しつけとは違う? “ネグレクト”になる原因と子どもへの悪影響

【ママからのご相談】
最近、子どもに対するネグレクトが問題になってますが、私も仕事と家事とで忙しくて、子どもの相手を十分できてるかと言われると自信ないです。

子どもが3人いたら、1人ひとりに対して相手する時間減りませんか?

こんにちは! 小澤あきです。

ネグレクトとは、最近は主として児童に対する育児放棄の意味で使われることが多い言葉ですが、そもそもは、児童、高齢者、障がい者、ペットなど、幅広い対象に対する、“意図的な無関心”を指すもの。

そして、本人にはその自覚が伴わないことが多いのも特徴ですよね。ご相談者さまのご不安な気持ちよくわかります。

私は専業主婦ですので、子どもが1人のうちはさほど気にしたことはありませんでした。

しかし子どもが3人になってからは、すべての子に均一に目が届くわけではないということを身をもって感じています。

児童虐待の4分類

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児童虐待は主に4つに分類され、

・身体的虐待……殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

・性的虐待……子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

・ネグレクト……家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

・心理的虐待……言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

があげられます。身体的なダメージだけが“虐待”ではなく、無視や言葉の暴力も立派な虐待になります。

その中で今回は、『ネグレクト』についてお話を進めていきます。ちなみにこのネグレクトですが、医学用語では『ネグレスト』とも言われるようです。

児童虐待の実態

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内閣府発表によると、犯罪や虐待による被害者数(20歳未満の者)は、2012年が206,133件。

福祉犯(児童買春・児童ポルノ禁止法,児童福祉法,青少年保護育成条例などの法令の違反)でみると、被害者となった20歳未満の者は、この10年間おおむね7,000人台前半で推移してようですが、2012年には6,808人という結果も。

最も多い被害者としては高校生。次いで中学生となっているようです。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反については、児童買春事犯の被害者は2000年代半ばから減少しはじめ平成24年には471人。ここでも被害者として中学生と高校生が最も多いようです。

ここ10年でみると減少傾向にあるようですが、あくまでもこれは認知件数。声を挙げられずに苦しんでいる子どもがたくさんいることは確か。

また一方で、児童虐待に関する相談対応件数は年々増加傾向にあります。虐待の内容としては、

・身体的虐待……36.6%
・ネグレクト……31.5%
・心理的虐待……29.5%
・性的虐待……2.4%

最近の傾向としては、心理的虐待の割合が上昇しているとも言われているようです。

心理的虐待やネグレクトは低年齢児に多く、年齢が上がるにつれて身体的虐待や性的虐待が増えているという結果もあります。

主たる虐待者としては、実母が59.2%と最も多く、実父が27.2%と続き最近は実父の割合が緩やかに上昇している傾向があるようです。

ネグレクトとは

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ネグレクトとは、身体面や医療面そして教育面や情緒面において一切の世話をしないことを言い“育児放棄”や“育児怠慢”の状態をさします。

ネグレクトは以下の5つの種類に分類されます。

・一般的ネグレクト
……衣食に当たる部分を完全に放棄してしまうこと。
・医療的ネグレクト
……どんなに具合が悪い状態であっても、医者に連れていかずにそのまま放置してしまうこと。
・教育的ネグレクト
……義務教育を受けさせずに、子どもを家に閉じ込めてしまうこと。
・情緒的ネグレクト
……子どもの要求や言動に対して一切無関心になること。最も親が自覚していないケースが多い。
・保健ネグレクト
……必要な保健的ケア(予防接種や定期接種)を一切受けさせないこと。

また、最近では『セルフネグレクト』も増えているようです。

これは、成人した大人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を失い、自己の健康・安全を損なうことをさすそうです。

必要な食事をとらず、医療を拒否し、不衛生な環境での生活を続けることにより、脱水症状や栄養不良に陥る場合もあるようです。

また、家族や周囲から孤立し、孤独死に至ることも。

多くはソーシャルワーカーの介入によって防止されるようですが、それ以前として家族や友人、地域社会による見守りが必要になってくるようです。

消極的ネグレクトと積極的ネグレクトについて

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消極的ネグレクトとは

・経済力がない
・親が精神疾患や知的障害を抱えている

などを理由に育児が遂行できず育児放棄状態になっていることを『消極的ネグレクト』とされるようです。

積極的ネグレクトとは

一方、子どもの成長に必要な養育に関する知識や能力があるにも関わらず、何らかの理由で育児を放棄する状態を『積極的ネグレクト』と言います。

実際にあったネグレクト事件

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2007年に起きた実母による育児放棄事件。長男(5歳)と三男(1歳)を自宅に1か月置き去りにし、結果三男が死亡しました。

長男は家に放置された生ゴミや生米、冷蔵庫にあったマヨネーズを口にして命をつないでいたとのこと。

事件の発端は、母親が子どもたちの存在を疎ましく思いはじめたことからで、交際相手のところにでかけるために2人の幼い子どもを家に置き去りにしたということです。

1か月後に戻るときにはすでに死んでいるだろうという気持ちもありつつ、長男は生きていて、さらに母親のもとに駆け寄ってきたという非情で残酷な事件です。

母親には、殺人と死体遺棄、保護責任者遺棄の罪が問われ結果懲役15年(求刑懲役20年)が言い渡されました。

隠れネグレクトの実例

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一見、普通の大人に見える人の中には、子どものころにネグレクトを経験したことで悪影響が出る人もいます。

大人になったAさんは極端に自分に自信がなく、その自信のなさをごまかすため自信満々な態度をとるが、Aさん自身にその自覚はありませんでした。

自分の弱さを見られることを極端に恐れるあまりに、人の弱さを激しく非難するのです。

仕事上の付き合い程度の浅いコミュニケーションはこなせていても、人と深く関わるというコミュニケーションはとることができません。

Aさんには友達はほとんどおらず、友達と言っている相手とも、実は知人というくらいの距離感。

人の気持ちがほとんど理解できず、自分の痛みにはとても敏感なものの、人の痛みには無関心という状態で、共感能力や感受性の著しい欠如、表情の乏しさや表現力の乏しさなどが見られました。

俗にいう、アダルトチルドレン的な要素が多く見受けられる状態でした。

Aさんには両親もいて兄弟もいて、十分な教育も受け、清潔も保たれ、食事もきちんと摂取し、一見何の不自由もなく大人になり立派な社会人生活を送っていたため、周囲の人はネグレクト的な要素を持っているなんて思いもよらなかったそうです。

ネグレクトというと、子どもを置いて遊びに出かけてしまうとか、何日も食事を与えないとか、度の過ぎた育児放棄ばかりを考えがちです。

しかし、そのレベルまでいく場合は育児を放棄してしまう母親だけではなく、夫をはじめとするその周囲の人にも何かしらの問題があることがほとんどです。

母親だけがおかしいのではなく、夫婦としても、家族としても、つまりは家庭として正常に機能していないということ。

Aさんのような家庭は、そんな機能不全が起きていたようには見えない隠れネグレクトと言えるでしょう。

ネグレクトが引き起こされる原因

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ネグレクトが引き起こされてしまう原因としては、主に5つが挙げられます。

・貧困
・薬物
・アルコールの乱用
・精神障害
・片親

ネグレクトは基本的には両親による育児放棄とされています。

しかし、その背景にある“核家族化”も要因のひとつのようです。

「ちょっと親にお願いしよう」が気軽にできなくなった現代、扶養の負担が大きくなってしまっていることも緩和していく必要があるかもしれません。

ネグレクトが与える子どもへの悪影響3つ

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ネグレクトを受けた子どもがそのまま成長してしまうと、不安障害や感情・行動調節異常などの精神病理学的なリスクが高まると言われています。

(1)人間関係構築の不安定

極端に子どもとの時間が取れなかった結果、その子どもは成長をしても友だちを作ることができず、人の気持ちに鈍感な大人になってしまうというケースもあるようです。

(2)幸せホルモンの不足

ネグレクトを受けた子どもには、幸せホルモンとも呼ばれる“オキシトシン”の上昇がみられないという結果も。

つまり、他人との親近感や信頼感をふやす働きをもつオキシトシンが不足してしまうことで、対人関係に支障をきたす可能性も考えられるようです。

また、低身長の傾向があるとも言われています。

(3)知的発達の遅れ

子どもに必要な刺激を与えないことが原因や、親から愛情が与えられないことで、子どもの方が自分を閉ざしてしまい知的発達に問題が出てしまうこともあるようです。

発達がどんどん進むと回復が難しくなるため、周囲の大人にようる早期発見が大切と言われています。

ネグレクトに関する法律

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日本では、遺棄、保護責任者遺棄等、遺棄等致死傷の上で処理され、被害者(放置された側)がそれで負傷ないし死亡した場合に、加害者(その放置を行った側)が以下の法律のもと処罰されます。

・【児童虐待の防止等に関する法律】
一般的には『児童虐待防止法』とも呼ばれている。

・【高齢者の虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律】
一般的には『高齢者虐待防止法』とも呼ばれている。

・【障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律】

・子どもの権利条約

高齢者・ペットを対象としたネグレクト

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ネグレクトと聞くと、子どもに対する虐待をイメージする方も多いのではないでしょうか?

しかし、子どもを対象とした“児童虐待”以外に、

・障がい者虐待
・高齢者虐待

なども存在するようです。

また、ペットを対象とした飼育放棄も最近では増えているようで、首輪はつながれながらも日に日にやせ細り、ほぼ骨と皮の状態で放置されているといった状態もあるようです。

海外では子どもを“カギっ子”にすると捕まる?

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欧米や途上国では、児童を遅くまで戸外で遊ばせたり、子どもを車に残したままコンビニなどで買物をしていると問題視されることもあるようです。

場合によっては警察官に注意される可能性も。

実際にアメリカでは、一定の年齢以下の子どもを、保護者の監督のない状態(留守番や日本の“カギっ子”状態)に置くこと自体が違法とされています。

そのため、異変を感じた近所の方からの通報により警察官が赴き、帰宅した親が児童虐待として逮捕されるケースも多いようです。

虐待としつけの線引き

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「これは虐待!」で「こっちはしつけ!」という境界線は非常に難しいですよね。教育の観点からの“ゲンコツ”も、人によっては虐待に該当する可能性もあります。

では、虐待としつけ・教育の違いはどこにあるのでしょうか。

実際のところ、両者の境界を明確にすることは難しいというのが結論のようです。

しかし一般的には、しつけ・教育には、“愛情”が備わり児童の人格を尊重しながら、自らを理性的・自律的にコントロールできる力を育てようとするものと言われています。

子どもの言い分にも耳を傾け、向き合える余裕があるものとされるようです。

一方虐待は、親の圧倒的な力を悪用して児童をコントロールしようとするものとされます。

ネグレクトの場合、親の放棄になるため少し異なってくるようですが、いずれも“子どもへの愛情”の欠如と言えるでしょう。

自覚症状がない親も多いことから、

・子どもに対し拒否的な態度や冷たい様子
・子どもに対し無関心
・病気やけがをしても治療を受けさせようとする気配がない
・子どもの園での様子に関心を示さない

などの様子が伺える場合は、周囲の人間による通報がその子を救う可能性もあります。

「ちょっとおかしいなぁ……」と感じたら、地域の福祉事務所に連絡。自信がない場合は相談でも大丈夫! その一歩が大切なのです。

また、「自分がネグレクトかも……」と思った場合も誰かに相談する一歩が大切!

場合によっては、臨床心理士など専門家のいる身近な公的機関にSOSの手を伸ばしてくださいね。

育児中のイライラは誰もが抱えるものであり、ママやパパどちらか一方だけが負担するものでもありません。悩みを一人で抱え込まないようにすることが必要です。

まとめ

「児童虐待の種類」や「ネグレクトにまつわる法律」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

ネグレクトは被害にあう側も認識していないケースも少なくないようです。

「部屋が汚かっただけ」「食事はいつも○○」といったように家庭のあり方の特徴としてそのまま成長してしまう子どももいるようです。

その環境に対して、周りの大人が誰も気付けない、気付いても気付かないふりをしてしまうことも。

ネグレクトによる児童の死亡事件を防ぐためにも、近隣住民や先生など周りの人間による注意・配慮がより必要になってきそうですね。

●ライター/小澤あき(双子+兄弟の3児ママ)
●追記/パピマミ編集部

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