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ホントに役立つ? “痴漢冤罪保険”の実態と疑いをかけられたときの対策

ホントに役立つ? “痴漢冤罪保険”の実態と疑いをかけられたときの対策

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こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。

ママのみなさんとしてはあまり考えたくもないことだとは思いますが、ある日突然パパが“痴漢冤罪事件”の被疑者にされてしまったとしたら、どうなさいますか?

テレビ番組でコメントしている弁護士の中にでさえ「本音を言えば、そういった修羅場に遭遇してしまったら走って逃げるのがベストかもしれない」などと発言する人がいるほど、この問題に冷静沈着に対処することは難しいと思われ、不幸にしてそういった事態に遭遇してしまうことを恐れる普通のサラリーマンパパにとっては、大問題といえます。

そこで今回は、最近話題の“痴漢冤罪保険”はたとえ気がすすまなくてもパパに入らせておいた方がいいのかということについて、パパ・ママのみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

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弁護士に聞いた「本当にやっていないのなら、こうするべき」

保険の話に入る前に、筆者の中学時代からの友人でもある弁護士のK氏(本人の希望により匿名とさせていただきます)に、「本当に痴漢行為をやっていないのなら、このようにするべきである」という最も重要な点を確認しておきましょう。

『痴漢行為をはたらいていないのに不幸にして痴漢と間違われたり、あるいはまた金銭目的等でありもしない痴漢という犯罪をねつ造されたりした場合には、とにかく「わたしは痴漢をやっていない」と声に出して言い続けることです。

とくに大事なことは駅員に対して「やっていない」とはっきり伝えることで、後々裁判となったときに「当初からやっていないと主張していた」旨を証言してもらうことができます。次に大事なことは家族に連絡することです。ひとたび駅事務室に連れていかれたらほどなく警察署へ連行されますので、家族には携帯電話で連絡して直接警察署に急行してもらいましょう。

その際大切なのは、忘れずに印鑑を持ってきてもらうことです。警察署にある“身柄引受書”に家族が署名・捺印して捜査協力を誓約すれば、逃亡のおそれは少ないとして釈放され、在宅での捜査となる可能性があるからです』(50代男性/神奈川県在住/弁護士)

このようにK氏によれば、痴漢行為をやっていないのに疑いをかけられてしまったときにするべきことはまず「やっていない」と言い続けること、次に「家族を呼ぶ」こと、だそうです。

弁護士によるこの見解は、痴漢冤罪保険加入の意義をこのあと考えるうえで非常に重要な意味を持ってまいりますので、よく記憶しておきましょう。

“痴漢冤罪保険”をメインに打ち出した保険商品は今のところ存在しない

さて、いよいよ今話題の“痴漢冤罪保険”について考えてみることにしましょう。

ところでみなさんは、“痴漢冤罪保険”をメインに打ち出している保険商品が今のところ存在しないということをご存知でしょうか。

いま報道などで話題になっているそれに該当する商品は、『ジャパン少額短期保険株式会社』がインターネットで直販している交通事故などの際の弁護士への相談費用を補償する月額590円の保険に、“契約者特典”として付いている『痴漢冤罪ヘルプコール』のことを指しています。

この“おまけ”目的の加入が大半だということで、この保険自体が“痴漢冤罪保険”であるかのように思われているというのが実際のところのようです。

『痴漢冤罪ヘルプコール』の内容は、保険契約者が痴漢の疑いをかけられた際にスマホで通報すれば保険会社と提携している全国各地の弁護士に一斉に緊急メールが届き、通報者の位置情報から近くの弁護士が状況に応じたアドバイスを行うというものです(同様に『痴漢被害ヘルプコール』の特典も付いているようです)。

2017年5月29日付の毎日新聞(電子版)によれば、痴漢を疑われた人が線路に逃走する事件が相次いだ5月に入って、それまでの10倍以上にあたる月数百件の契約件数になっているとのことです。

事件発生後48時間以内の弁護士費用を保険会社が全額負担しますが、事件発生後すぐに弁護士が現場にかけつけるというわけではないようです。

サービスを利用できるのは保険期間中1回のみで、利用時間も平日の7時から10時ならびに17時から24時までに限定されています。

つまり、最近マスメディアやWebメディアで話題になっている“痴漢冤罪保険”とは、痴漢の疑いをかけられてうろたえてしまっているときに「とにかく今どうしたらいいのか」を弁護士に相談することができる“ヘルプコール”のことだったのです。

ヘルプコールで弁護士が言うアドバイスは基本的にはK弁護士と同じようなこと

と、いうことは。

『痴漢冤罪ヘルプコール』の特典が付いている保険に加入したからといって、いざ痴漢の疑いをかけられてしまったときに受けられるサービスの内容は、K弁護士から教わったような「やってないと言い続けること」「家族を呼ぶこと」といった最重要事項について改めて念を押されることだけ、ということになりはしませんでしょうか。

それだけのサービスのために、毎月毎月590円を払い続けるというのも、どんなものなのでしょうか?

一方で、痴漢と間違われて気が動転しているときに、以前何かで読んだ“あるべき行動”をその通りにとることができるのか。

また、「わたしはやっていない。絶対に痴漢はやっていない」と言い続けても、それで本当に周囲の態度が軟化してくれるものなのか。

結局はお金を払って弁護士と委任契約を結んで法的に闘っていくしかないのであれば、弁護士の知り合いなんていやしないし、初動の48時間の弁護士費用も負担してくれてそのまま提携弁護士に代理人を頼めるならば、安心料としては月590円は高くない

そういう考え方もあるでしょう。

痴漢が憎むべき犯罪であることは言うまでもないが、一方で痴漢冤罪に遭ったらたまったものではない

痴漢が被害者の心身を深く傷つける憎むべき犯罪であることは間違いなく、本当に痴漢行為をはたらいた犯人には罪を償い、反省してもらわなければなりません。

一方で、本当にやっていないのに痴漢の疑いをかけられ住所も身元も言って逃げも隠れもしていないのに3週間も身柄拘束されたのでは、一市民、一サラリーマンとしてはたまったものではありません。

その意味では、普段の生活で弁護士との接点など持っていない一般の市民が、不幸にしてそのような“たまったものじゃない”事態に遭遇してしまったときのための“安心料”として『痴漢冤罪ヘルプコール』付きの保険に加入しておくことは、あながち無意味ではないように思います。

パパがそのことを考えるにつけ不安で不安で眠れないというのであれば、ママもその気持ちはわかってさしあげて、月590円の保険に入られるのもいいのではないでしょうか。

筆者といたしましては古典的な対策かもしれませんが、パパのみなさんが満員電車に乗る際にはバッグを前に抱え、両手ともつり革ないし手すりにつかまっていただくという痴漢被疑回避法をこれからも続けていただくしかないのではと思います。

【参考リンク】
男を守る弁護士保険・女を守る弁護士保険 | ジャパン少額短期保険株式会社

ライター紹介

鈴木かつよし

鈴木かつよし

慶大在学中の1982年に雑誌『朝日ジャーナル』に書き下ろした、エッセイ『卒業』でデビュー。政府系政策銀行勤務、医療福祉大学職員、健康食品販売会社経営を経て、2011年頃よりエッセイ執筆を活動の中心に据える。WHO憲章によれば、「健康」は単に病気が存在しないことではなく、完全な肉体的・精神的・社会的福祉の状態であると定義されています。そういった「真に健康な」状態をいかにして保ちながら働き、生活していくかを自身の人生経験を踏まえながらお話ししてまいります。2014年1月『親父へ』で、「つたえたい心の手紙」エッセイ賞受賞。

ライター紹介

藤沢リキヤ

藤沢リキヤ

人懐っこい性格と顔で、よく「犬みたい」と言われます。高校を卒業するまで8年間バドミントン部に所属し、何度かメダルをいただいたり優勝したりしたことがあります。今はクラヴマガやキックボクシングといった格闘技の練習、体幹トレーニングやランニングもしています。また、ファッションショーやモデルをしながら、表現力を鍛えています。

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