万能選手はどれ? 鍋の素材で変わる得意料理と注意ポイント
2017年8月3日 | よみもの万能選手はどれ? 鍋の素材で変わる得意料理と注意ポイント

こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。
みなさん、“鍋の使い分け”していますか?
最近の高性能鍋は焼くも煮るも炒めるもなんでもこい的な印象があり、実際にいろんな用途で使うこともできます。
でも本来、鍋にはその素材に応じた得意不得意があり、それを活かすことでより効率よくおいしい料理ができます。
今回は、鍋の素材別にそのおすすめの使い方や苦手分野などをご紹介したいと思います。

(1)土鍋
冬の鍋シーズンだけに活躍し、夏には棚の奥にしまい込まれていることも多い土鍋。その名の通り素材は“土”です。
古くは縄文時代から使われてきた歴史ある鍋ですね。実は、鍋料理以外にも炊飯や煮込みやちょっぴり意外な蒸し料理にとても便利です。
その特徴は、加熱もゆっくりですが冷めるのもゆっくりなところ。煮込みも、カレーやシチューといった洋風煮込みも、じっくりと味が染み込むのでおすすめ。
蒸し料理のときには野菜を下段に敷き詰めてから、その上に肉や魚をのせて混ぜ合わせた調味料を上からかけて蓋をすれば準備OK。
野菜からしみ出す優しい水分で蒸し料理が完成します。
ただ、焼いたり揚げたりは苦手。油が染み込んでしまったり焦げ付いたり匂いがしみついてしまったりすることがあります。
(2)鋳物ほうろう鍋
鋳物ほうろう鍋は、鉄と炭素の合金である鋳物にガラスを吹き付け塗装をしたもののこと。
この説明だとなんだか難しいのですが、人気の“ル・クルーゼ”などがその代表選手ですね。焼いても煮てもOK。
焼きと余熱を使ったローストビーフや、スープやシチューなどじっくりコトコト煮込むような料理にピッタリです。
オーブンが利用できるだけでなく、保温性も抜群なので、一度火を通した後で保温具を使って煮込むスロークッキングにも向いています。
ただし、急激な温度変化は苦手。強火での加熱やビックリ水の追加といった動作はNGです。
また、分厚くて重たいのに衝撃に弱いという弱点があり、取り扱いには注意が必要です。
(3)アルミ鍋
軽いアルミを使った鍋の代表選手は行平鍋。お手頃なのに万能との呼び声も高い鍋で、どの家庭にもひとつはありそうです。
行平鍋は熱効率が抜群なので、湯を沸かしても煮物を煮込むのも時短調理が可能。
味噌汁にも肉じゃがにも、簡単な炒め物にも使えるので、行平鍋だけでほとんどの料理はできてしまいそうです。
片持ち手がついて、鍋に注ぎ口がついているタイプをよく見かけますが、これ以外に、やっとこタイプといってボール型の手無し鍋をやっとこという鍋つかみで取り扱うものもあります。
これだと、大中小のサイズ違いをきれいに重ねて収納できるし、鍋ごと食卓に出しても格好がつきますね。
弱点はというと、傷がつきやすく変形しやすいところ。これを防ぐためにも行平鍋はできるだけ厚いものを選ぶといいでしょう。
(4)ステンレス鍋
ひと昔前までは、ステンレス鍋というと長持ちはしないけれどお手軽な鍋といった存在でした。
でも多層構造のステンレス鍋が主流になった今、その認識は大きく改められています。
多層構造を取り入れたことで、熱伝導率が格段にアップし、炒める・湯がく・煮る・焼く・揚げるといった調理のほとんどの作業がこの鍋でできるようになりました。
弱点はというと、汚れがこびりつきやすいところ。これは、鍋の底や壁の多層構造の層が厚いものを選ぶことや、使用後すぐにつけおき洗いをすることでかなり防げます。
ただ、層の厚いステンレス鍋はどうしても重くなるので、ちょっと扱いにくい部分があるのが残念なポイントです。
(5)鉄鍋
テフロンなどで加工された鍋類がたくさん出回る中、今も中華鍋やすき焼き鍋などには鉄製の鍋が使われることが少なくありません。
特に油を使った料理との相性と使い勝手は抜群です。鉄鍋がもっともよく使われるのが、揚げ物シーン。
チャーハンを含めた炒め物も、その調理図を思い浮かべただけでもおいしそうなイメージですね。
また、野菜などのゆで鍋やセイロと組み合わせて蒸し器としても使えます。ただ、どうしても焦げる、汚れを落としにくいといった弱点はあります。
鉄鍋での焼く・炒めるには、空焚きして熱を通してから油をひいて利用します。使用後にはできるだけ早くにお湯を注いで汚れをふやかすようにして取り除きます。
鉄鍋は油が馴染んだ状態がベストなので、洗剤の使いすぎやこすりすぎには注意しましょう。
まとめとして
ご紹介した鍋は、ガスだけでなくIHでも使用できる製品として多くが販売されています。
購入時にガス用かIH用かの確認をするのはもちろんですが、底の形状が丸いものはIHでは熱が通らないので参考に。
鍋も考え方次第では一生使い込んでいく大事な道具です。みなさんの食生活スタイルに合わせて、良いものを選びたいですね。
【参考文献】
・『台所道具の本 プロに教わる選び方・つきあい方のいろは』主婦の友社・編集
・『和の台所道具 おいしい料理帖』小島喜和・著