費用はどれくらい? 不妊治療の成功率と妊娠しやすくする方法

【女性からのご相談】
結婚3年目を迎えましたが、まだ子どもに恵まれません。そろそろ不妊治療のことも考え始めました。そこで疑問が湧いたのですが、治療することによって、どの程度の確率で妊娠できるのでしょうか? 具体的に教えてください

不妊治療にはお金も気力も必要です。その上、治療さえすれば必ず妊娠できるという保証もありません。ですから尚更、成功率が気になるところですよね。インターネットで検索してみても、統計に基づいた信頼できる数字を見つけることは困難です。

そこで今日は、ご参考までに、アメリカで行われた治療の統計をご紹介します。

140109hill

(1)排卵誘発剤

不妊の原因が無排卵のみの場合(男性側にも、女性の卵管や子宮にも問題がない場合)、排卵誘発剤の使用によって、50%の女性が妊娠します

(2)人工受精(AIHまたはIUI)

精子の運動率が悪い場合や、膣内環境が厳しいために精子が生き残れない場合、この治療が行われます。

新鮮な精子を特殊な薬液で洗浄することによって運動率を高め、細長い管を使って直接子宮内に送り込みます。ほとんどの場合、(1)の排卵誘発剤も併用され、排卵と同時にこの治療が行われます。

この治療の妊娠率は、15〜20%です。6周期行った場合、7割の女性が妊娠します。

(3)体外受精(IVF)

精子欠乏症や、女性の卵管障害(卵管がつまっていて卵子が子宮に移動できない)などの場合、この治療が行われます。

(2)の人工受精との大きな違いは、女性の卵巣から外科的に卵子を取り出して、女性の体外(シャーレや試験管内)などで卵子と精子を接触させる点です。受精後は、いくつかに細胞分裂した受精卵を直接子宮内に戻します。

この治療の妊娠率は、35歳未満で41%、35歳〜37歳で32%、38歳〜40歳で23%となっています。

(4)顕微授精

重度の精子欠乏症など、体外でさえも受精が難しい場合にこの治療が行われます。

(3)の体外受精と良く似ていますが、一つだけ異なる点は、卵子と精子を接触させて受精を待つのではなく、精子を一匹選び出して、卵子内に注入して授精させる点です。これらの処置は顕微鏡下で行われます。(3)と同様に、いくつかに細胞分裂させた後で子宮内に戻します。

この治療の妊娠率は、35%です。


以上、ご紹介した4つの治療法は、それぞれに記述した原因がある場合だけでなく、原因不明の不妊にも用いられます。

「不妊」とは

ところで、不妊とは、正常な夫婦生活を持っているにも関わらず、2年以上妊娠しないことを言います。この「2年間」という期間の裏付けとなっているのは、以下の研究結果です。

100組のカップルが妊娠を望んで通常の夜の仲良しを行った場合、

・20組が1か月以内に妊娠
・70組が6か月以内に妊娠
・85組が1年以内に妊娠
・90組が1年半以内に妊娠
・95組が2年以内に妊娠

となっています。

つまり、2年以内に妊娠できないのはたったの5組。5%に過ぎません。この5%には何らかの原因があることが予想され、2年以上努力してもおそらく妊娠はしないので、治療をしましょう、ということです。

ここで1つ説明ですが、この「通常の夫婦生活」とは、週3回以上を意味します。これが、妊娠するために推奨される回数なのです。

多いと思いませんか? 忙しく、ストレスも多い日本人にとって、この数字はなかなか達成できるものではありません。

その結果、実は異常はないのだけれど、不妊として治療を受ける人が増えているのだと思われます。

排卵誘発剤による治療の成功率が50%、1か月間頑張って週3回夫婦生活に励んだ場合の成功率が20%、治療を始める前に、トライしてみる価値ありではないかと、個人的には思いますが、いかがでしょうか?

●ライター/Hillまゆ子(助産師)

編集部追記

今回のコラムでは、不妊治療の成功率として、アメリカで行われた治療4つを紹介し、それぞれの妊娠率を紹介していただきました。

「不妊治療の成功率」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

【年齢別】自然妊娠率・受精率・着床率・流産率

160627toitore03

年齢別の自然妊娠率

自然に妊娠する確率は、下記のように年齢によって異なります。

・25歳……25〜30%
・30歳……25〜30%
・35歳……18%
・40歳……5%
・45歳……1%

35歳から急激に自然妊娠率が下がることがわかりますね。45歳ではたったの1%。ほとんど自然妊娠はできないようです。

年齢が上がるにつれて自然妊娠率が下がるのは、卵子が老化するから

37歳〜42歳にかけて、卵巣内にある卵母細胞数は急激に減少し、なんと卵子の数は10分の1にまで減ってしまうそうです。

受精率

排卵日近辺で男女が関係を持てば、80%の確率で受精するとのこと。

着床率

受精が80%の確率で成功したとしても、着床しなければ妊娠はしません。

着床率は受精率の半分以下! さらに、着床してから妊娠が継続する確率は10〜20%だそう。

年齢別の流産率

自然妊娠する確率は年齢が上がるにつれ、どんどん減少していきましたが、流産率はその逆です。

・25歳……10%
・30歳……10%
・35歳……25%
・40歳……40%
・45歳……50%

年齢が上がるほど卵子が老化し、生命力が低下します。そのため、流産する確率も上がってしまいます。

不妊になる原因

KAZ7842_DSCF3259_TP_V

不妊になる原因は、女性側に原因があるものと、男性側に原因があるものに分けることができます。ただし、両方に原因がある場合もあります。

『WHO(世界保健機関)』の不妊原因調査では、女性のみに原因がある場合が約41%、男性のみに原因がある場合が約24%、両方に原因がある場合が約24%となっており、原因不明の場合が約11%だそうです。

では、男女でそれぞれどのような不妊の原因があるのでしょうか。下記にまとめてみました。

女性側の不妊の原因

・排卵障害
・子宮内膜症
・卵管の問題
・着床障害
・子宮頸管の異常
・免疫の問題(抗精子抗体)

男性側の不妊の原因

・性機能障害
・精子の問題

日本で不妊治療をしている人の割合

『国立社会保障・人口問題研究所』が2010年6月に初婚同士の夫婦を対象に実施した『第14回出生動向基本調査』によると、「不妊を心配したことがある」という夫婦は31.1%だったそうです。

そのうち、実際に不妊症の検査や不妊治療をしたことがある夫婦の割合は、17.9%(過去に経験がある人と現在進行形の人の合算)という結果でした。

【治療法別】不妊治療にかかる費用

160701naisei

不妊治療というと高額なイメージがありますが、実際にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

治療法によって大きく異なりますが、一般的な費用の相場は下記になるようです。

・タイミング法……1回数千円(保険適用)
・人工授精……1回15,000円程度(保険適用外)
・体外受精……1回20〜50万円(保険適用外)
・顕微授精……1回40〜60万円(保険適用外)

体外受精と顕微授精は、かなりの高額ですね。

そこで、体外受精と顕微授精については、助成金がもらえる『特定治療支援事業制度』というものが用意されています。

自治体の指定を受けた医療機関にて、助成対象となる治療を受けた場合は、助成金が支給されるのです。

助成限度額は、1回につき15万円となります(以前凍結した胚を解凍し移植した場合や、採卵したけれど状態が良くない等の理由で治療を中止した場合には、7.5万円)。

ただし、助成金支給の対象者には条件があります。その条件とは、

・戸籍上の夫婦であること(事実婚は対象外)
・体外受精・顕微授精以外の治療法では妊娠できる見込みがない、または妊娠できる可能性がかなり低いと診断された場合
・夫婦2人の所得が730万円未満(ごく一部の自治体では所得制限ナシ)

なお、所得の計算方法は、下記になります。“収入”とは異なるのでご注意ください。

【給与所得のみである会社員の場合】
給料ー給与所得控除額ー80,000円ー各種の控除(障害者控除や医療費控除など)

不妊治療の成功率

160705papirusu

人工受精の妊娠率(AIH)

医療機関によっても差はありますが、人工授精による成功率は、5〜25%程度だそうです。

【年齢別】体外受精の妊娠確率

20代後半〜30代前半までの体外受精による不妊治療成功率は、約20~40%とのこと。

『日本産婦人科学会』の「2010年生殖補助医療データブック」によると、体外受精の妊娠率は、25歳以上で40%をきり、32歳程度までは37〜38%の確率となります。

しかし、35歳を過ぎ、30代後半からは妊娠率が徐々に低下。40歳では20%をきります。

そして、43歳では10%、44歳では10%以下となり、45歳以上では5%以下に。年齢が上がるにつれ、妊娠確率は0%へと近づいていきます。

不妊治療の成功率を高める方法4つ

160628kosyoku4

(1)栄養バランスの整った食事をとる

食事は朝・昼・夜と3食きちんととり、栄養が偏らないようバランスの良い食生活を送りましょう。

食物繊維を多くとり、できるだけGI値の低い食材を選ぶと良いそうです。

加工食品や糖分の多い甘いもの、カフェインを控えることが良質な卵子を作ることにつながります。

また、葉酸を摂取することで、受精卵の着床にも良い影響があるそうです。

(2)良質な睡眠をとる

妊娠にも睡眠は大きく影響しているとのこと。夜になるとメラトニンというホルモンが分泌され、子宮や卵子の老化を防ぎ、質を良くしてくれるのだそうです。

眠る前にスマホやテレビなどの強い光を見ると、メラトニンの分泌量が減ってしまうそうなので、注意しましょう。

7時間ほどの質の良い眠りがとれるよう、生活リズムを整えたり、眠りにつきやすい環境を整えたりするといいでしょう。

(3)体が冷えないようにする

体が冷えると血行不良がおき、子宮や卵巣に必要な栄養を送れなくなり、機能が低下してしまいます。

妊娠しやすい体温は36度5分程度だそう。不妊症のさまざまな原因のもとは冷えだとも言われているので、体を冷やさないよう注意しましょう。

飲み物は温かいものを飲む、お風呂では湯船にゆっくりつかる、クーラーの風に直接あたったり、部屋を冷やしすぎないなど、日頃の生活でも注意できることがたくさんあります。

(4)不妊治療の高い実績がある病院を選ぶ

不妊治療は医療機関によってもその成功率が変わってきます。

そのため、不妊治療を専門で行っている病院や、高い実績のある病院を選ぶことも一つの手です。

ただし、不妊治療は続けることが大切。高額すぎても治療の継続が困難になるため、費用面もあわせて見ながら病院を選びましょう。

不妊治療を受けるデメリット3つ

160701momo

(1)お金がかかる

不妊治療の多くは保険が適用にならないため、お金がかかります。そのため、お金がなくて不妊治療を諦めるご夫婦も少なくないようです。

(2)心身ともに疲れる

「妊娠したいのにできない」というだけでも精神的にストレスになるもの。

それが治療のたびに痛い思いをしたり(卵子を取り出す際は特に痛いそうです)、治療しても妊娠できなかったときにショックを受けたりと、心身ともに疲弊してしまいます。

そのため、夫婦で協力し合い、励まし合うことが大切です。

(3)薬の副作用がある場合も

薬剤を使って排卵誘発を長期間に渡って続けていると、ホルモンバランスが崩れ、余計に妊娠しにくい状況になってしまうこともあるようです。

まとめ

「【年齢別】自然妊娠率・受精率・着床率・流産率」や「不妊治療にかかる費用」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

不妊治療の成功率は年齢が上がるにつれて減少していくため、できるだけ早い時期に取り組むことが大切なようですね。

また、不妊治療を成功させるためには、夫婦の強い絆も大切。二人で仲良く取り組めるようにしていきましょう。

【参考リンク】
アメリカの不妊事情-3 | babycom

●追記/パピマミ編集部

注目の記事

このコラム読んでどう思う?

  • いいね (9)
  • うーん (19)

あなたにオススメの記事

パピマミをフォローする