熊本地震でPTSDに? ママが「震災のトラウマ」を克服する方法5つ

【ママからのご相談】
こんにちは。先日の大地震で、熊本在住の姉夫婦と子どもたちが被災しました。家は壊れてしまいましたが、不幸中の幸いで、全員が無傷で無事でした。

でも、電話でのやりとり、SNSでの文面の内容などが、全然私たちの知っている姉ではなく、精神的にも深い傷を負っている気がして、心配でたまりません。

失った物、これからの生活、住宅ローンのことなど、2人の子どもを抱えてさまざまなことが頭を渦巻いているのだと思います。

実家から父が行き、現地入りしてできる限りのことをしていますが、まだ避難所で不便な生活を強いられているようです。姉はもちろん、7歳、3歳の甥っ子たちが心配でたまりません。

現地にいる父から見ると、姉の夫は物資を集めたり、家の様子を見に行って片づけたり、比較的動き回っているようですが、姉が無口にふさぎ込んでいること、いつも活発な子どもたちが妙に大人しい様子なのが気になるそうです。

私にも子どもがおり、現地入りすることは難しいです。離れた家族にも、何かできることはありますか?

a まずは親自身の心のケアを!

こんにちは、ママライターの月極姫です。

このたびは、大変ご心配なことだとお察しします。何より、お姉様のご一家がご無事で何よりでした。お父様が現地入りされているという、比較的恵まれた状況ではあると思います。

しかし、避難所の集団生活では、大人の方がなかなか感情の表出が難しく、お姉様は震災で受けたショックを心の中にため込んでいる状態なのかもしれません。

突然襲ってきた恐怖、失った物の大きさを考えると当然の反応です。

年齢や感受性によって個人差はありますが、お子さんもまた、小さな心で突然の災害を受け止めきれず、精神症状が出てくる可能性はあるかと思います。

幸いお姉様の旦那様がお元気な様子なので、お父様と分担して母子の心のケアに力を入れていただくのも良いかと思います。

また、後に熊本県に派遣されている心のケアの専門家集団について触れますので、ぜひ関連機関に連絡を取ってみてください。

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事故、災害、事件……大きなストレスで心に生じる障害とは

大きな事故や事件、災害などのショッキングな出来事に遭遇すると、そのショックが原因でさまざまな精神症状を引き起こすことがあります。

こうしたストレス障害は、大抵の場合ショッキングな体験をしてから3か月以内に発症し、ケアが不十分だとその後数か月、数年にわたって症状が持続してしまうこともあります。

外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder)の三大症状

(1)再体験症状(嫌な体験が繰り返し襲ってくるような錯覚に陥る)
(2)回避症状(ショックだった出来事の記憶から逃げようとする)
(3)覚せい亢進症状(緊張感、喜怒哀楽の感情が異常に高まる)

こうした症状は、年齢にかかわらず現れるものですが、あまりに幼く状況が把握できていない場合は、深刻な症状が出ないこともあります。

ただ、お姉様がふさぎ込んでいる様子が2人のお子さんに与える影響は否めません。お子さんたちのためにも、ママであるお姉様へのメンタルケアも急がれます。

子ども独特のサインとしては、上記のような症状に加えて指しゃぶり、爪噛み、チック、退行(幼児がえり・赤ちゃんがえり)などが一時的に現れることがあります。

子どもの場合の3大症状を具体的に言うと、

(1)再体験症状
・地震に関連した悪夢を見て目が覚める、泣く
・揺れていないのに「揺れた」と感じて取り乱す

(2)回避症状
・崩れた家屋やがれきから目を背ける、逃げる
・家族をはじめ人との関わりを避けてふさぎ込む

(3)覚せい亢進症状
・突然こわばった表情になったり、逆に幼稚に騒いでみたりと感情のアップダウンが激しくなる
・急に泣き出したり、怒りっぽくなる

普段と違うお子さんの様子が、もうすでに表れている可能性もありますね。

PTSDは早期にケアすることが重要なので、お父様や旦那様にもぜひお伝えいただきたいと思います。

また、精神症状に加えて、大人も子どもも身体症状が現れることがあります。普段と違う体のサインが出ていないか、細やかに観察してあげる必要があります。

【PTSDによる身体症状の例】
・頻脈
・徐脈
・呼吸
・血圧の乱れ
・食欲減退
・嘔吐
・睡眠障害
・内臓機能の低下による下痢・便秘
・慢性疲労

など。

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子どもの小さな心を守りたい……震災のトラウマへの対処法5つ

では、震災後の精神症状にはどのように対処すればよいのでしょうか?

(a)可能な限り、災害に遭遇する前の「普段の生活」の感覚を取り戻す

現実的には、避難所暮らしだと生活そのものを戻すことは困難。一緒にいる家族の表情、声色、気分だけでもいつもの雰囲気に戻す努力をしましょう。

難しいことですが、大人が終始眉をひそめ、暗い表情をしていると確実にお子さんに影響します。

(b)受け入れる

子どもがツラそうにしていたら、その症状に対して必要以上に驚いたり否定したりせず、受け入れ、話を聞きます。

大人もそうですが、「大変な災害に遭ったのだから無理もない」「必ず今の症状はおさまる」というスタンスです。これは、親御さん自身への言葉でもあります。

(c)適度な運動

歩いたり、ストレッチしたりなどの軽い運動で構いません。安全な場所で体操するだけでもいいのです。

身体の健康のためにも、一日中じっとしているのは賢明ではありません。

(d)何か「やること」を作る

手作業、お手伝い、文字の練習やお絵描き、避難所のお掃除、なんでも構いません。

作業に集中することで精神症状が緩和されることは医学的にも立証されており、さまざまな治療場面で行われています。

(e)トラウマの原因になった場所に、あえて赴く

これは急いで実行するべき過程ではありません。無理せず、時間をおいて、お子さんが落ち着いてきたときでいいのです。

強い精神症状が出ているときは、ひたすらそれを受けて入れてなだめているくらいで大丈夫。

被災の現場に赴く作業は、大人でも相当な時間がかかるものです。心が回復するときの最終段階と考えてよいと思います。


これらの他にも、十分な睡眠やバランスの取れた食事をとる、家族や友達と過ごすことで安心感を抱くようにする、なども大切です。

避難所には、お子さんのことを優先しながらも、ご自分にもフラッシュバックなどのツラい症状が出ているパパさん、ママさんもおられると思います。

無理を重ねることなく、聞いてくれる人、信頼できる人が近くにいるなら話を聞いてもらう。また、被災地に派遣されている専門家におおいに頼ってみてください。

一人で抱え込むのは禁物。メンタルケアの専門家集団に連絡を

今回の地震では、被災者への精神的ケアのエキスパート集団、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)が迅速に被災地に派遣され、活動を行っています。

DPATとは厚生労働省の委託事業で、災害ストレスによって精神保健医療へのニーズが拡大した際に活動するスペシャリスト集団。

精神科医師、看護師、児童精神科医、臨床心理士等で構成されています。

お近くの医療機関に派遣されている可能性もありますので、お姉様ご一家の力になるかもしれません。

文末にリンクを記載しましたので、ぜひ参考になさってください。一日も早く、ご家族の心身の健康が回復されることを祈念しております。

【参考文献】
・『児童精神科医ママの子どもの心を育てるコツ』白尾直子・著
・『人はなぜ心の病気になるのか?』林直樹・著

●ライター/月極姫(フリーライター)

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