ガンでも100歳超え!? 病気をしても長生きできる“多病息災”の生き方

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

わたくしごとで恐縮ですが、筆者の義理の両親つまり妻の父親と母親は、それぞれ間もなく91歳、88歳の誕生日を迎えようとしています。

二人とも全然“無病息災”でここまで来たわけでなく、義父は働き盛りのころ『バセドウ病』を患いましたし、今は脳梗塞の後遺症で言葉が不自由です。

義母の方も長いこと『心筋症』や『関節リウマチ』を患っており、体の状態そのものはガタガタだと言った方が適当でしょう。

それなのに、二人とも至って元気で普通に暮らしています。あまり病気をしなかった筆者の実の両親が最期はあっさりと病に命を奪われて他界したのとは対照的です。

岡山市で内科・リハビリテーション科の診療所を開業する医師の土肥博道先生は、“多病息災”という概念の提唱者でもありますが、『人間は病気になっても年を取ってきても、今を生き積極的に脳や身体を使ってさえいれば、誰でも百寿者(百歳以上の人のこと)になることは可能だ』とおっしゃっています。

今回は長寿の人たちや病気でも元気な人たちの人生から“多病息災の生き方”を学んでみたいと思います。

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脳が委縮しても認知症の症状が出ない人、進行癌が広範囲に転移しても百寿者になった人

土肥博道先生が院長を務めている『さとう内科』のホームページには、二人の百寿者の生涯について興味深い記述がなされています。

一人目は認知症研究者の間では有名な人なのですが、アメリカの修道女で福祉活動家でもあった『シスター・メアリー』です。

ミネソタ大学の予防医学研究グループが678名の修道女を対象として実施した研究で、101歳で亡くなったシスター・メアリーの脳は委縮が強く、βアミロイドの沈着が見られ、典型的なアルツハイマー病患者の脳だったそうです。

にもかかわらず、シスター・メアリーは亡くなる直前まで正常な認知機能と運動能力を保ち、認知症の症状が全くなかったとのこと。

土肥先生はこのシスター・メアリーの例から、『たとえアルツハイマー病の病変が多数存在し明らかにアルツハイマー病に罹患していると認められる状態であっても、シスター・メアリーのように積極的に脳を使っていると認知症の症状がでないことがあると断じています。

シスター・メアリーは84歳まで現役の数学教師として教鞭をとり、晩年も福祉活動家として熱心に仕事をしていたということでした。

二人目はかつてわが国の最高齢者であった116歳の女性です。

最期は癌で亡くなったその女性を死後に解剖してみたところ、癌は肝臓や腹腔内にまでひろがり、きわめて広範囲に転移していたそうです。

それなのに彼女は116歳で亡くなるそのときまでずっと元気だったとのこと。

土肥先生はこの女性の例をあげて、『多病息災という生き方・心の持ち方で暮らせば、たとえ進行癌があったにしても癌の症状が表面に出ないことがあり得ると述べておられます。

多病息災の生き方とはどのようなものか

それでは、土肥博道先生がおっしゃる“多病息災”の生き方とは、どのようなものなのでしょうか。

土肥先生が旧姓の“佐藤”博道というお名前だったころの著書に、『多病息災にくらす健康生活術』という本があります。

その中で先生は、筆者なりに要約するなら次のような主旨のことをおっしゃっています。

“健康だけが価値をもつかのように考えるのは間違いである。とくに超高齢化社会を迎えつつあるこれからの時代、加齢に伴って免疫力が低下した高齢者が人口のうちの多数を占めるというのに、「無病息災」でいこうなどと考えるのは非現実的。

1つも病気がない状態を目指すのではなく、7つも8つも病気があって、なおかつ治りにくいと言われるような病気もあるのに、そんなことに気を取られないで病気と上手く付き合いながら生きていくことが大切である。

誰かの役に立ち、自分が夢中になれる仕事や趣味に没頭しながら今を生きる。このような姿勢で生きてさえいればシスター・メアリーらのようにアルツハイマー病になっても癌になっても、普通の生活ができるのである。これを「多病息災」の生き方と言う”

周りを見まわしてみれば“多病息災”で生きている人は意外と多い

冒頭の話に戻りますが、筆者の義理の両親は二人とも“多病”であるにもかかわらず、“息災”(無事であること)で、いよいよ百寿者に近づこうとしています。

でも筆者の義理の父母だけでなく、周りを見まわしてみると“多病息災”で生きている人はけっこう多いのではないでしょうか。

わが国を代表する俳優さんで白血病や胃癌を患いながら、まるで「そんなことは大したことではない」と言うかのように精力的に国内外で活躍されているかたがいます。

この役者さんは筆者と同い年でもあるためその生き方はとても励みになります。

英国の天体物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士は、まだ学生であった1960年代に『筋萎縮性側索硬化症(ALS)』を発症しました。

この病気では進行に伴って全身のいたるところの筋肉が動かなくなりますので、1つの病気で人を“多病”にしてしまいます。

人工呼吸器を使用しなければ発症して数年から5年程度で死に至る病気の患者でありながら、博士は74歳になる現在でも画期的な研究を続け、現代宇宙論に多大な影響を与えています。

あたかも研究を続けるためには難病に気を取られている時間はないとでも言いたげに見えます。

それから、なにも有名人に限らず、みなさんの身近にも多病息災の人がいませんか?

筆者の知人で「今回は○○癌だ」「前回は△△癌だった」「その前は□□癌をやったよ」などと、気にかける様子もなく笑い飛ばしている企業経営者の人がいます。

間もなく60代を迎えようとしていますが、彼なども“多病息災”の生き方を実践している人なのでしょう。


おわりに、土肥博道先生が院長を務めるさとう内科のホームページから、多病息災について記した素敵な文章を引用しておきます。

『(医者になった)最初のころは病気の予防が最も大事だと思っていましたが、次第に、病気になったら病気でもいいんだと思うようになりました。(中略)やはり、人間の一生は「生老病死」から逃れることはできないんだということに気がつきました。人間は年とともに、みんな多病息災で生きていくしかないのです。大切なことはできれば病気にならないようにすること、もし病気になったら病気を受け入れること、そして病気の進行を緩くすることです。そのために養生があり、医療があります』

還暦が近づいてきた筆者としては妻ともども、土肥先生のこの言葉を噛みしめて生きていきたいものだと思っています。

【参考文献】
・『多病息災にくらす健康生活術ー病気も老いも仲良くつきあう22章』佐藤博道・著

【参考リンク】
がん・生活習慣病・老化予防のための生活術 百寿者に学ぶ | さとう内科

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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