一人親でも問題ナシ! 子どもの非行と親の離婚が関係しないワケ

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

今のわが国で子どもを公立の小中学校に通わせている親御さんであれば、子どもの同級生の友達の中にかなりの割合で“名字が変わる”子がいらっしゃるかと思います。

ご推察の通り、両親の離婚を理由とする例が大多数です。

しかし、今回のコラムはそのような“名字が変わることになってしまった反抗期の子どもたち”を問題視するような立場では一切ありません。

両親が離婚してどちらか一方の親だけになった子が必ずしも情緒不安定になるわけではないのです。

そうでなく、母親であれ父親であれ祖母であれ祖父であれ姉であれ兄であれ、「反抗期に家族の愛情を確認できた子であれば、今は反抗していてもきっと大丈夫」という精神神経科的スタンスに立って、反抗期のお話をさせていただきたいと思います。

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思春期に反抗することは「身近な大人に見捨てられないか」という不安の裏返し

東京都千代田区で心療内科・精神科の『ベスリクリニック』を開院する田中伸明先生は長年にわたり、「小中学生時代の反抗期に親や家族がいかにあるべきか」というテーマをもって臨床研究をつづけておられます。

田中先生のホームページによれば、小中学校時代の反抗期・思春期の子どもの“いわゆる反抗的問題行動”は、「親や身近な大人から見捨てられないか」という不安の裏返しだといいます。

田中先生によると、『この時期の子どもは、自立したい気持ちと甘えたい気持ちの間で揺れ動いています。時には甘えたい気持ちが強くなり、親に依存するような言動をとることもあります。その際には、しっかり家族の愛情を確認させてあげることが重要です』とのこと。

つまり、両親の離婚などで親が一人になったから問題行動に出るというわけではなく、家族の中に自分を愛してくれていると確信を持てる大人がいないときに問題行動をとる。田中先生はそうおっしゃっているわけです。

5歳で両親に捨てられた風間トオルさんの例に見る「愛してくれる家族さえいれば大丈夫」

ここで思い出されるのは、『ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力』の著書がある、俳優の風間トオルさんのことです。

風間さんは筆者より3つだけ年下の同世代ですが、5歳のときに両親が離婚してまず母親が出て行き、そのうちに父親も出て行ってしまい、トタン屋根のアパートで僅かな年金収入があるだけの祖父母に育てられたという生い立ちの持ち主なのです。

その経済状況は過酷であり、幼少年時代は食べるものが足りなくてカマキリの足をかじったり公園の草やタンポポを採って食べたとのこと。

風間さんが小学生になると祖父は認知症を発症し、祖父が部屋の壁に排泄物を塗るたびに風間さんが水で洗い流したそうです。

普通なら中学生くらいからグレて、不良になってしかるべきような生い立ちだと思うのですが、風間さんはおばあちゃんと、認知症を発症してしまう前のおじいちゃんから「愛されている」という確信を持っていたため、反社会的な道に進もうなどと思ったことは一度もなかったそうです。

この例は、家族という身近な大人から愛されていることさえ確認できれば、子どもは極端に問題ある行動へは向かわないという田中伸明医師の説を裏付けているということができるでしょう。

離婚によって「一人親」になってしまったことが問題なのではなく、「愛してくれる家族の存在を確認できない」ことが問題

筆者には中学1年生の男の子がいます。例にもれず反抗期・思春期の真っただ中で、母親に対しても、父親である筆者に対しても、時折とても反抗的な態度をとります。

とくに筆者の息子は、結婚して家を出た姉が2歳の男の子(息子にとっての甥)を連れてよく遊びに来るため、小さな甥に対しては兄のように接しなければいけませんので、知らず知らずのうちにストレスもたまっているのだろうと思います。サザエさんの家におけるカツオくんがそうですよね。

また、筆者が生まれ育った昭和の戦後期と違い、若者や子どもに対して厳しい今の日本社会で生きて行かなければならない息子に対しては、筆者も妻もついつい将来のことを案じてしまい、口うるさくなってしまう傾向があります。

田中伸明医師は、そういった口うるささが愛情から発せられているものなのか、それとも子どもを疎ましく思う感情に由来するものなのか、子どもには敏感にわかってしまうといいます。

田中先生によると、『この時に家族の愛情を確認することができないと、子どもは失望し問題行動をとるようになります。汚い言葉でののしる、部屋に閉じこもる、暴力をふるうといった反抗は、親からの愛情が十分でないと感じたときに出てくるのです』とのこと。

これがたとえば親の離婚による一人親家庭であったとするならば、一人親であること自体が問題なのでは全くありません。

自分を引き取って育てることになった大人の家族(母親にせよ父親にせよ)ないし、その新しいパートナー等から本当に愛されていると感じることができるかどうかが問題なのだということなのです。

理不尽な要求は毅然として遮断するが子どもの可能性を伸ばすためなら全面的に応援する

あえて結論をまとめるのであれば、反抗期の子どもが無理な要求や主張をするのを認める必要はなく、話の内容は最後まで聞いたうえで毅然とした態度で要求を制する。

しかし、いずれ子どもがひとり立ちし独立して行けるように子どもの可能性を発掘し、伸ばす手伝いになるのであれば全面的に応援する。

そういうことに尽きるのではないでしょうか。そういうことは、長女が反抗期真っ最中であった15年も前に十分学習したはずなのに、人間は忘れる動物なんだなあと、つくづく感じる今日この頃です。

【参考リンク】
ベスリクリニック

【参考文献】
・『ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力』風間トオル(著)

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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