テンパるからイヤ? 新入社員が会社の電話に出られない理由と対処法
2015年7月6日 | よみものテンパるからイヤ? 新入社員が会社の電話に出られない理由と対処法

「最近の若い子って、会社の電話に全然出ないのよ!」
先日参加した、ワーママのランチ会でこんな発言が飛び出ました。
彼女はオフィスで働く営業事務。
かなり電話がかかってくる部署なので、新人たちにもどんどん電話を取ってほしいそうなのですが、全く出てくれない。鳴り響く呼び出し音を涼しい顔で放置し、自分の業務に没頭しているのだそうです。
この発言に、その場にいたママたちからも同意の嵐。どうやら、よくある話のよう……。
でも、新入社員さん側の言い分もあるんじゃない? そう思った私は、早速調査をはじめることに。
今回は、新入社員の皆さんに「電話が苦手な理由」をインタビューして回りました。そこから見えてきた対処法も、合わせて考察しましたよ!

(1)対応そのものが分からない
『相手が何を言っているのか聞き取れなかったりすると、「え? え?」ってテンパっちゃうんです。その間にも電話口の向こうでどんどん話が進んでいって、内容がわからないまま電話が切れちゃう。そういうことが何度もあったから、もう電話はこりごりです』(女性/食品メーカー)
このように、そもそも社用電話の応対法が分かっていない新入社員たちは多いようです。
相手の話が聞き取れなかったときにどう対応したらいいのか、何をどのようにメモに残せばいいのか、自分が伝えるべきことは何なのか。これら一つひとつがわからないから、話についていけないまま通話が終わってしまうんですね。
その結果、新人さんの手元に残るのは内容不明のメモ書きだけ。それを元に何とか電話があったことを上司へ取り次いでも、話が見えない、内容がわからないと叱られてしまいます。
そんなことを繰り返しているうちに、電話に対する恐怖心がどんどん大きくなっていってしまうのでしょうね。
(2)固定電話に慣れていない
いかにも現代っ子らしいな、と感じた意見がこちら。
『固定電話ってほとんど使ったことないから、苦手なんですよね。特にイヤなのは、誰がかけてきたのか分からない点。
スマホや携帯だと、着信時に相手の番号と名前が出るじゃないですか。だから出る前に、ああこいつか、たぶんあの件だなって分かる。心の準備をしてから出られるんです。でも、会社の固定電話ってそれがないでしょ? だから、出るのが怖いんですよね(笑)』(男性/自動車メーカー)
携帯電話の普及とともに、固定電話の加入者数は減少する一方です。
総務省が2017年6月15日に発表した「通信利用動向調査」では、20代の世帯では固定電話所有者が1割に満たないという結果が出ています。
個人的な連絡ツールである携帯電話には、自分あてのパーソナルな連絡しか入ってきません。誰がかけてきたかも分かるし、不要な連絡は無視すればいいだけ。着信拒否も簡単です。
そういったものしか使ってこなかった世代が、固定電話を苦手に感じるのも無理はないといえますね。
(3)自分が出ていいのか分からない
『電話が鳴っても、それに自分が出ていいのかわからないんです。だって、自分が出るよりも、先輩が出たほうがずっとスマートで正確に取り次げるでしょ? 私が出たら失敗して周りに迷惑をかけちゃう。そう思うと、どうしても率先しては出られません……』(女性/人材派遣業)
意外なことに、これも多い声だったんですよね。
「新人は電話に出ろ」と上司に何度言われても、気後れしてしまって受話器を取ることができないんだそうです。
「間違えたらイヤだ」「迷惑をかけたくない」という気持ちが根強いのは、最近の若者の特徴なのかもしれません。
対処法
ここまでで、新入社員たちの言い分はよく分かりました。
でも、電話応対は重要なビジネススキルのひとつ。社会人になったなら、身につけてほしいものですよね。
電話が苦手な現代の若者たちには、どのような電話応対教育をすべきなのでしょうか。
かつて10年以上、コールセンターで苦情処理業務についていた筆者の経験から考察してみました。
電話応対マニュアルを作り、内線で練習させる
まずは、細かい応対マニュアルを作ってあげましょう。
マニュアルには
・基本的なビジネス敬語
・電話で聞くべきこと
・メモをとるべき項目
・相手の話が聞き取れなかった場合の聞き返し方
などを書いておくといいですね。
内線を使い、社員間で応対練習させるのも有効です。かける側・受ける側の両方を経験すれば、架電時のマナーも練習できますよね。
新入社員研修の一環として、ぜひ取り入れてみてください。
取り次いでもらったらお礼を忘れずに!
新入社員のうちは、自分宛てに電話がかかってくることはほとんどありませんよね。
電話を取り、内容を聞いて担当者へ取り次ぐことが、応対のメインになります。
しかし、まだ新人のうちは「○○さん」と言われても誰だかわからないことも多いもの。担当者を探し、取次内容を伝えるだけでも、新入社員にとっては大変な仕事なんです。
もし電話を取り次いでもらったら、忙しくてもきちんとお礼を言いましょう。
万が一取次内容に不備があったとしても、その場で文句を言うのはNGです。まずは一旦うけて、落ちついたタイミングで「さっきの電話の取次だけど……」と、改めて指導してあげましょうね。
じっくりフォローしてあげよう
新人たちに積極的に電話を取らせたいなら、フォロー体制をしっかり取っていることをアピールしておきましょう。
「横にいて、分からないことがあったらすぐフォローするよ」と伝えておくだけも、新人たちは安心します。
過去に私が在籍していたコールセンターでは、3者通話機能を使って新人の応対をリアルタイムで聞くことができました。
新人が戸惑っていたら、すぐに回線を切り替えてフォローを入れることができたんです。
普通の企業ではそこまでできないとしても、新人が電話を取っているときには何となく近くにいて聞き耳を立てておき、困っている素振りがあったら助け舟を出してあげましょうね。
もともとマジメな傾向がある現代の若者。
温かく見守りながら、じっくり適切に指導とフォローをくりかえしていけば、きっと能力をのばしてくれるはず。
指導者側は余裕を持って、そして新人さんは失敗を恐れず、電話応対を克服していきましょう!
【参考リンク】
・平成28年通信利用動向調査の結果 | 総務省
●文/パピマミ編集部