家がゴミ屋敷状態に!? 30代のセルフネグレクト体験談と予防する方法
2017年6月22日 | よみもの家がゴミ屋敷状態に!? 30代のセルフネグレクト体験談と予防する方法

時折テレビでゴミ屋敷の特集が組まれることがありますよね。部屋中に溢れるゴミや近隣住民から苦情が来るほどの悪臭に囲まれて暮らすなど、正直ゴミ屋敷に住む人たちのことは普通の感覚では理解できないものです。
しかし、彼らの多くは最初からゴミ屋敷に住んでいたわけではなく、何かのキッカケによって家がゴミ屋敷化していったと考えられています。
そのキッカケの一つに、“セルフネグレクト”が関係していると言われています。
このセルフネグレクトは、老若男女問わず誰でもなる可能性があり、30代などの比較的若い人でも陥ることがあります。これを読んでいるアナタも例外ではないかもしれません。
今回は、“30代のセルフネグレクト”についてお話ししていきます。

セルフネグレクトとは
子育てをしている人なら、“ネグレクト”という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。ネグレクトには“怠慢”や“無視”などの意味が含まれており、日本では“育児放棄”という意味で使われています。
一方、セルフネグレクトは、怠慢や無視の矛先が他者ではなく自分に向かっている状態のことを指します。
ネグレクトの場合は子どもの身の回りの世話をしなくなりますが、セルフネグレクトは“自分”の身の回りの世話をしなくなります。
セルフネグレクト状態にある人の家はゴミ屋敷化しやすいと考えられており、孤独死の原因にもなります。
セルフネグレクトは比較的高齢者に多いと言われていますが、最近では30代〜40代でも増加傾向にあり、20代でもセルフネグレクト状態になるケースがあるようです。
セルフネグレクトな人の特徴4つ
(1)住環境が不衛生
普通、家の中が汚れていると感じたら、掃除をしたりゴミを捨てたりして自分の住環境を快適にしようとするものです。
しかし、セルフネグレクトに陥っている人は自分自身に関心を持っていないため、部屋の中を不衛生なまま放置してしまいます。
その結果、ゴミ屋敷になってしまったり、害虫が多く住み着くようになってしまったりと、住環境が不衛生になってしまうのです。
(2)体が不衛生
セルフネグレクトの人は部屋の掃除をしないだけでなく、入浴をしないケースも少なくありません。
そのため、体の状態が不衛生になり、そのまま放置していると病気になることもあります。
(3)地域内での孤立
セルフネグレクトの人は、住んでいる地域から一人孤立していることが多いと言われています。
また、内閣府の調査ではセルフネグレクト状態の人の約8割が一人暮らしだと指摘されています。
他者との関わりがないと、自分の状態を客観視することができず、そのままセルフネグレクトが進行しやすいという側面があるのかもしれません。
(4)必要が生じているにも関わらず、病院へ行かない
自分自身に関心の薄いセルフネグレクトの人は、ケガや病気などで病院へ行く必要がある場合においても病院へ行かないケースが多いと言われています。
また、病院へ行ったとしても、自分に必要とされている治療を拒否するケースもあるようです。
セルフネグレクトになる原因3つ
(1)人間関係の変化
セルフネグレクトは人間関係の変化から引き起こされることがあります。
たとえば、家族や友人との不和、離婚、親しい人との死別など、人間関係によって精神的に強い負担が生じた場合に“絶望”や“落胆”などの感情からセルフネグレクトにつながる可能性があると言われています。
(2)引きこもり
学校でのイジメやアルコール中毒などで引きこもりになり、そのままセルフネグレクトへ移行してしまうケースもあるようです。
(3)病気
認知症や精神的な病気など、日常生活を送る上で支障が出る重い病気にかかった場合も不安感や孤独感などからセルフネグレクトになる可能性があります。
30代でセルフネグレクトになった人の体験談
同僚に助けられた
『当時、私はいわゆるブラック企業に務めていました。仕事はとても忙しく、帰りは毎日深夜の終電。料理も家事もできる状態ではなく、家に帰ればただ眠るだけの日々でした。
そんな毎日を送っているうちに無気力になっていき、ご飯はカップ麺で済ませるようになり、お風呂は3日に一回程度。家の掃除はほぼ半年に1回といった感じになっていき、気づけばゴミ屋敷と化していました。
ずっと体調も悪く、会社も休みがちになるようになったあたりで、仲の良い同僚が家に来てくれました。私の部屋を見た同僚はビックリして「病院に行こう」と嫌がる私を無理矢理病院へ連れていきました。
病院ではうつ病と診断され、治療を開始。会社を辞めてのんびりしているうちにセルフネグレクトは改善していきました。今思えばあの同僚は私の命の恩人です』(38歳女性/事務)
引きこもりから移行
『私は学生時代にイジメに遭った経験から、32歳ぐらいまでずっと引きこもっていました。世の中を恨む気持ちからだんだん生きる気力がなくなっていき、自分の身の回りのことを一切やらないようになりました。
お風呂にも入らなかったし、汚い話排泄をペットボトルでしたこともありました。そんな折、肺炎を発症し、あまりのツラさにはじめて両親に助けを求めました。
両親はすぐに私を病院へ連れていき、その間に部屋を掃除してくれました。入院中に母親が泣きながら「立ち直ってほしい」と懇願してきたことがきっかけでアルバイトをはじめ、今では親元から離れて生活しています。
あのころは自分がセルフネグレクトだという自覚がなく、その生活が普通だと思っていました。今考えたらゾッとしますけど』(39歳男性/通信)
セルフネグレクトを予防するには
誰でもセルフネグレクトになる可能性があるということはすでにお伝えしました。
それでは、セルフネグレクトに陥ってしまったとき、どのように対処をすればいいのでしょうか。
セルフネグレクトの予防に効果的だとされているのは、“他者との交流”だと言われています。
セルフネグレクトになる人の多くは他者との交流が少なく、孤立している傾向にあるとされています。
そのため、日頃から家に人を招くといった工夫が必要です。また、日頃から歯磨きや入浴を面倒くさがったり、ゴミを放置しがちだったりする人はセルフネグレクト予備軍だと言われています。
どんなに面倒でも、「明日やればいいか」と諦めずに“今日”やるようにしましょう。そうした積み重ねがセルフネグレクトを予防する近道となるかもしれません。
【参考リンク】
・セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査 | 内閣府 経済社会総合研究所(PDF)
●文/パピマミ編集部