています。

そこでまた花園先生の動物介在教育学の効用についてなのですが、花園先生は保育園や幼稚園、小学校の現場に生き物との触れ合い体験教室で出かけて行かれる際、パパもママも子どもたちと一緒になってわたしたちと同じ哺乳類以外の生き物たち(爬虫類・両生類・魚類・鳥類・昆虫等)に触れることも奨めているそうです。

こういった動物たちをペットとして飼育しているパパやママならお分かりでしょうが、彼らが小さな体で一生懸命に生きている姿は本当に愛らしいものです。

動物介在教育学に関心のあるかたは、花園誠先生の研究室のホームページなどをご覧になってみるのもよろしいかと思います。

【参考文献】
・『動物とふれあう仕事がしたい』花園誠・著

●モデル/藤本順子(風悟くん)ココア

ライター紹介

鈴木かつよし

鈴木かつよし

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

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