ワル的な強さが必要? うつ状態の改善に役立つ“レジリエンス”の高め方

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

今、メンタルヘルスの世界で『レジリエンス』という概念が注目されています。

日本語に訳すと「精神的回復力」という言葉になりますが、もう少し具体的に言えば「逆境を乗り越えて適応する力」のことです。

要するに、“レジリエンス因子”を十分に持っている人はその働きによって、精神的に落ち込むような事態に直面しても重篤なうつ状態などに陥ることが少なく、なおかつ身体面での健康も損なう確率が低い、という仮説の中核をなす概念のことです。

精神科医の斎藤環さんは2016年5月発売の著書『人間にとって健康とは何か』の中で、『大衆から人気を博し支持を得る人物は多少なりとも“悪”の要素をはらんでいる必要があるが、その理由は彼らが持つレジリエンスの高さと健康さに所以する』といった趣旨の論説を全編にわたって展開されています。

職場や家庭でさまざまなストレスにさらされることによって、“うつ状態”に陥ってしまうことが多い私たち現代人。

レジリエンスを高めることでうつ状態は改善するのかということについて、考えてみたいと思います。

160816suzukikatuyosi

“レジリエンス因子”にはどのようなものがあるか

都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のT氏によると、レジリエンス(逆境を乗り越えて適応する力)の因子には、次のようなものがあると言います。

(1)コルチゾールやセロトニンなどの生理学的なファクター
(2)自尊感情(特に、多くの苦難を経験したのに自尊心が強い者はレジリエンスが高い)
(3)肯定的な未来志向
(4)自分を支持してくれる人がそばにいてくれること
(5)ユーモアのセンス
(6)好奇心が強く、新しいもの好きであること
(7)楽観主義
(8)鈍感力
(9)変わらない愛着や愛情を注ぐ対象があること(郷土、パートナー、子どもなど)

レジリエンスを高めることでうつ状態は改善するが、レジリエンスを意識的に高めるには専門医の指導を受ける方が望ましい

このT医師によれば、「レジリエンスを高めることでうつ状態は改善するか」といった類いの問いは、『論じる必要もないほど自明なこと』だといいます。

ただT医師は、「それではレジリエンスは自分で意識して高めることができるのか」という問いには、『レジリエンスが高い人の多くは育った環境などの自分では選択することのできない要素によってレジリエンスが鍛えられてきたため、既に大人になってしまったレジリエンス低めの人が努力でレジリエンスを高めるためには精神神経科の医師による専門的な指導を受ける方が望ましい』とおっしゃっていました。

“悪(ワル)”ばかりが高いレジリエンスを持っているというのもちょっと……

こうして斎藤環先生の著書やT医師のお話から考えてくると、“悪(ワル)”ばかりが高いレジリエンスを持っているというのもちょっと、どうしたものか……という思いになってしまいます。

たしかに、親が何度も家業をつぶしその夜逃げに付き合ってきたような子や、勉強もスポーツも芸術も得意ではないため徒党を組んで“ヤンキー”をしていた少年少女たちが、下手なインテリなどよりたくましく地域社会でネットワークを作り、人によっては地域の活動を通して地方議員や場合によっては国政に進出するほどの出世を果たすといった例は多く、いくらでも実例を挙げることができます。

もちろん、そういった人たちが“悪”だというのではなく、ワル的な強さを持っているという意味においてです。

T医師が挙げたようなレジリエンス因子を、ごく普通の庶民の一人ひとりが今より少しでも高めることができれば、長引くうつ状態に悩む人はきっと減少することでしょう。

そのためにはT医師が言うように「専門医の指導を受ける」か、あるいはまた「時が流れ環境が変わっても自分を支持してくれる愛すべき対象をもつ」ことが有効なのではないかと筆者は考えるのですが、いかがでしょうか。

【参考文献】
・『人間にとって健康とは何か』斎藤環・著

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

data-ad-region="1"> data-ad-region="2">
data-ad-region="2"> data-ad-region="2">

あなたにオススメの記事

パピマミをフォローする