プロに任せるべき? 高齢の親を自宅で「看護」する責任の重さ

【女性からのご相談】
50代です。およそ半年間に及ぶ入院生活を終えて間もなく80代半ばの母が自宅に帰ってきます。

もちろんケアマネージャーさんの指導のもとに各種の介助器具も使い、在宅療養支援診療所のお世話にもなりながらの在宅復帰なのですが、それでも不安で不安でたまりません。というのも、うちの母には“介護”だけでなく“看護”が必要だからです。

私の理解では、例えば認知症だけれど体は丈夫なお年寄りに日常生活の手助けをしてあげるのが“介護”。

体の健康状態に問題がある人に医療の知識や技術をもって改善の手助けをしてあげるのが“看護”。母は、明らかに“看護”が必要な状態。

私のような素人が看護を必要とする高齢者に在宅で接する際の注意点について教えてください。

a また入院生活に戻る場合もあることを想定して、あなた自身が無理をしないことです。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

介護と看護の違いについての理解は、ご相談者様の理解の通りでよろしいかと思います。

介護が日常生活の手助けをする行為であるのに対して、看護は“放っておいたら体の健康に重大な問題を来たすおそれのある症状に適切な処置を施し、治癒・改善の手助けをする行為”であり、言ってみれば医療の現場で医師に準ずる医療行為に携わる仕事であると言うことができるでしょう。

そのため、在宅で高齢のお母様の看護にあたるということは、ある意味でとても大変で責任の重いことです。出血の処置やむせた場合のタンの吸引措置など、“介護”の範疇を超えた仕事も多いです。

また、看護を要する状態であるということは、再び入院生活に戻る場合もあることをも示唆しますので、あなた自身が無理をしないことも大切です。

都内の総合病院に看護師長として勤務し、看護学の博士号もお持ちの看護師さんに伺ったお話を参考にしながら、考えてまいりましょう。

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患者さんの在宅復帰の判断は慎重に

『分かりやすいように具体的な例を挙げてお話ししましょう。おむつ交換のときに、ほんの微量ではあっても下血が見られたとします。介護に携わる人であれば、「寝たきり生活のストレスで下血する場合もあるから」といった認識で、何よりもとにかくおむつを交換してお母様が気持ちよくなるようにしてさしあげること。これが“介護”に携わる人のあるべき姿勢ですね。

しかし、看護に携わる人はそれだけでは不十分です。おむつ交換の際にたとえ微量であったとしても下血を確認したなら、現在のお母様の状態を観察しながらおむつ交換を行い、在宅療養支援診療所のドクターに報告をするなどの、行動を起こさなければなりません』(50代女性/都内総合病院看護師長、看護学博士)

この看護師さんのお話からも分かるように、お母様がまだ介護のみならず看護をも必要とされる状態であるのだとしたら、それを看る立場のご相談者様の責任はかなり重いものだということがご理解いただけるかと思います。

『自分の手を使い自分の口で食事を取れるところまでは回復しているものの、時としてむせってしまいタンの吸引が必要となるような場合には、そのタイミングを見過ごさないことやお母様が苦しまないような吸引技術の習得が必須となります。そうでないと、“誤嚥性肺炎”などにつながって行くおそれもあるからです』(50代女性/前出・看護学博士)

このように介護と看護の間にはかなりの程度の質的な隔たりがありますので、介護のみならず看護を必要とする高齢者の在宅復帰には、看る人の立場にも立った慎重な判断が必要となるのです。

職業として看護を行う専門家に任せるのも道

5年ほど前になくなった筆者の父親は認知症が進行して最期は苦労しましたが、それでも体は丈夫だったため看護の必要がありませんでした。

食事の手伝いや洗面の手伝い、排泄の手伝いなどの介護はもちろん大変でしたが、それでもタンの吸引や経管栄養、カテーテル管理などといった看護の必要がなかった分、まだ気が楽な面もあったと思います。

国家資格を取得するのに多くの勉強と労力を要する看護の仕事は、介護の経験がある筆者から見ても専門性が高く難しいもののように感じます。

それを“家族”であるということで資格がなくても行うわけですから、在宅での高齢者の看護は“医師との懸け橋”という意味において相当の責任を伴う行為と言えます。

そのため、ご相談者様へは「自分には重すぎる仕事かな」と感じたなら、けっして無理をせずに職業として看護を行う専門家に任せることも道であると、申し上げたいと思うのです。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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