養育費はもらえナイ? 元夫の悪口が偶然広まった場合は名誉毀損になるか

【ママからのご相談】
半年前に夫と離婚し、他県に引っ越して5歳と3歳の娘の3人で新しい生活を始めました。夫はお酒を飲んで私に暴力をふるう上に、家にお金も入れず浮気相手の部屋に入り浸るような男でした。

私が新しく入った会社は女性が多く、離婚の話などを親身になって聞いてくれ、思わず元夫の話を詳細にしてしまいました。すると、偶然にも夫と同じ大学だった先輩がおり、その話がOB会などでも大きな話題になったそうなのです。

先日、元夫から「名誉棄損で訴える」「誠意のある謝罪がない限り、子どもの養育費も今後一切払わない」という怒り狂ったメールが届き、着信もひっきりなしにあって恐怖を感じています。

確かにプライベートな内容を話してしまったのは事実ですが、会社の同僚という限られた人にしか話していませんし、名誉棄損だなんて大げさではないでしょうか。

もしも名誉棄損になるとすると、子どもの養育費がもらえなくなることはあるのでしょうか?

a たとえ名誉棄損が成立したとしても、養育費には関係ありません

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。

そもそも、『名誉棄損』とは?

『名誉毀損』とは、『人の社会的な評価を下げるような事実を公然と適示すること』とされています。

簡単に言うと、“世間一般からその人に対して与えられている評価を下げるような事実を、口外したり、ネットに書き込んだり、出版報道したりすることによって、不特定多数の人間に知れ渡ってしまう状態を作り出す”行為が、名誉棄損に該当することになります。

公職に就く人間に対しては基本的に真実を述べている場合は名誉棄損に該当しない等の一部の例外がありますが、一般的に、個人対個人の関係においては、上記のような行為をすると名誉棄損に当たる可能性が出てきます。

名誉棄損が成立するかどうかについて注意したいのは、「名誉毀損」=「ウソの情報をばらまかれて名誉を棄損されたこと」とイメージされる方が多いのですが、たとえ真実であっても名誉を棄損するような事実を公表すれば、名誉棄損に当たるということです。

たとえば、その人の前科等であっても、「あの人は窃盗罪の前科がある」などと言いふらした場合や、ネットに書き込んだりした場合は、名誉毀損が成立する可能性があります。

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今回は名誉棄損になる?

名誉毀損が成立するためには、“実際に多数の人に広まってしまった”という結果は必要ないですが、“ある程度広範囲に知れ渡る可能性が生じた”ということが必要です。

たとえば、4~5人の集まりであっても、「絶対内緒にしてね」と伝えていれば、基本的には名誉毀損には当たらないでしょう。

さらに、名誉毀損が成立するためには、“聞いた相手がその人が誰なのか特定できる”ことが必要です。

「私の元夫がね……」と言われても、どこの誰だかわからないのであれば、その人の社会的評価が下がることがないからです。

今回は、話している相手にまさか夫の知り合いがいるとは気づけなかったでしょうから、基本的には相談者の方に故意・過失がないと判断され、名誉毀損となる可能性は低いでしょう。

今回は実際に悪口が広まってしまっていますが、これは偶然元夫の大学の先輩に知れてしまったからであって、通常は井戸端会議的なところで、「元夫」の表現で事実を述べているのであれば、名誉棄損に該当する可能性は低いと言えるでしょう。

そもそも、名誉毀損に当たるか否かの判断においては、諸事情が考慮されます。

そのため、「お酒を飲んで暴力をふるう、家にお金も入れず浮気相手の部屋に入り浸る、といったことを、数人に相談することさえ許されない」と裁判官が判断するとは到底思えず、やはり、名誉毀損になる可能性は極めて低いと思われます。

過去に、主婦同士の井戸端会議での悪口で、名誉棄損に基づく慰謝料を命じた判決がありました。

しかしこれはそれ以外にも、「窃盗癖がある」といった内容の手紙を会社に送りつけたり、自宅にも悪質な手紙を送りつけたり、といったさまざまな行為をしていた背景事情があります。

この判決は極めて悪質な主婦たちによるいじめの事例なので、今回のようなケースには当てはまらないでしょう。

養育費を払わないなんてあり?

仮に、100歩譲って名誉棄損が成立したという場合であっても、養育費を支払うべきか否かとは別の話です。

名誉毀損が成立した場合、これに基づく慰謝料を支払う必要が出てきますが、極めて低額に落ち着くと思います。

その慰謝料を支払うことと、養育費の話は別なので、慰謝料の支払云々にかかわらず、別途、養育費は“子どもを育てるために必要な費用”として、父親に当然の義務として支払うよう請求することができます。

養育費が減額できる場合は、相手が再婚した、逆にこちらが再婚した、相手の収入が大きく減ったといった理由が必要です。

このような理由がないのに「名誉毀損だから払わない」といった主張は通りません。

まとめ

暴力をふるったり、浮気をしても自身を省みないような男性は、理不尽なことを言ってくることもよくあります。

しかし、絶対に負けてはいけません。今回も、むしろこちらから元夫に対し、暴力や不倫の慰謝料を請求すべき事案です。

離婚時に取り決めをせず、離婚後3年を経過していないのであれば、こちらから慰謝料請求に打って出るという手もあります。

少なくとも養育費に関しては、仮に公正証書等の形にしていないのであれば、確実に支払ってもらうよう手続きを踏むべきですので、お悩みの場合は弁護士にご相談くださいね。

●ライター/篠田恵里香(アディーレ法律事務所:東京弁護士会所属)

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