ピンピンコロリもつらい? 家族を突然亡くした人の体験談3つ
2014年4月20日 | よみものピンピンコロリもつらい? 家族を突然亡くした人の体験談3つ

「ピンピンコロリ」という言葉がありますね。病気に苦しむことなく元気に過ごし、ある日突然コロリと逝くさまを表しているものです。
長患いで苦しむことがなく、家族に介護などの迷惑もかけないという点から、日本では理想の最期として捉えられることが多いこの「ピンピンコロリ」。
実際のところはどうなのでしょうか? 本当に“いい死に方”なのでしょうか。
今回は、家族を突然死で亡くした人たちの体験談をもとに考えていきましょう。

(1)苦しまずに逝けたようだった
『仲間たちが長い闘病の果てに相次いで無くなり、取り残されてしまった祖父。葬儀から帰ってくるたびに「アイツあんなに恰幅良かったのに、ゲッソリ痩せこけちゃってたよ。長患いはイヤなもんだ。俺が死ぬときはコロっと逝きたいね」なんてこぼしていました。
そんな祖父が亡くなったのは2月の寒い朝のことです。釣りに行くため、いつものように車に乗りに行ったのですが、いっこうに出庫しない。不審に思った母が様子を見に行くと、運転席に突っ伏して意識を失っていました。あわてて救急車を呼んだのですが間に合わず、帰らぬ人となりました。
解剖の結果、死因は心筋梗塞だったそうです。
祖父の携帯には、倒れる直前に仲間に送ったらしい「今から行く。いい天気でよかった!」というメールが残っていました。本人も、まさかこうなるとは思わなかったのでしょうね。死に顔は安らかだったので、苦しまずに済んだんじゃないかなと思ってます』(20代女性/会社員)
東京都監察医務院によると、突然死の中で最も多いのは急性心臓死だそうです。このエピソードのように、直前まで元気でメールまで送っていたにもかかわらず、バタリと倒れてしまうというケースも見られます。
突然の別れはつらいですが、本人が望んでいた通りに最期を迎えられたことは多少の救いになるかもしれません。こちらの方もお墓参りのたびに、家族とそんな話をなさっているそうです。
(2)何にもしてあげられなくてつらかった
一方、いいことばかりではないと述べる人もいました。
『大学でひとり暮らしとなり、そのまま就職、結婚。実家にはほとんど顔を出しませんでした。
子どもが生まれて母の偉大さに気づいたものの、子育てのバタバタで帰省しないまま数年。いつか行こうと思ったまま、ずっと先送りにしていたんです。
そんな折、実家の父から電話がありました。母が急に亡くなったとのことでした。急いで病院にかけつけましたが、死に目には間に合いませんでした。
母は朝ふつうにお弁当を作って父を送り出し、昼にスーパーに買い出しに行き、その先で急に倒れたということです。大動脈瘤破裂という病気で、俳優の阿藤快さんが亡くなったのと同じものです。
あまりにも唐突に訪れた死。話したいこと、謝りたいこともあったのに何も伝えられなかった。連れて行ってあげたい場所もたくさんあったし、子育ての話もたくさんしたかった。心の準備もお別れも何もできませんでした。今でも後悔しています』(40代女性/主婦)
元気なうちは、いつでも会える、また今度話せるという思いから、やりとりを疎かにしてしまいがち。
しかし突然の死でこんなふうに引き裂かれてしまうと、それは大きな悔いとなってしまいます。
もしも闘病期間を経ての別れだったのであれば、そのあいだに気持ちを整理したり、じっくり話したりすることもできるでしょう。思い出づくりにいろいろな場所をめぐることだってできるかもしれません。
しかし「ピンピンコロリ」だと、どうしてもそれができないのです。そう考えると少し寂しい気もしますね。
(3)尻拭いが大変だった
インタビューを重ねていくと、こんな体験談も聞けました。酒好きのおじい様を突然死で亡くした男性からのお話です。
『いつまでも起きてこないので部屋を見に行ったら、布団の中で既に亡くなっていました。前の晩もいつものように飲んで大騒ぎしてたのに。
ビックリしたのは、家にたくさん警察が来たこと。発見したときの状況、家族が何をしていたかなど、何人もの警官にかわるがわる何度も同じことを聞かれ、まるで取り調べを受けているようでイライラしました。こっちはショックで動転していて、うまく話せるわけもないでしょう。
解剖するって持って行かれたけど、結局死因も分からずじまい。しかも、あとの処理がすごく大変でした。
内容がわからない督促状や借金明細、いくつも出てくる謎のクレジットカード。何のお金なのか、誰から借りたのか全くわからない。頼みの綱は爺ちゃんが使ってたスマホなのですが、ロックがかかっていて中を見ることができず最後まで詳細不明。わからないことだらけで途方に暮れ、家族みんなクタクタになりました』(30代男性/自営業)
突然死の場合、身辺整理をしないまま亡くなってしまうことが非常に多いです。
借金などがあった場合、残された家族が尻拭いをしなければなりません。時には手続きにパスワードや印鑑などが必要なこともあり、それらがわからないととても大変な思いをします。
この方はご自身の経験から、「自分は家族に迷惑をかけたくない」と思い書店でエンディングノートを購入したそうです。元気なうちに情報を書き込んでおけば、万が一のときにも安心とのことでした。
いかがでしたか?
一般的には理想とされている「ピンピンコロリ」ですが、いい面ばかりではないようですね。
どんなあり方であっても、生きていれば必ず最期の日は訪れます。死に方を考えるのは、生き方を考えること。あなたも一度じっくりと、“その日”の迎え方について考えてみませんか?
●文/パピマミ編集部