2017年春開始! 卒業後の貧困を救う「新しい奨学金制度」のポイント

こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。

子どもが小さいうちはさほど負担にならない教育費。それが、中学校、高校、大学と進むにつれて負担が大きくなっていきます。

日本政策金融公庫が実施した『教育費負担の実態調査』によると、高校から大学卒業までにかかる教育費は、約900万円に上ることがわかりました。

教育費をどうやってねん出しているかという質問では、約22%が「奨学金」と回答しています。

このように、親の教育費負担の支えとなっている奨学金ですが、問題も出てきています。

それに伴って、奨学金制度が大きく変わろうとしています。本日は、最新の奨学金動向をお伝えしたいと思います。

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現行の奨学金制度と問題点

利用者数

奨学金は、自治体や各大学・学校のものなどさまざまなものがありますが、大きな制度としては日本学生支援機構の奨学金があります。

以前は“日本育英会”という名前で知られていましたので、聞いたことがあるという方も多いと思います。

同機構によると、2011年度の同機構の奨学金利用者は約129万人。大学や専門学校に通う学生の3人に1人が利用している割合となります。

年々その割合は増加しており、大学生の中で奨学金を利用している割合は5割を超えるというデータもあります。

制度

同機構の奨学金は、将来に返済が必要な“返済型”といわれるタイプです。返済の必要がない“給付型”ではありません。

学生は、在学中に毎月一定額の奨学金をもらい学業を継続します。卒業し就職した段階で、毎月定額の返済がスタートするという仕組みです。

定額返還だけでなく、申請すれば、年収が300万円を超えるまで返済が猶予される『所得連動返済型奨学金制度』という制度も2012年から使えるようになりました。

この場合は、所得が300万円に達しない場合は返済ゼロとなりますが、1円でも超えたら月々1万5千円弱の返済が始まるという、“ゼロか100か”という仕組みです。

問題点

不況や就職難、非正規雇用の増加で、奨学金の返済が遅れたり、支払えない延滞者は2011年度末で33万人になりました。2003年度末から11万人増えるという急増ぶりです。

さらに、同機構が独立行政法人化したことで厳しく回収されることになりました。

3か月滞納した人を銀行の個人情報信用機関に登録したり、滞納者への対応を民間の債権回収会社に委託したりもしています。

こうなると、滞納した本人はいわゆるブラックリストに入れられたことになります。中には厳しい回収に耐えられずに、自己破産に至った若者も発生しています。

もはやこれは“奨学金”ではなく“ローン”の態様になっているのです。

2017年春から奨学金制度が変わる

このような状況から、従来の“ゼロか100か”の奨学金返済制度ではなく、所得額に応じて返済額が柔軟に変動する新制度が検討されています。

2016年3月に文部科学省の有識者会議では新制度の概要案を決め、先の見通しがみえてきました。

2017年度の新規貸与者からは、一定の金額を毎月返すか(定額返還型)、年収に応じて返済額を変えるのか(所得連動型)を選べるようになる見込みです。

年収が144万円を超えた段階で、所得額の9%を返還額とします。年収がなくても卒業後すぐに毎月2,000円の返還を求められるという点も新しくなります。

卒業後の所得はマイナンバーを使って把握するなど、最新の動向を踏まえた内容になっています。

最後に、奨学金の返還に関するデータをお示しします。

日本学生支援機構が、奨学金の延滞者(遅れている人)と、無延滞者(期限どおりに支払っている人)に調査を行った結果によると、“奨学金を返済する義務がある”という理解が進んでいないことがわかったのです。

延滞者では「申込手続きを行う前」に返還義務があるとわかっている人は、49.5%。一方、無延滞者では90.3%となりました。

延滞者は無延滞者に比べて、申込手続き時点での返還義務の認識が十分ではないことがわかったのです。

これは、申し込みを親が行い、子どもは特に内容を知らされることなく就職して返済義務を知るパターンが多いと想定されます。

将来、子どもにとっても「え? 返済しなきゃいけないお金があるの? 予想外の事態!」とならないように、奨学金をもらう場合は、子どもに説明して申し込むことが必要だと思います。

●ライター/佐藤理香((株)子育て研究所代表)

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