ホントに実現できる? “叱らない育児”を試してみて出た意外な結果とは
2017年3月22日 | よみものホントに実現できる? “叱らない育児”を試してみて出た意外な結果とは

こんにちは、ママライターの木村華子です。
子育て系のアドバイスを記したさまざまな媒体で、叱らない育児が推奨されていることを頻繁に見かけます。
しかし、母親として3人の子どもたちと暮らす私は、「できることなら、そうしたいよ!」と、長らく叱らない育児に対して食わず嫌いな態度を貫いてきました。
叱るという行動は、叱るママにとっても叱られる子どもたちにとっても大きなストレスです。
「いけない」とは分かっていても、叱っている間に感情が高ぶり、ついついお説教が長引いてしまう……という経験はありませんか?
叱らない育児のメリットには子どもの自己肯定感や自信を育むことなどが挙げられますが、私が最も魅力的だと感じていたのは、叱る頻度の減少がもたらす“家族全員のストレス軽減”でした。
他の専門家が唱えている利点よりも単純なものですが、子育てを現在進行形で行っている身としては切実な問題です。
不必要なお説教が家庭からなくなれば、わが家はもっと素晴らしい家族に変わるはず……。そんなふうに感じながら、同時に「まあ、無理だけど」と諦めていたのです。

7割以上のママが毎日叱ってる! 叱らない育児なんて机上の空論?
多くのママにとって、子どもを叱る行為はあまり人にはお見せできない行為なのではないでしょうか。
事実、公園や病院で見かける“叱る母親”は、(おそらく)いつもより控えめなトーンで説教をしている印象を受けます。
思い返してみれば私の母親も、人前では本気で叱ることがありませんでした。もちろん、私も同じです。
そのため、よそ様のご家庭の“叱る事情”は見えづらく、したがって自分の叱り方や頻度は正常なのか? を推し量る基準もなかなか持てません。
そこでパピマミでは、子育て中のママたちを対象に「お子様を叱る頻度」についてのアンケートを行いました。
ご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました!
育児中のママに質問! お子様を叱る頻度を教えてください
・1位:毎日のように叱っている……77%(106人)
・2位:1週間に1回以上は叱っている……15%(21人)
・3位:1か月に1回以上は叱っている……3%(4人)
・4位:ほとんど叱らない(過去に数えるほどしか叱っていない)……2%(3人)
・同率5位:半年に1回以上は叱っている……1%(2人)
・同率5位:全く叱らない……1%(2人)
※有効回答者数:138人/集計期間:2017年3月6日~2017年3月7日(パピマミ調べ)
調査の結果、なんと77%ものママが「毎日のように叱っている」ことが判明しました。
近年あちこちで叱らない育児のメリットが話題に上っているにも関わらず、実際に取り組んでいるママはかなり少数派であることが伺えます。
果たして、叱らない育児なんてものは本当に実現可能なのか、机上の空論なのではないか、という疑問や好奇心を抱いた私はある日、子どもたちを前に、「ママはもう叱りません宣言」をしたのでした。
狂喜乱舞する子どもたち。この決断は正しいのか……。今回は、叱らない生活で起こった私たち親子の変化を報告します。
“叱らない育児”失敗の目撃例
叱らない生活を始める前に、叱らない育児の失敗談の存在を聞いたことがありました。
「実現可能なのか!?」と半分好奇心で叱らない生活を志した私ですが、当然子どもたちに悪影響を与えてしまうことはしたくありません。
以下では、叱らない育児を実施した親子を知る方々による、育児失敗の目撃例を紹介します。
(1)「ごめんなさい」が言えないワガママ姫
『両親のポリシーで叱らない育児を受けた年長の姪は、乱暴で自己中なワガママ姫に育ってる。レストランやバスの中でも騒ぎたい放題で、しかも悪いことだという自覚がない。「ごめんなさい」も言えない』(20代後半・専業主婦による目撃例)
(2)叱られる経験の不足は、打たれ弱さを招く……
『大人から叱られるという経験がなさすぎて、打たれ弱くなった子がいた。中学に上がってすぐに不登校になってた。その親は子どもが学校に行かなくても叱ることをしないので、事態が改善される可能性が無いと思う』(30代前半・女性による目撃例)
(3)成功例を見たことが無い
『叱らない育児をしていた家庭をいくつか知っているけど、成功例がまるでない。いじめっ子や引きこもり、暴力的など、全員何らかの問題児に育ってる。子どもはある程度叱らないとダメだと思う』(30代前半・パート主婦による目撃例)
これらのデメリットから、私は叱らない育児に以下2つのルールを加えることにしました。
・ママは“できるだけ”叱らない
・叱らなきゃいけないことには、本気で叱るよ!
「叱らなければいけないこと」とは、他人に迷惑や危害を加えたとき・加える恐れがある行為や、社会のルールや道徳に反していることなどが挙げられます。
親として叱るべきだと感じられるとき以外は叱らない、というシンプルなルールです。
「ママは、もう怒らないんだよね〜!」と嬉しそうな子どもたちでしたが、当初の私は(そのつもりだけど、今に叱らなきゃいけないことをしでかすんだろうな〜)と高を括っていました。
今まで散々叱られる毎日を送ってきた子どもたちが、突然お利口さんに変身するとは思ってもいなかったのです。
1か月の“叱らない生活”を経て……
私の宣言は2月の中ごろで、叱らない生活はまもなく1か月を迎えようとしています。
私が本当に叱らずに過ごすことができたのか……結果は、子どもの年齢によって異なるものになりました。
叱らざるを得なかった、3歳児
叱らない生活が最も困難だったのは、3歳になる末っ子です。
第一次反抗期真っ只中の彼女は、「あれイヤ」「これイヤ」「理由はないけどイヤ」という、何が正解なのかわからない要求が四六時中続く状態。
“できるだけ叱らない”というルールは守ったつもりですが、なにしろ他者へ迷惑をかける行動や、道路への飛び出しなど怪我や命に関わる行動もあり、結局は週に2〜3回ほどは叱らざるを得ませんでした。
小2と年長は叱ることが1度もなかった!
最も驚いたのは、小2の長男と年長の次男を叱る機会が1度も訪れなかったというポイントです。
善悪の分別がつく年の彼らには、「今日からママはできるだけ叱らないけど、そのためには君たちの協力が不可欠。何が良くて何が悪いかを自分で考えてみよう」と伝えて叱らない生活をスタートさせました。
“自分で考えて”と委ねたことが良かったのかもしれません。
これまで問答無用で私がジャッジしてきた問題を、子どもである彼らが判断するという工程には、今までにない誇らしさや楽しさを感じていたように見受けられました。
またこの結果には、私自身の変化も大きく関わっていると思います。
「叱らない」と宣言して以来、叱りそうになったときには“本当に叱る必要があることなのか”を考えるようになりました。
その結果、これまで叱り飛ばしてきたことのほとんどが必要のないものだったと気がついたのです。
毎日のように叱っているママ! (できるだけ)叱らない生活、おすすめです!
約1か月間を(できるだけ)叱らず過ごした私ですが、これから先もずっと叱らないでいることはあり得ないと考えています。
きっといつか、大目玉を喰らわせなければならないタイミングがあるのでしょう。
このたびの叱らない生活では、叱らないことそのものがもたらすメリットよりも、“本当に叱る必要のあることなのか”を振り返る機会が重要であると感じました。
今回のアンケートでは、「毎日のように叱っている」と答えたママが7割も存在していました。
もちろん子どもたちの個性は十人十色で異なります。中には毎日叱らなければいけないお子様もいらっしゃるのかもしれません。
子育てを行う多くのママが経験からご存じの通り、子どもを全く叱らずに育てることは不可能に近いと思います。
しかし、叱らない生活には、これまでの日常にたくさん存在していた“叱るシーン”の中から、無駄なものをデトックスさせる効果があると感じました。
私たち母親が毎日ヒステリックに叱り飛ばしている事柄の中には、不必要なものも含まれているのかもしれません。
ぜひそのエネルギーを、お子様との笑顔の時間に費やしてみてはいかがでしょうか。