ショック死もある? 出産時に“出血”する原因と危険性

【女性からのご相談】
来月、出産を控えています。先日の妊婦検診で、貧血気味のため鉄剤を飲むように言われました。

そのとき助産師さんに、「お産のときには出血するから、ちゃんと貧血を治しておかないと」と言われたのですが、本当ですか?

私は昔から血を見るのが苦手で、出血するなんて聞いて今から怖くて仕方がありません。出血しないで産む方法はありませんか?

a女性の体はお産のときに出血するように作られている

どうして出血しても大丈夫なのか、どのくらいまでの出血なら正常範囲なのか、今日はこれらのことについて詳しく説明していきます。

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出産直後の出血についての知識

(1)妊娠すると血が増える

妊娠すると、血液の量が通常の1.5倍にまで増えます。これは、子宮に栄養や酸素を送るために大量の血液が必要になるからです。

ちなみに、血液の液体成分が1.5倍になるのに対し、赤血球(これが少ないと貧血になる)は1.2倍程度にしか増えません。このため、血液が薄められて貧血になる妊婦さんが多いのです。

いずれにしても、1.5倍にも増えるわけですから、お産のときに多少出血しても大丈夫なのです。

(2)どのくらいなら出血しても大丈夫なのか

通常、500mLまでなら正常範囲です。平均的には300mL程度だと思います。

お産のときには赤ちゃんを包んでいる羊水も一緒に流れ出ます。

これが血液と混ざってたくさん出血したように感じますが、ほとんどの場合は出血多量になることはありません。

(3)どうして出血するのか

通常、赤ちゃんが生まれると、それから10分以内(自然娩出を待つ場合は30分以内)に胎盤が娩出されます。

胎盤は赤ちゃんに酸素や栄養を送るためのもので、へその緒の反対端にくっついていて、子宮の内側の壁にへばりついているものです。

それが、赤ちゃんが生まれたことによって役目を終えて、はがれて出てくるわけです。その際、胎盤がはがれたところから出血し一気に流れ出ます。

この子宮の内側からの出血は胎盤が出た直後がピークで、徐々に少なくなり、2時間後にはナプキンをあてて動けるまでに減ります。

また、お産の際には膣が避けたり、場合によっては会陰切開といって医師がはさみで切ったりする場合もあります。そこからの出血も多少あります。

(4)異常な出血とは

通常胎盤が出た後は、大きくなっていた子宮がどんどん小さくなって、それによって血管が収縮して出血が少なくなります。

しかしごくまれに、子宮がうまく縮まらず出血が止まらないことがあります。この場合は、子宮をマッサージしたり薬剤を使ったりして、収縮を促します。

また、産道に大きな傷ができた場合や、大きな血管が切れてしまった場合も出血が続きます。この場合は、医師が縫合する以外に出血を止める方法はありません。


いかがでしたか? 余計に恐怖心をあおってしまったでしょうか……。

でもこれらのことは、これから出産する方たちにはぜひ知っておいてほしい事柄です。

出血は異常ではありませんし、万一異常な量が出た場合でも、大抵は医師の手当てで大事には至りません。

担当医師を信じて、安心して出産してください。

●ライター/Hillまゆ子(助産師)

編集部追記

今回のコラムでは、出産時の出血について知っておきたいことをアドバイスいただきました。

「出産での出血」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

出産直後の出血が止まらなくなる原因3つ

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(1)弛緩出血

『弛緩出血』とは、出産直後に胎盤がはがれた部分からの出血が止まらず、大量出血を引き起こしてしまうことを言います。

出産直後には多少の出血が起こるのが一般的ですが、通常は子宮が急速に収縮することで血管も縮まり止血されます。

双子や三つ子などの多胎や巨大児によって、子宮への負担が大きくなり子宮筋の収縮が不十分となることや、胎盤がはがれた部分に羊水が流れ込み血液が固まりにくくなっていることなどが原因とされています。

(2)羊水塞栓症

羊水が母体の血液内に流れ込むことによって血流を滞らせ、呼吸不全などの症状を引き起こす疾患です。

血圧低下、不整脈、嘔吐、けいれん、呼吸困難などがおき、血液が固まりにくくなる状態が引き起こされることで大量出血することもあります。

症状の進みが早く、発生後短時間で死に至ることもあり、分娩中あるいは分娩直後の死因として最も多い原因とされています。

(3)癒着胎盤

出産直後は、子宮から胎盤がはがれ落ち、子宮の外に排出されるのが普通です。

しかし、子宮と胎盤の付着が強固でスムーズにはがれ落ちないことがあり、これを癒着胎盤と言います。

分娩後1時間を経過しても胎盤が子宮の外に排出されないと癒着胎盤が疑われ、胎盤が子宮筋層に癒着した状態では、はがれた一部分からの出血が大量になり、最悪の場合、出血性のショック死に至ることもあります。

出血がとまらない状態が続くと、母体を保護するために子宮の摘出手術が行われることもあるようです。

出産直後に大量出血した人の体験談

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『出産自体はスムーズに終えたのですが、その後なかなか胎盤がはがれてくれず、出血もおさまりませんでした。最終的な出血量は羊水込みとはいえ2000mL超え。私自身は意外と冷静でしたが、走りまわる助産師さんやおろおろする旦那の姿が印象的でした』(5歳男の子のママ)

『子宮の収縮が悪く、出血が大量だったため貧血状態になりました。分娩室でしばらく安静にしていましたが、自分の足で病室に戻ることができず、ベッドに寝たまま移動することに……。翌日も多少ふらついていましたが、鉄剤注射を数日続けて無事退院できました』(4歳女の子のママ)

『産後の貧血がひどく、丸2日間寝たきりで過ごしました。そのぶん入院期間も延びてしまい、出産後の方が大変だったという印象です』(2歳男の子のママ)

『あまりの出血の多さにパニックになり、出産時のことはよく覚えていないのですが、お医者さんからは「もう少しで輸血が必要だった」と言われました。入院期間中だけでは貧血の状態が改善せず、退院後もしばらくは毎日注射に通うことになりました』(6歳女の子のママ)

予想していなかった出血量に驚きを覚えた人も多いようです。

いったんその場を乗り切ったとしても、体調が戻るまでには時間がかかると言えるでしょう。

出産後の生理再開の見分け方

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産後しばらくは、ホルモンの働きによってママの体には生理が来ないようになっています。特に母乳保育の人は生理の再開が遅くなる傾向にあるようです。

早ければ1か月程度で生理が再開する人もいるようですが、妊娠中、長期に渡って生理が止まった状態であることから、いつ再開するのか、出血に他の原因があるのではないかと不安に思う人もいるでしょう。

産後に継続的に起こる出血としては『悪露』がありますが、悪露は時間の経過とともに血液性のものから黄〜白へと変化していくため、1か月を経過しても鮮血があるようであれば生理の可能性が高いと言えます。

なお、産後1年以上生理がこない人もいるなど、再開するタイミングは個人差が大きいと言えます。

遅いからといって必ずしも異常というわけではありませんが、心配な場合には医師へ相談するようにしましょう。

大量出血による輸血には危険性も?

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出血が大量になると、医師の判断により輸血が行われることがあります。

命をつなぎ止めるためには必要な輸血ですが、これにより『肝炎』へのウイルス感染が起こることがあるのです。

献血で集められた血液は十分に検査されたものですが、感染初期のウイルスを100%発見するのは困難とされています。

このことから、事前に出血が予想される出産の場合、あらかじめ自分の血液を採取しておく『自己血輸血』が行われることも増えているということです。

血液量の増加している妊婦であるため、採血による影響は少なく、大量出血のリスクに対する準備として有効なものとされています。

まとめ

「出産直後の出血の原因」や「大量出血した人の体験談」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

赤ちゃんが生まれたからといって、すぐさま安心することはできません。その後の大量出血でママが命を落としてしまうことも、決して珍しいことではないのです。

生まれてきた赤ちゃんを育て上げるためにも、産後に気を抜かず、不安に思うことがあれば早めに相談するようにしましょう。

●追記/パピマミ編集部

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